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【集中講義Ⅶ】うみねこ:戦人は本当に無能なのか

はじめに

うみねこ考察します。

今回の主軸は主人公、右代宮戦人についてです。

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全EPにおいて主人公を務める戦人は作中で最も見せ場が多く、かっこいいシーンもよく見られるのですが、同時にかっこ悪いシーンも数多くあります。

というか正直言うとかっこ悪いシーンの方が多いくらいで、そのせいで作中における評価は概ね悪く、一貫して不遇です。特に魔女連中からの評価は最悪で、事あるごとに無能扱いされてきました。

ですがここで一度、立ち止まって考えてみましょう。

果たして戦人は本当に無能なのでしょうか。

検証していきましょう。

全EPを振り返るので、ネタバレ注意です!

・EP2における赤き真実

戦人の評価について、作中で明確に言及されたのはEP2。

幻想世界にて、ベアトが戦人への煽り文句として、赤き真実にて語っています。

「そなたは無能だ」と。

赤き真実は絶対です。つまり戦人は無能で決定。

検証終了です。

……

とはなりません。これでは考察の意味がありませんからね。

ベアトが語る「無能」というのは、かなり抽象的な表現です。戦人をどのように見た結果、どういう方面で無能なのかという考え方をすれば、いくらでも拡大解釈が可能となります。

また、ここでの赤は厳密には右代宮戦人という人間を指しているわけではありません。

・そもそも戦人って誰?

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EP2でベアトに無能だと罵られた戦人とは一体誰のことでしょう。

そもそものうみねこ世界には、複数の人物が多数の世界に同時に存在しており、一人の人物を一つの名称で語るのは難しかったりします。

その最たる例がベアトでしょう。

ベアトはベアトリーチェ、紗音、嘉音、安田紗代(ヤス)、クレル、理御とEPごと、世界ごとにたくさんの名前を持っています。それらは全て同じ人物を指しますが、いずれも異なる行動原理・個性を持っており、幻想世界では全員が別個に存在しています。

例えばベアトが無能だと赤で言われたとしても、それが同時に紗音、嘉音、ヤス、クレル、理御の全員がイコール無能だというわけではないでしょう。

ベアトに無能だと罵られた戦人はあくまでEP2における幻想世界の戦人に過ぎず、ゲーム盤の戦人、他EPの幻想世界の戦人、一なる真実における戦人は全て別人として換算し、だから無能かどうかも一人ずつ検証していくべきなのでしょう。

ということで、全ての戦人を網羅していきましょうか。

・EP1の戦人

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EP1、すなわち最初のゲーム盤の戦人です。彼は一体どこが無能だったのでしょうか。以下に挙げていきます。

・殺人事件の真相に辿り着けなかった

これはやむなしでしょう。戦人以外の生き残りも辿り着けなかったわけですし、これで無能と言うのは酷でしょう。であれば譲治、朱志香、真里亞も無能という事になりますし。

・魔女の碑文に挑戦しなかった

これもやむなしでしょう。魔女の手紙で再三に渡り促されたとはいえ、殺人事件の真っ最中に碑文に挑む精神的余裕は無いでしょうし、「碑文が解けたら殺人をやめる」という文言もどこまで信用すべきか分からないですし、そもそも戦人目線では碑文を解くのは困難です。そして殺人事件の真相と同様に、他の面々も挑戦しようとしていなかったので同罪です。

ただし、殺人事件も佳境に入った後でようやく殺害方法が碑文に対する見立て殺人である事に気が付いたのは無能ポイントだと思いますが。霧江辺りが生きていたら真っ先に気が付いていたであろうだけに、ここはかなり目立ちます。

こんなところでしょうか。とりあえずEP1ではさしたる無能ポイントは見られませんでしたので、EP1の戦人は無能ではないと言ってよいでしょう。

・EP2、盤上世界の戦人

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続いてEP2、盤上世界の戦人です。

・殺人事件の真相に辿り着けなかった

・魔女の碑文に挑戦しなかった

EP1と同様です。

・楼座から部屋を追い出されて孤立した

不用意に犯人側だと疑われる言動をしたのは無能ポイントかもしれません。

ただし冷静にEP2を紐解くと、戦人が楼座から部屋を追い出された時点で生き残っていたのは楼座、真里亞、源次、戦人の4人のみ。真里亞は母親である楼座の味方で、残る2人は全員共犯者側の人物。孤立するのはある意味必然なので、ここでの戦人の言動が無能だとは言えません

もっとも真里亞の「狼と羊のパズル」理論で行くと、第一の晩の時点でもはや打つ手はなかったという事になりますが。あの時点で戦人の味方となり得たのが譲治、朱志香のみというのはあまりにも無情でしたね。

以上、EP2盤上世界の戦人も無能とは言えませんね。

・EP2、幻想世界の戦人

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EP2の戦人は赤字で無能と言われているので、考察するまでもなく無能です。強いて言うなら容疑者Xに固執し過ぎたアンチミステリ的推理の数々、最終的に魔女に屈したという辺りでしょうか。

主人公が全裸四つん這いはねえ……

・EP3、盤上世界の戦人

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EP3は犯人が入り乱れていましたが……

・殺人事件の真相に辿り着けなかった

・魔女の碑文に挑戦しなかった

EP1と同様です。ただ、絵羽・楼座が魔女の碑文を解いているため、やや目立ちますが。

・殺害された

これを無能と言うのは酷でしょう。

生き残った唯一の大人である絵羽は犯人、朱志香は行方不明、他にも銃を持った紗音が徘徊している屋敷で生き残るのはまず不可能でしょう。

という事で、EP3盤上世界の戦人も無能とは言い難いですね。

・EP3、幻想世界の戦人

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・魔女幻想に屈して推理を放棄する

ワルギリアのおかげで事無きを得ましたが、EP2であれだけかっこよく戻ってきた後だっただけに、屈するスピードに無能さを感じました。

・ベアトに騙されかける

戦人はお人好しですね。ベアト側に本当の意味で戦人を騙すつもりは無かったとはいえ、途中から完全にベアトを信じ切っていた戦人、無能。

よってEP3幻想世界の戦人は無能です。

・EP4、盤上世界の戦人

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EP4に関しては、殺人そのものが非常にスピーディーに行われたという点から推理そのものにあまり意味が無く、戦人にはほとんど落ち度が無かったと思われます。戦人目線で殺人が発覚した時点で全ては手遅れでしたし。

よって、EP4盤上世界の戦人は無能ではありません。

・EP4、幻想世界の戦人

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・紗音との約束を覚えていなかった

全EP、全戦人に共通する事ですが……紗音との約束を覚えていなかったのは無能ポイントです。

ただし当時の戦人の家庭環境や紗音の事情を知らない事、そもそも殺人自体が紗音の半ば自暴自棄による予測不可能な出来事であるという事から、無能とは言えないかもしれません。

・縁寿に正体を明かさせた

縁寿に赤き真実を使わせるほど塞ぎ込んでしまったのは明確な無能ポイントでしょう。このせいで縁寿は後々ベルンやラムダから「挽肉」などと揶揄されるようになってしまうわけですし。

自身の出生に関しては思うところがあるのでしょうが、言葉のみでは立ち直れなかったというのは、戦人のメンタル面での弱さを感じました。

EP4幻想世界の戦人は無能ですね。

・EP5、盤上世界の戦人

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この戦人に限り、エリカの助力ありとはいえ碑文の謎を解いています。紛れもなく有能ですね。

事件に関しては終始エリカに振り回されっぱなしでしたが、そこは全く無能ポイントではありません。何故ならEP5に限り、戦人は共犯者側であるからです。夏妃を犯人に仕立て上げるための策略に加担し、エリカはまんまとそれに気が付かず夏妃を犯人に仕立て上げたという事になるので、立ち回りは完璧だったと言っても過言ではないでしょう。

まあ、共犯者として買収された点は無能ポイントかもしれませんが……そこにツッコミを入れだすときりがないのでやめておきましょう。

・EP5、幻想世界の戦人

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・ベアト脱落で不貞腐れ、盤上での勝負を放棄した

ベアトが遺したゲームをベルン・ラムダに任せて逃亡したのは無能ポイントです。魔女二人の口の悪さを思うと戦人の気持ちも分からないでもないのですが、前EPで縁寿の死を乗り越えて固めた決意が台無しという点では言い逃れ不可だと思いました。

・エリカに負けて串刺しになる

ゲーム展開的には無能と言わざるを得ませんが、盤上世界での立ち回りがろくに出来なかったこと、エリカという対抗馬が駒として非常にアンフェアである(幻想世界と盤上世界で意識を共有、後出し連発のアリバイ潰し、探偵権限等)ことから、敗北はやむなしといったところでしょう。

とはいえ最初から盤上世界と向き合っていれば避けられたかもしれない結末だと思うと、やはりEP5幻想世界の戦人は無能ですね。

・EP6、盤上世界の戦人

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・エリカに狂言殺人を見破られ、共犯者を殺害された

……

これはエリカが悪いでしょう。

相変わらず戦人に落ち度はありません。EP6盤上世界の戦人も無能ではありません。

・EP6、幻想世界の戦人

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・ロジックエラーに陥りエリカと結婚しそうになる

擁護不可です。なんならうみねこ最大の無能ポイントと言っても過言ではないでしょう。

前EPラストでせっかくゲームマスターとして覚醒したのだから、エリカを一蹴する活躍を見せて欲しかったものです。それなのにエリカ達の三文芝居に騙されてドラノールに呆れられ、エリカの後出しに意地を張って強引に事を進め、あまつさえゲームマスターなのにエリカの蛮行(5人の殺害)を知らなかったというのは無能の極みです。

最終的にエリカを追い詰めた時はかっこよかったですが、よく考えたらあの場面、終始ベアトにおんぶにだっこだったんですよね。そう考えると、やっぱり無能です。

・EP8の戦人

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EP7には不参加、EP8は盤上世界が存在しないので、EP8の戦人は全てゲームマスターとしての幻想世界の戦人です。

・縁寿に偽りの真実を見せて激昂される

戦人のやりたい事は分かるのですが、方法が悪いと言わざるを得ません。どう考えても縁寿相手には火に油を注ぐだけの茶番劇より、腹を割って話をした方がよかったのではないでしょうか。実際、漫画版EP8ではエリカにそうツッコミを入れられていますし。

とはいえ、無能かと問われると難しいです。縁寿は縁寿で決して褒められた性格ではありませんし、縁寿の気持ちを戦人が理解できるかというと、二人の生きてきた境遇の違いから考えて難しいでしょうし。

という事で、EP8の戦人は無能ではないと言ってよいでしょう。

・一なる真実における戦人

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一なる真実における戦人は、殺人事件中は概ねEP4と似たような立場でいました。むしろ電話による状況把握が無かった分、EP4よりさらに蚊帳の外に置かれ、ほとんど事件に関わっていない状況にありました。

最終的に戦人は、絵羽・ベアトのみが徘徊する死体だらけの六軒島に取り残されてしまいました。もしもこの状況でベアトではなく絵羽と合流していれば、縁寿を取り巻く環境はかなり変わったでしょう。絵羽一人の証言ならば信じられないかもしれませんが、そこに慕っている戦人が加われば……いえ、たとえ信じられずとも、兄が生きているという希望さえあれば……

そういう意味では、絵羽と合流できなかった事が無能ポイントにあたるかもしれません。が、漫画版EP8の描写から、ベアトは霧江が死亡した事を知らず、屋敷内を徘徊する絵羽の足音を霧江のものだと誤認し、戦人を守るために合流しなかったというのが分かります。その立ち回りを無能とは呼べないでしょう。

最後に、戦人は身投げしたベアトと心中します。遺された縁寿を思うと、この行動は無能です。が、ベアト・戦人の心情を思うと、そう断ずるのは愛が無いですね。

視方次第ではありますが、一なる真実の戦人は無能ではないと思いました。

まとめ

さて、ここまでで全戦人を網羅できました。結果を吟味してみましょうか。

・EP1……無能ではない

・EP2盤上……無能ではない

・EP2幻想……無能

・EP3盤上……無能ではない

・EP3幻想……無能

・EP4盤上……無能ではない

・EP4幻想……無能

・EP5盤上……無能ではない

・EP5幻想……無能

・EP6盤上……無能ではない

・EP6幻想……無能

・EP8……無能ではない

・一なる真実……無能ではない

結果は大体半々ですかね。

基本的に幻想世界では無能っぷりが目立ちますが、盤上世界ではそれほどでもない風でした。でも盤上世界がメッセージボトルの創作である事を考えると……

まあ創作云々を言い出すと本当の戦人は一なる真実の戦人のみ、結果無能ではないという事になるので、何とも言えませんね。

どの戦人が本物か、というのはプレイヤーの愛次第でしょう。

よって戦人が無能かどうかは、プレイヤーにかかっているという事です。

改めてうみねこプレイ、してみてはいかがでしょうか。

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