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読んだ気になれる!『美味しんぼ』全話100文字レビュー(前編:1~40巻)

 本稿はサークル・金腐川宴游会が発行している雑誌「二級河川16 翔べ!グルメうらごろし」(現在在庫切れ)に掲載された記事を再構成し、「文学フリマ」等で1冊100円で販売していたコピー誌のウェブ記事版になります。

 現在111巻まで刊行されているコミック、『美味しんぼ』(作・雁屋哲、画・花咲アキラ/小学館)の1巻から40巻までに収録されている各話のあらすじを100文字縛りで紹介しました。以下のレビューには性質上、大量のネタバレが含まれています。また執筆時の精神状態(大量飲酒による譫妄等)やモチベーションの問題もあり、ところどころウソの記述が混じっております。したがって資料的価値はゼロですのでご了承ください。


【1巻~10巻まで】

■1巻「豆腐と水」
1:豆腐と水 東西新聞文化部が「究極のメニュー」企画のため、社員に豆腐と水の味の違いを見分けさせるテストを行う。「ワインと豆腐には旅させちゃいけない」、士郎とゆう子が見事合格! 伝説の始まり。
2:味で勝負! 「フォワ・グラよりもアンキモのほうがうまい」と言う士郎。1週間かけて季節外れのアンコウをゲット、船上で捌いてアンキモを酒で洗って蒸したらうまかった。ファミコン版の元ネタと思われる回。
3:寿司の心 調子こいて客を怒鳴りつける生意気な銀座の寿司屋をこらしめるため、造影剤をまぶした米で握らせた寿司を大学病院でCTスキャンする士郎。こんなことのために幾ら使ったのか…。
4:平凡の非凡 激おこ中の京極はんを接待するための店を探す士郎、銀座中の生ゴミを食べ歩くホームレスの辰さんに協力を仰ぐ。名店・岡星でイワシ丸干しとご飯、味噌汁という一見平凡な夕食を振る舞われるが京極ご満悦。
5:料理人のプライド フランス語をしゃべるフランス人シェフ、ルピックさん来日。日本の牛肉もモツもバターもうまいよ、と証明したら少しへそを曲げられたが、最終的に和解できたのでよかった。
6:油の音 ついに雄山登場。第1回・チキチキ「どの天ぷら職人がいちばんうまいか揚げる前に見た目で選ぶ対決」を行うことに。「揚げている最中の音をテープで録音するのはOK」という自分ルールで雄山大勝利!
7:ダシの秘密 料亭でブチ切れる雄山、吸い物を何度も作り直させる。たまたま居合わせた士郎が作ったダシを飲むと感心した様子を見せたが、なぜか大原社主が美食倶楽部から脱会させられた。
8:野菜の鮮度 デパートで売られている野菜をディスる士郎、社長を怒らせて東西新聞もピンチになるが、うまい新鮮な野菜を食わせて丸くおさまるという、いわゆるテンプレ回。
9:舌の記憶 栗田一家勢揃い。ボケかけている祖母に、ブロイラーではない昔ながらの飼育法の鶏肉の水炊きを食べさせたら認知症が完治した。ルルドの泉並みの奇跡なのですごいです。

■2巻「幻の魚」
1:手間の価値 士郎、今日は中華街で大暴れ。「この豚バラ肉は出来損ないだ、食べられないよ」「有名になって堕落する店も悪いが、日本人も悪いんですよ」「日本人のせいなのね…」中華の重鎮・周さん初登場回。
2:活きた魚 料理が趣味のワンマン社長がさばいたシマアジはまずかった。生簀の中の弱った活魚をその場でさばいたものより、海で採れたアジを活け締めしたほうがずっとうまいのだ。
3:そばツユの深味 無駄に濃いキャラの中松刑事が初登場。「俺はすべて独学でやる!」と言い張る身の程知らずな蕎麦屋台(無許可)の若造。老舗・藪蕎麦のツユ作りを見せてやったらいろいろ反省していた。
4:日本の素材 フランス語をしゃべるフランス人のフランス料理研究家、モレルさん来日。日本人がフランスの食材で作ったフランス料理に飽き飽きしていたらしいので、日本の食材でフランス料理を作ろう。
5:包丁の基本 どこぞの花板のパフォーマンスじみた包丁さばきにムカついた士郎、板前志望のジェフ君を担ぎだして包丁対決。特訓の結果、魚の細胞を潰さない包丁のスキルをゲットし見事勝利。
6:思い出のメニュー 殺人罪で投獄されたドイツ料理シェフ。恋人のいるレストランにすべてのレシピを残してきたが、出所後に訪れると「思い出のメニュー」だけが無かった。なぜでしょうか。
7:幻の魚 雄山にギャフンと言わせるべく、神奈川県の葉山で幻の鯖を探す士郎。回遊せずに夏の間をのんびり過ごした変わりものの鯖の刺身は、複雑で深みのある味で香りも脂も絶妙。うまいッ! 
8:中華そばの命 中華そば屋の双子の兄弟が「ウチこそが本家!」と別々に店(しかもはす向かい)を出したが双方まずかった。1人は麺、1人はスープ作りはうまかったので、これからは協力しあってネという話。

■3巻「炭火の魔力」
1:炭火の魔力 「ガスで焼いた鰻は鰻じゃない」と白昼堂々うなぎ裂きを振り回して暴れる泥酔板前! 「俺は鰻が好きだ。デパートで鰻屋をやれ、でないと殺人未遂だ」と無茶苦茶を言う中松警部! きちがい対決。
2:和菓子の創意 唐山陶人、初登場回。採算度外視で頑張る和菓子屋のため、士郎が一肌脱ぐ。一級品の吉野葛で新和菓子を作るのだ。「ぬめぬめとぷりぷりと」「口の中の官能の全てを刺激して深い愉悦に…」成功!
3:土鍋の力 「純金の鍋で作ったフグチリに物足りなくなった」と、わけのわからないことを言う成金。すっぽん屋の使い込まれた土鍋で士郎が具無し雑炊を作ると、土鍋に染みこんだすっぽんエキスで旨味が…!
4:料理のルール 初期の小物雄山が炸裂してる回。「懐石料理を料理人の意図しない方法で食べ、うまいと言わせろ」という無茶振りに対し、カツオの刺身をマヨネーズで食べさせる士郎。客は絶賛、雄山は激怒。
5:醤油の神秘 文化部・花村が見知らぬ青年に一目惚れ。手がかりは「うまい醤油せんべい」しかなかったので、うまい醤油を求めて老舗とか大手工場とかを社会見学します。大手メーカーに行く必要は特になかった。
6:接待の妙 金をかけずにうまいものを食わせろ、というケチ社長。ホームレスの辰さんの案内でデパ地下の試食に連れて行ったらわりと満足していたようだし、1億円の寄付ももらった。
7:美声の源 急に声が出なくなったオペラ歌手のマリア・セレーネさん。彼女を元気づけるには故郷のソウルフードしかない! というわけで、タコにオリーブオイルをぶっかけて食わせたら治った。
8:肉の旨味 ステーキ屋でステーキを食い「ここの肉はまずいよ~!」と号泣する迷惑中年男性登場。その正体は肉を卸した牧場主だった。シェフ大ピンチ! レアステーキの特訓で迷惑中年牧場主に立ち向かえ!
9:昼メシの効果 「文化部は俺たちに養われてるんだ」とぬかす政治部。ならば文化部なりのやり方で、特ダネを取ってきてやろうじゃないか。翌日から民自党の記者室で、記者会見中に豪華弁当を食い始める士郎…。

■4巻「食卓の広がり」
1:直火の威力 中華料理屋コックの王さん。華僑の同郷会幹部に新しい店の資金を出してもらおうとするが「チャーハンが下手だから駄目」と言われる。使用人根性が染み付いている人間は、直火も支配できないのだ。
2:女の華 今回は男尊女卑の問題に切り込みます。一人称が「俺っち」の女寿司職人が登場。「トゲトゲしているし、俺っちとか言うし、寿司もまずい」と散々な評価。どうしたらよいのでしょうか。
3:旅先の知恵 伊豆の白川温泉での社員旅行が、帝都新聞の連中とバッティング。帝都新聞が宿泊するホテルが海の幸を買い占めただって? でもホテルは火事を出して大変だったらしい。筍の刺身を食べて仲直り。
4:酒の効用 「究極のメニューに取材費使いすぎ」と、もっとも過ぎる指摘をする小泉編集局長。彼はワイン至上主義者で、日本酒はベタつく下等な酒と言い張る男だった。許せねぇ! ワインvs日本酒勝負じゃ~い!
5:食卓の広がり トラウマ的ななんかで、すごい偏食の若社長・真山。士郎はベーゴマ勝負で勝ち、真山がふだん食べないカツ丼を食べさせることに成功。カツはゴマ油で揚げるとうまい。
6:うどんの腰 足ふみうどんの店にヤクザが来店して大迷惑。それとは別に、失業した相撲取り・プロレスラー・柔道家が一同に集まった。屈強な男たち、足ふみうどん、ヤクザ…3つの点が今、1本の線に!
7:板前の条件 「このあらいを作ったのは誰だぁっ!!」雄山激おこ! 味云々以前に、板前としての条件を満たしていない! 果たしてその条件とは? それはともかくすっぽんの内臓のショウガ炊きがうまそう。
8:茶の味わい 田畑の姪・ひとみが買ってきた玉露は真っ赤な偽物。指摘した士郎は実はスケバンだったひとみにヤキ入れられそうになるが、スケバン連中に本物の玉露を飲ませたら助かった。なぜスケバンなのか。
9:縁日のにぎわい テキ屋同士の縁日勝負にいろいろあって巻き込まれることになった士郎一味。相手はタコのぬいぐるみを使ってタコ焼き屋を巧みにアピール。これに対抗するにはうまいタコを釣るしか…。

■5巻「青竹の香り」
1:味噌の仕込み 昔ながらの製法で1年かけて作った味噌の方が最新設備で2か月で作る味噌より美味しいねという話。3巻の「醤油の神秘」と同じ話じゃねえか。
2:青竹の香り 見事な竹林を潰して家をおっ建てようという腐れ成金。竹はすごいんだゾと言うことを伝えるため、士郎コネクションを最大限に活用し、スズキの青竹焼きを食わせて竹のよさをアピールします。
3:技巧の極地 陶人先生の喜寿祝いで、なぜか料亭対抗・鯛料理合戦に巻き込まれる士郎。海水で作った塩で鯛の干物を作ったら大ウケ。雄山は毎度の如く激怒するが、陶人先生は「これも技巧の極地」とフォロー。
4:スパイスの秘密 記憶喪失の男が持っていたカレー臭い暗号メモ…その正体はカレールーのレシピだったのです。ブラックカレーみたいなヤバいブツではなく、人情路線の展開に。
5:臭さの魅力 またフランス人登場。マツタケやくさやは…臭いッ! いや、チーズやトリュフのほうが臭いッ! 激突する日仏。そこへ中国の周さん「両方臭いよ」と臭豆腐をふるまい始める。最後は鮒寿司で仲直り。
6:牛なべの味 雄山がすき焼きとシャブシャブをディスりまくる伝説回。魯山人すき焼きが食べたくてしょうがない雄山、士郎が作った「シャブスキー」を食べてご満悦。アフリカの詩人は特に関係なかった。
7:サラダと美容 士郎が義理で見合いした昭子さんはデブだった。本当なら両思いの相手がいるのに、デブなので自信が持てない昭子。そんなドレッシングかけたサラダばっかり食ってるからデブなんだ、あなたは!
8:もてなしの心 陶人先生(喜寿)が孫くらいの年齢のギャル・領子と結婚。なんだかんだで雄山とご飯&味噌汁対決をすることになった士郎、元雄山の使用人・本村の「粒を揃える」おもてなしの心に完全敗北。
9:鮮度とスピード 本村さんの送別会を開催。新鮮なカキを食わせてやりたい士郎は暴走族・サンダーボルツの面々とバイクで爆走、時速200kmで東京~志摩半島間を往復する。道交法とは?

■6巻 「牛肉の力」
1:江戸ッ子雑煮 雑煮特集の取材で江戸ッ子大将への取材。大将は張り切って雑煮を作ろうとするが、馴染みのカマボコ屋が潰れていて意気消沈。大手メーカーのカマボコをディスりつつ、本物のカマボコを作る士郎。
2:卵とフライパン ツッパリ調理人見習いの上田と知り合った士郎。上田の作ったオムレツが全然ダメだったのでオムレツ専門店に連れて行ってやった。臭いの移らない専用フライパンが大事なんだそうです。完。
3:春のいぶき 京野菜の取材に行く士郎とゆう子は、結婚式10日前に男と別れて自殺しようとしている同僚・日川と偶然同行することに。自殺なんてするんじゃない! フキノトウも魚もこんなにうまいッ! 生命…。
4:真冬の珍味 新聞社対抗・グルメクイズ番組に出ることになった士郎とゆう子。いつものアレでカラスミよりうまい珍味を提出することになり、イカの肝の塩辛を食わせて大勝利。番組は放映中止になった。
5:辛味の調和 ワサビ農家の庄田さん、娘の結婚相手の父親・佐橋さんがワサビを醤油に溶いて寿司を食うのを見て大激怒! 婚約解消! 佐橋さん、反省してください。
6:日本のコンソメ 超能力者、クリスさん来日。取材の席でなんやかんやあり、日本の吸い物の旨さを証明することなったので、超能力で時空と空間を超えて過去の鹿児島県まで取材に行く。なんなんだよマジで。
7:牛肉の力 今日は野球選手の食事事情を偵察。肉ばっか食えばいいってもんじゃねえよ、目的意識がないんだよ、目的意識が! とアゲていたがなぜか雄山とエンカウントし、今回もヘコまされる士郎。
8:究極の作法 日本語をしゃべるフランス新聞社駐在員、エレーヌさん登場。さらに箸を使うのがダサいと思っている、時山部長の娘が登場。そして京都の食通、登田さん登場。ついでに雄山も登場。登場しすぎでは。

■7巻 「大地の赤」
1:大地の赤 雄山と陶人先生にうまいトマトを食べさせることに。士郎が連れていったのは普通のビニールハウス。ふざけんな! でもうまいッ。「トマトの手柄で人が偉いわけじゃない」と農家を目の前に言う雄山。
2:氷菓と恋 「アイスクリームは空気が入っていたほうがなめらかで美味しいよネ」ということを証明するため、アイスの塊をわざわざ名刀正宗で居合い斬りし、切断面を見させる士郎。
3:茶人といちご お茶の作法を習いに行くことになったが、茶人の先生はなんか腹立つ顔だし、いちごにミルクと砂糖を付けて出してきたので、利休の精神に反するし全然ダメだし学ぶことはないので帰った。
4:手先の美 「寿司職人の写真を撮っているが、なんか美しくない」とのたまう写真家の荒川。最終的に「酢飯をちぎるようにしておヒツに捨てる動作がなんか汚らしいから」ということがわかりました。
5:大豆とにがり アメリカ人の豆腐研究家・ブラックさん登場。大手メーカーのまずい豆腐を大いにやっつけた挙句、いろいろあって落語家・快楽亭ブラックを名乗るようになったということです…。
6:天然の魚 千葉へ海釣りに行くことになった文化部の面々は、調子こいたムカつく釣り人連中と遭遇。本当にムカつくので作者らの怨念を感じる。養殖の鯛は紫外線で日焼けしているそうです。
7:黄身と白身 国際目玉焼き会議、略してIFECが日本で開催。日本で両面焼きが一般的でないのはなぜか、ケチャップをかけるのは変態なのか…。懐かしのキャラも集まって、喧々諤々の大会議!
8:ボクサーの苦悩(前編) 写真家の荒川が文化部の田畑に求婚。ボクサーの沢矢がチャンピオンになればプロポーズを受ける、という流れに。でも沢矢は減量中なのに豪華な料理が食いたくてストレスでダメだった。
8:ボクサーの苦悩(後編) 野菜でフルコースを作れば、減量中でのボクサーでも満足できるのでは? じゃあ野菜でフランス料理のフルコースだ~! 以上。

■8巻 「飲茶」
1:飲茶(前編) 中国の副主席、来日。副主席をなんとかして美食倶楽部に連れていかないと日中関係がヤバくなるらしいのだが、雄山は政治家が大嫌い。もうおしまいだ! いったいどうしたら…。周さん助けて…。
1:飲茶(後編) 周さんの誘いで飲茶を食べに来た雄山。う~ん、なかなかうまいッ! この料理人なら美食倶楽部に呼んでもいいな、とご満悦。さて、この料理人の正体とは…?(完)
2:SALT PEANUTS(前編) ジャズ喫茶で出されたソルトピーナッツ(バタピー)が超うめぇけど、もうすぐ潰れちゃうんだって…。なんとかして山岡さ~ん! 会話の端々にはさまれるジャズネタが絶妙にウザい回。
2:SALT PEANUTS(後編) 美食に飽きたどこぞの食通に例のソルトピーナッツを食わせたら好評だったので潰れずに済んだという話。「山に火を付けてちょうどいい具合に焼け死んだ鹿の肉」というサイコ料理も登場。
3:愛の納豆 納豆なんか食えへんわ! 関西人と関東人のバカップルが納豆をきっかけに別れの危機。関西人でも食べられるよう臭みを抑えるには…カラシとわらに包まれた昔ながらの納豆だ! 大徳寺納豆もいいぞ。
4:鮎のふるさと 京極はんの快気祝いに鮎の天ぷら勝負をすることになった士郎と雄山。人にごちそうしてもらいながらカス呼ばわりするハゲのジャッジで雄山快勝。釣りバカがゲスト登場。
5:スープと麺(前編) 冷やし中華って適当な作りのものが多すぎるしマズくない? と言う士郎だったが、雄山がだいたい同じことを言ってるのを聞いて冷やし中華擁護派に手のひら返し。ギャフンと言わせるぜ!
5:スープと麺(中編) 冷やし中華はシンプルなだけにごまかしが効かないので、とにかくスープも麺も最高の素材で作り上げましたよ。あと化学調味料はとにかくダメといういつものアレです。
5:スープと麺(後編) 最高の冷やし中華を…食らえっ! 雄山!! しかし雄山の「中華だから中国の調味料を使った方がうまい」という理論の前に敗北する士郎であった。そういうものなんですか?
6:二代目の腕 先代に引けをとらない腕前のはずなのに、なぜか味が落ちたと言われてしまう二代目天ぷら屋主人。先代と同じではなく、先代を超える何かが必要だとアドバイスする士郎。勝利の鍵はヌカ漬けだ!

■9巻「再会の丼」
1:ハンバーガーの要素(前編) 美食倶楽部を辞めてハンバーガーショップを開いた宇田さん。最高の牛肉と玉ねぎで作った渾身のハンバーガーを配るが、「50円でもいらん」と客に突っ返される。悲惨。
1:ハンバーガーの要素(後編) 「ハンバーガーは肉だけじゃなくてパンの部分も大切なんだよ~」ということを、わざわざ寿司を例にして解説する士郎。雄山のツンデレぶりが際立つ前後編。
2:食べない理由(前編) 穏やかな人柄なのに、何かとケチをつけて決して料理を食べない食通の稲森社長。「稲森に料理を食べさせたら5万円~!」の会、略して稲食会はキャリーオーバーでいつしか賞金300万円に。
2:食べない理由(後編) 稲森社長が外で食事をしない理由は願掛けでした。まあそれはともかく、中華料理嫌いの稲森社長にあえて仏跳牆(究極のメニューの1つ)を振る舞ったら飲んだので勝った。
3:再会の丼 「士郎が拾った子犬」と「ドロップアウトした落語家」、2つのエピソードが“スジ肉”を中心に絶妙に絡み合っているようでそうでもない話。安いスジ肉の牛丼を客に出す、それがおもてなしの心…。
4:黒い刺身 士郎、中国残留孤児の男性の肉親捜しに協力することに。手がかりとなるのは…黒い刺身!? 富井副部長の過去話も明らかになる名編。カワハギの肝は言われるほど黒くはないと思いますが些細な問題です。
5:5年目のパスタ 女を寝取られた木崎と寝取った信、イタリア料理シェフ同士が対決。信の「必殺・マカロニに羊の脳とか詰めたもの」を食べた木崎は「まあいいや」と身を引いて完。読んでて何1つ納得できない怪作。
6:日米味決戦 板前・ジェフ君(米国人)と落語家・ブラック快楽亭(米国人)が漬物屋の社長(日本人)に絡まれた! 日米味決戦勃発じゃ~い! 最終的にはいつもの化学調味料ディスに終わってめでたし。
7:最高の肉 ゆう子の電話相談室に「これから親父を殺す!」という予告電話が。会ってみるとステーキ屋の息子で、親父を目の前にしても「殺す! 殺す!」と連呼するリーチな人だった…。サイコホラー短編。
8:新妻の手料理 新婚の奥さん(妙にエッチな雰囲気)が料理教室で習った夕飯をはりきって毎晩出していたら夫が飽きてしまい、「おふくろの味」を謳う外食店に入りびたりになるという悲劇。

■10巻「キムチの精神(こころ)」
1:横綱の好物 大原社主が横綱のリクエスト「アラ鍋」を、魚の種類ではなく部位のアラと勘違いしていたため恥をかきそうになるが助かったネという話。大原社主のキャラがこの頃からへっぽこおじさんに。
2:ペンションの名物 社員旅行で訪れた韮崎のペンション、フランス料理が自慢だがあまり繁盛していない様子。そこへうどん屋の屈強な男たちがたまたま襲来して士郎がほうとうを思いついて終わりです。
3:キムチの精神 韓国の出版社のお偉いさんの前でタバコを吸い、酒を飲み、辛すぎるキムチを出した富井副部長が相手をカンカンに怒らせる。というか、韓国の作法以前にトミーの振る舞いが失礼過ぎる回。
4:古酒 「日本には文学が無い! スピリッツ(蒸留酒)が無いからスピリット(精神)が育たない!」と、わけのわからないことを言いながら昼酒を飲む文芸評論家…。アルコール依存症の恐ろしさを描く。
5:おせちと花嫁 横綱が3人の花嫁候補から1人を選ぶことに。「おせちをいちばん上手に作れる人にしよう」という流れになるが「めでたいから鶴と亀の肉を使いました」等ロクなのがいなかった。どうしましょう。
6:根気と山芋 根性のない元ヤクザ者の息子を認めない母親! 山芋は掘り出すのにも根気がいるし、すりおろすのも根気がいるのでトロロを食べさせれば見直してくれるはず…!
7:牛乳ぎらい 副部長の息子・ヒトシくん猛襲。給食の牛乳がまずいという理由で学校を抜け出してきたクソガキを牧場へ連れていき、高温殺菌も紙パック詰めもしてない本物の牛乳を飲ませた。その後、土深く埋めた。
8:潮風の贈り物 美食倶楽部の仲居・鈴子がいろいろあって自殺未遂の末に心を閉ざしてしまう。鈴子の心を取り戻すためには…? いつものパターンで言えば「故郷を思い出させる料理」ですよね。そういう話です。
9:乾物の滋味 もう若くないからと引退を決意した女優(40歳)を説得するため、ウバ貝の雑炊を食べさせて「成熟した女の味!」「幅も深さも増している」「ナマよりもいい…」と皆で絶賛する話。
10:フライドチキン 「フライドチキンは核兵器と同じくらい忌まわしい」というアレな人のため、おいしいフライドチキンを作る事になった士郎。完成したのはフライドチキンではなく油淋鶏だったが、結果オーライ。

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