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ランスシリーズの勇者システムって面白いよねという話

 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。

 そういうわけでウーマンの私がふと面白いねぇと思ったことをつらつらと書き綴る感じです。ちょもーっとだけランス10のネタバレ入ります。ほぼ本編に関係ないバックボーンをひたすら書いてく感じなのであんまり気にしなくていいです。

【1】勇者システムの説明の前に

 そもそも勇者システムってなんだよって話だと思うので前提となる世界観のお話をします。

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 上の画像がランスくんのいる世界に生息する主な生き物です。ランス作ったTADAって人が安易に中世ヨーロッパベースのファンタジーに出てくるようなキャラ出すのを嫌った結果色んな生物が誕生しました。(まあカラーはエルフ、ポピンズはドワーフみたいなとこあるんですけどね。)

 大切なのはこの「その他」カテゴリーにいる古代種とドラゴンです。この世界では最も栄えている種族のことをメインプレイヤーと呼び、現在は第三世代の人間がそれに当たります。第三世代ということは当然第一、第二世代があるわけで、それがこの古代種の”丸いもの”とドラゴンです。

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 この世界にはガッツリ神が存在していて、一応一般人でもレベル神という低級の神と関われたり、なんなら試験に合格すればなれたりします。まあそんな低級の神は置いといて、高位の神ともなると生物を生み出すことができます。てっぺんに存在する”創造神”手づから生み出された三超神と呼ばれる存在は、この世にメインプレイヤーを生み出しました。何のためにそんなことしてるかというと退屈してる創造神のために"おもちゃ"が必要だったからです。

 まず初めに生み出されたのが"丸いもの"。画像はないけど丸い球体に可愛い顔が描いてある生き物です。こんなのがこの世で最も栄えているというのはなんだか変な気持ちになります。当然のように失敗でした。こんな単純な、言ってしまえば何考えてるんだかわからん微生物を四六時中観察してても面白くないわけですね。

 そうして失敗を踏まえた神が作ったのが第二世代のドラゴンです。完全完璧という設定の下生み出された彼らですが、完璧すぎて争いをやめちゃいました。一応メインプレイヤーという名前だけあって他にも生き物はいるのですが、そいつらじゃ全く歯が立ちませんでした。創造神はすぐに飽きてしまいます。何もしない生き物を眺めてても面白くないからですね。生き物が争うことを好む神は、天使の軍隊を差し向けてドラゴンを皆殺しにしました。

 単純すぎず、完璧でない生き物を。そうして生み出されたのが第三世代の人間です。他の種と争うだけでなく人間同士で争う醜い生き物に神は大変満足しました。こうして長きにわたり人間がメインプレイヤーの座に就くことになります。

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 そしてこれらとは別に魔王システムというのが存在します。メインプレイヤーがたとえ全生物と敵対せず共存を選ぶことがあっても、絶対に敵対する勢力が現れるように生み出されたものです。魔王とはあらゆる種族がなることができ、その力は上位の神に匹敵するレベルです。また、自らの力を与えることで魔人という配下を生み出すことができ、魔物や魔人に絶対的な命令権を所有しています。

 最初の魔王ククルククルは"丸いもの"出身の巨大な魔王。ですがドラゴンとの何千年に渡る戦いの中で死に至りました。そしてその血を浴びたドラゴンのアベルが次の魔王に選ばれます。しかし彼はいってしまえば棚ぼたでとどめを刺したにすぎず、また魔王になったことで唯一の雌ドラゴンであるカミーラをドラゴンの王マギーホアから盗み出します。結果彼はマギーホアの怒りを買って負けてしまい、殺されずに杭で拘束されるのでした。

 この後の展開は先ほどの話したように、創造神がドラゴンに飽きちゃって全員殺されました。そして次の魔王に選ばれたのは第三世代メインプレイヤーである人間のスラルです。彼女は元人間のため貧弱で、最弱の魔王と呼んでも過言ではありませんでした。しかし非常に賢かった。彼女は自力で三超神に謁見することに成功し、【無敵結界】を手に入れます。これはその名の通り無敵の結界。魔王とその配下の魔人には一部を除き攻撃が全く効かなくなるというものです。当然こんなものやばすぎるので魔王の寿命は1000年という条件が付きましたが、以後人類はこの【無敵結界】によって大苦戦を強いられることになります。

 ここで生み出されたのがタイトルで出てきた「勇者システム」です。最強無敵のこの結界を破るために神が生み出し、素質のあるものに勇者の剣「エスクードソード」を持たせて魔王退治をさせるシステム。しかしこれは人類のためなどではなく、あくまで争いを好む創造神のため一方的でつまらない展開を避けることが目的です。そのため、この勇者システムには底知れぬ悪意が込められていました。

【2】最悪過ぎる勇者システムについて

 長々と前置きを書いてしまいすいませんでした。本題に入ります。

 先ほども書いたようにこの勇者システムには悪意が込められていました。それは、人類死滅率に応じて威力が上がっていくというものです。

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 数字の下にモードが書いてあると思います。

 ①塵(じん)モード:人類死滅率10%で発動。エスクードソードが解禁されるがそれだけ。
 ②逡巡(しゅんじゅん)モード:30%で発動。魔人を殺せるようになる。 
 ③刹那(せつな)モード:50%で発動。魔王を殺せるようになる。
 ④阿摩羅(あまら)モード:地上の生命体が80%死滅で発動。一級神の殺害が可能。
 ⑤涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)モード:生命体が一桁、魔王魔人が絶命状態で発動。三超神をも殺害可能。

 魔王を殺すには最低でも刹那モードに入る必要があり、要は人類半分見捨てれば勇者としての仕事ができるようになります。また勇者システムには在任期間中は何が起こっても死ぬことはないという不死性があるのでこのモードに入った瞬間魔王の死は逃れ得ないものになります。50%を見捨てれば確実に残りを救うことができるというある種の「トロッコ問題」です。

 この「トロッコ問題」を突き付けられ、精神が病んでしまうキャラクターは結構います。有名どころだと進撃の巨人とかFate/Zeroとかに出てきますね。この世界での勇者はお人好しで、困ってる人がいたら必ず助ける男です。しかし勇者としてやらねばならなかったことをほっぽり出してあちこち助けまわるもんですから、本来彼が解決するはずだった出来事はすべてランスが解決していました。結果、勇者としての在任期間をほとんど無意味に過ごしてしまい引退後は片田舎でのんびり暮らしていました。

 そんな彼がとある事件をきっかけに再び勇者として活動を再開します。しかしその眼はかつての優しい男ではなく、人類を救うために半分を見捨てることを覚悟した冷酷な眼だった───。画像に揺らぐ男が彼です。

 ちなみにこの世界の魔王は殺したものがその血を浴びることで継承されていますが、別に血を浴びたものがいなくても神が勝手に次の魔王を指名します。要は勇者が魔王を殺しても別の魔王がすぐ現れます。このことを勇者は知らず、感情を殺しやっとの思いで倒した魔王がすぐ出現するので救われません。勇者がやっていることは徹頭徹尾無意味なことで、その役割は創造神を楽しませることだけ。これが勇者システムの面白いと呼ばれる所以ですね。

 この勇者アリオス・テオマンは元はお人好し。今は人類を救うために半分を見捨てる覚悟を決めた主人公のような人間で、人類まとめて助けようとするランスくんの妨害をしてきます。彼だけで一本話が書けるぐらいにはおいしい役割ですが、ランス10で彼に割かれてるリソースは3%ぐらいです。こんだけ盛りに盛られた設定で3%しかないです。そもそも大したネタバレをするつもりはないといってアホほどネタバレっぽいこと書いていますがマジで本編に関係ないです。ランス10の14本あるエンドのうち一つは完璧にネタバレしましたが、狙ってやらないとでないバッドエンドの一つなのでまあほぼ関係ないです。むしろこれ書いてランスに興味持ってくれるほうがアドかなーとか思って書いてます。

 ついでに書きますが現在の魔王は異世界から連れてこられた女の子で、先代の魔王がやさしい子に魔王を継承させることで人間を助けてあげようとしました。結果女の子は継承だけ済ませたものの魔王化を拒否し彼氏と逃亡するわけですが、これを機に魔王の座を狙っていた古参の魔人ケイブリスと女の子に魔王の座に座ってもらいたい先代魔王の子ホーネットの派閥争いが勃発します。だから今いるのは魔王ではなく魔王化を拒む一人の女の子で、勇者アリオスが殺そうとしてるのもそんな女の子。ランスくんは女の子には優しいのでそれを庇うという対立構造も生まれています。どっちも人を助けたいのに手段、思想の違いから争うのは人間の性なんだなと思わせてくれます。(ランスくんはえっちできそうなかわいい女の子が死ぬと困るからなんだけど)

【3】なんでこのゲーム全人類やんねえんだよという話

 こっからは蛇足。でも書かずにはいられないッ!(ディオ・ブランドー)
 この作品の何が偉大かって言われたらみな間違いなく口をそろえて「30年の歴史を有終の美で飾ったこと」であるというに違いない。自分の人生よりも長い歴史を持っているこの作品のため、最近始めた自分に対し古参の親父どもが「ガキが何偉そうに批評家ぶってるね!こぉんのダラズ!(北条鉄平)」とひとたび怒ることがあれば、私はPTSDを発症してどこにもいないにぃにぃを呼び求める沙都子になってしまうのは間違いなしである。だが、それでも私には声を大にして言いたい。このゲームは間違いなく大作だと。

 どっかのnoteにも書かれてた通りこのゲームは中学生のころ男の子の頭の中にあったファンタジーで憧れの世界ってやつを余すことなくぶつけてやった作品である。それも絶妙、はじめから一作にガッツリ設定&設定&設定で盛るんじゃなくて、鬼畜王で一回全部吐いたとはいえそれ1から10に渡る中で小出しにし、恐ろしいほどのバランス感覚で成立させているのは凄い。Fateなんかも緻密な設定があるにはあるが、あれは史実を基にしている部分が多く創作の部分は舞台設定と聖杯システム、あとアーチャーぐらいで個人的には1から10まで完全に創作のランスシリーズにははるかに及ばないと思っている。(まあナンバリング10まであるゲームと比較するなと言われたらそれまで。)

 この中学生が頭の中で作り上げた世界をブラッシュアップして叩きつけてくるときの感動がいい。使い古されたテンプレに沿っているから特に説明しなくても読者が勝手に補完してくれる中世ファンタジーなんてものじゃなくて、一からちまちまと考えてた俺の世界をありったけで表現してくれることは、さながら「基本に流行に忠実なありきたりの絵」と「全身全霊自分を乗せた自分だけの絵」ぐらいには違う。

 惜しむらくはこの作品の面白さを声を大にして叫んでいるつもりでも、こんな誰も見てくれないようなちっぽけなnote上で語っているだけで、現実では大声でおすすめなんてとてもできるゲームではないという点。どこまでいってもこのゲームの魅力にはエログロが深く根付いており、これを取っ払うとランスじゃない何かになっちゃう。fateについているエロ要素を良性腫瘍、ランスについているのを悪性腫瘍とはよく言ったものだと思った。
 女を犯し男は殺す、厚顔不遜のガキ大将を「ランス、お前は...素晴らしすぎる」なんて言えるのは数少ないマイノリティーである同好の士ぐらいである。今でこそSNSの普及によって世界中の同好の士を見つけることができるが、それじゃあ身内で深くなるだけで広くはならないのだ。だからこそランスに触れていないエロゲユーザーをこっちに引き込むことで世界を少しでも広げたい。その思いが伝われば何よりである。
 

 長々と書き込んだけど言いたいことは要するに
 こんだけ設定に凝ったゲームはそうそうないよ!面白いから買ってね!
です。それではよろしくお願いします。そのうち好きなキャラについてとか書くかも。


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