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ペルソナトリニティソウル感想

⚠️ネタバレ有

最近ペルソナ作品がマイブームでゲームも3.4.5と外伝作品など含め様々な作品を片っ端から遊んできました。あと、メガテンも遊んでます。
ペルソナ関連の作品を調べているときにペルソナ3の世界から10年後の話を描いた(パラレルワールドの)外伝作品があると知り早速見てみました。
26話でしたがあっという間に完走したので(個人的解釈を含む)感想を書いていきたいと思います。

ちなみにペルソナトリニティソウルはアニメしか視聴していないので、小説、漫画版その他で補完されている内容があったとしてもそれを考えてない考察や感想になっています。


まず、この作品を見た率直な感想としては

疑問は何点か残りましたが、ペルソナの名を借りたサスペンス程度に見る分には面白かったと思いました。

疑問点

■イゴールは何故現れたのか
イゴールは訪れる災いに立ち向かおうとするワイルドの素養をもったペルソナ使いを客人に迎え、その助力をするのが本来の役目のはずなのに、とりあえず話しかけてそれっきり登場せず。
しかもイゴールが話しかけた時、主人公は既にペルソナを発現していることは過去回想で判明しているため、イゴールがペルソナ発現のタイミングで現れたわけでもない。
主人公に随所で助言をするのかと思っていたのに登場は1回きりで、キャラとしてアニメでは扱いづらいのにペルソナ要素を出すためだけにとりあえず出したなら出さなかった方が良かったのではないかと思いました。

■小松原彩音は実験で死んだはずなのに、現れる際になぜ実体があったり無かったりしたのか
2周目視聴で、実体をもって接してきたのは偽の小松原彩音で、実体を持たずありえない場所に現れたのが本物の小松原彩音と理解しました。
ただ、それでも偽の小松原彩音も羽を残して消えたりと結局よくわかりません。

■ジュンと話していた小松原彩音はなぜ表情が一切変わらず、口も動かさず話していたのか。
慎などが意識世界で見ていた小松原彩音は口や目など表情がしっかり動いていたのにジュンと共に行動していた時の小松原彩音だけジュン視点でも、慎視点でも無表情なのか。
2周目視聴で表情があるのは本物の小松原彩音
表情に変化が無いのが偽の小松原彩音だと理解しました

■神郷諒は九条と両者致命傷と思われるダメージを負い相打ちになったはずなのにその後両者共に生存(?)した理由
理由についての考察は

九条→ペルソナに自らの肉体を渡し生きていた元人間なので肉体が致命傷でも生きていたのは一応説明がつく

神郷諒→致命傷を負った直後に追ってきた二階堂映子を本人の意志とは反して自身のペルソナが殺してしまっていたので、小松原と同じ原理でペルソナに身を渡し生存していたと思っていました。しかし、そもそも小松原がペルソナに身を売って生存した方法や原理の詳細は作中説明が無かったので諒がペルソナに身を渡したか判断が難しい

玖珠兄が暴走した際、遠距離から以前とは別次元の威力の攻撃をペルソナが繰り出していたり、小松原彩音のように消えたりしていました(後の真田との会話後も消える)
これは実体が無い存在になったのかと思っていましたが

最後の最後で諒のペルソナは消滅していたうえ、その後肉体がある状態で慎に抱えられている描写があったので実体があったのか無かったのか分からなくなりました。

考えられる理由としては、九条と相打ちになって倒れた直後、元々持っていた慎達兄弟を守る使命感によって無意識でペルソナに身を渡し、ペルソナが傷ついた本体を守るため近づいてきた人間を無差別に攻撃、この際に運悪く近づいていたのが二階堂映子だった。そして、九条同様肉体はペルソナのものとして目を覚ますが直後意識に反して二階堂映子を殺害。
特別な存在だった人間を殺めてしまった罪悪感と意志に反して動いた自らのペルソナを恨み、これまでの出来事(慎の過去や10年前の事件)も全ての原因がペルソナのせいと思い。
肉体は既にペルソナでありながら、全てのペルソナを消し去るためにクジラの側についた。
しかし、真田や慎の会話を通してペルソナが悪ではなく、研究者達が生み出したクジラが元凶と気付き、慎と共に撃破。
最後に肉体が残ったのは慎のペルソナと戦った際に諒のペルソナと肉体が分離し、最後の力を振り絞り自分の意思でペルソナを使いクジラを攻撃したため撃破後はペルソナの消滅、死亡した諒の肉体のみが残った。

最後の力を振り絞るという無理矢理な解釈ですが、それ以外は九条と戦ったあとの諒の行動と言動の辻褄が1番合うかなと思いました。

■ペルソナ抑制薬の製造を続けていた理由
ペルソナ3作中でも登場し、結果として多くの命を奪った薬のはずなのに薬の完成から20年ほど経ったはずの現在でも秘密裏に製造を続行、さらに九条や諒と取引して、売買も行っていました。
この薬の恐ろしさを痛いほど知っているはずの真田が組織に飼い殺しにされ、何も対処出来ず、挙句身近な存在だった諒が使い続けていたことに気づけませんでした。
諒が九条と刺し違える直前まで使用していたことに一切気づいてなかった素振りをした時は、真田何してたんだ?と思いました。
そして、薬の製造を続けていた製薬会社の社長が九条もとい小松原とペルソナ研究時代の仲間だったということだけ判明しましたが、その後は主人公に諭され事実を公表して自首することだけ口約束し以後登場無し。
分かったことは、これだけ危険な薬なのに10年以上製造販売し続け、明るみに出なかったのはかなりの規模で隠蔽されていたからであろうということだけ。
そして、作中の情報だけから推測すると薬の製造を続けていた理由は研究仲間だった九条ためだけに会社全体がリスクを背負ってハイリスクローリターンの取引をしていたという事だけです。

■稀人達の最期が雑すぎる気がする
九条が元から計画のため利用しようと施設から引き取った子供達なので、ペルソナを失ったり、戦いに敗れたり、暴走してしまったりしたら切り捨ててしまうのは展開として、まだ理解できます。そして、事情はどうであれペルソナを剥がす(殺人)行為をかなりの回数繰り返してきた稀人達には当然の結果だったとは思います。

しかし、問題は特に重要だった人物達の物語の退場の仕方。
特に壮太郎、有働、沙希の扱い

壮太郎は主人公と序盤から絡む機会が多くあり、終盤には危機的状況から沙季や有働に改心しようと説得され、ついに本心を告白。そして沙希に物語の根幹に関わる九条の目的と秘密を明かしたりと、敵側でも重要な役割を担っていました。しかし、九条の秘密でもあった人工的に作られた小松原彩音が目覚めた、その場でペルソナを剥がされてあっさり退場。

有働はメンバー内でも落ち着いており、主人公と戦った際にペルソナの剣で複合ペルソナを貫かれ消失。その時主人公のペルソナの力があれば今の稀人のメンバーを救えることに稀人内で唯一気付いた存在。沙希と共に壮太郎を説得しやり直そうと話していた直後、玖珠弟の暴走を止めようとペルソナ無しなのに単身で玖珠弟の元に向かってしまう。その後登場しなかったが、施設の爆発や九条のペルソナの暴れ具合からしてもおそらく死亡。稀人内でも唯一と言っていい良心だったのに生死すら不明のまま物語退場は酷すぎると思う。

沙希は稀人のメンバーでありながら、神郷兄弟を探ることと、優秀なペルソナを探すために投入された叶鳴の様子を調べる2つの目的で高校生として、主人公達の高校に潜入。
主人公達と交流する機会が多く、特に拓郎とはバイト先が同じだったりと絡む機会が多く、拓郎から沙希については仲間と言われていました。
他にも、人形と言いつつも成長し、心を持った叶鳴のことを思って助けていました。
終盤では有働の働きかけもあり改心しようしていましたが、その矢先に人工的に作られた小松原彩音に遭遇し、戦闘描写も無いまま戦いに敗れ、拓郎達の目の前でペルソナを剥がされ死亡。
沙希は殺人行為を繰り返してきた敵サイドの人間だったので、どうあがいても最終的に死亡するとは思っていましたが、主人公達と戦った末敗れたり、主人公達を庇って死亡したわけでもなく、単身で最強格の相手に挑み戦闘描写の無いままペルソナを剥がされました。最後は心変わりすることが出来て笑って最期を迎えていましたが、特に親密だった拓郎がどうこうする前に死亡してしまうのは正直腑に落ちませんでした。

■過去キャラが別人
戌井(天田)は置いといて、真田明彦は無理に物語の主要人物に加えようとしたとしか思えませんでした。
パラレルワールドとはいえ真田や戌井が過去の出来事について匂わせる発言を何度もしており、SEES時代の出来事はあったはずなのに、まるで過去の出来事が無かったとしか思えない行動、言動が目立ちました。
もちろん、10年も経てば人は変わるとは思いますが、物語後半に敵のアジトを見つけることに難航し、最終手段として囮作戦を考えていました(真田本人は囮作戦は考えてはいても実行しないと語られていました)が、囮役自らの志願があり、結果的に実行するに至りました。

作戦の指揮をしていたのが、この作品からの新規キャラなら苦渋の決断の末この囮作戦をしました。と言われても理解できますが、真田は過去に妹と2人の仲間を亡くしています。
そんな過去がある真田に限って、1人で作戦について抱え込んだうえで、この作戦を実行するのはありえないと思いました。

また、真田が作戦を急いでいた理由として、敵を早く抑えないと危険な状況なのもありますが、真田本人の発言からもわかるように、これ以上動いているのが所属組織にバレると、今の立場が危うくなり今までの活動ができなくなってしまうことを恐れていたからです。
世界の危機なのに、諒、戌井、主人公達、伊藤以外の人物と深く関わっている描写は無く、他のかつての仲間たちに会うことなく作中でも組織に軟禁されることに怯え、心理的に孤立しているようにしか見えませんでした。

過去キャラ達が主人公サイドより目立ってしまわないようにした結果なんでしょうが、中途半端に話に食い込んできて、1番肝心な時に軟禁されてしまうのはあんまりではないかなと思いました。

良かったと思った点

■キャラの成長エピソードが良かった
物語の最初は冷え込んでいた主人公兄弟達でしたが、兄弟同士でも少しずつ心を開いていきます。
終盤では兄と弟(妹)の失踪によって、主人公自身も記憶から消えていた過去を思い出していくことになります。この記憶に関する伏線は序盤からいくつも張られていていました。
また、主人公の仲間である茅野、榊原、叶鳴の成長エピソードもとても良かったです。
それぞれが見ないふりをしてきた過去に向き合い、ペルソナも強くなっていきましたが、各キャラクターが過去の出来事を乗り越えて心が成長していたのにペルソナの外見的変化(覚醒)が無かったのは残念です。

■大人になるとペルソナ能力を失ってしまう設定
最初はなんで大人になった真田や天田のペルソナが見れないんだと不満に思っていました。

しかし、物語後半に敵のアジトを見つけるためにジュンを囮に使う作戦を真田が行いました。
この作戦に対して茅野が真田に向かって「大人の人たちがペルソナを使えなくなってしまう理由何となくわかりました。」と発言しており
この発言を聞いて、大人になるとさまざまなしがらみが絡みつき、彼らが高校時代の時以上にやると決めたことをやり通すのは難しいのだと思いました。
そういった環境に身を置き、目的のためと割り切ってしまうのは仕方ないことかも知れませんが、自らの意思を押さえ込み、やりたいように出来ない不自由さがペルソナが現れなくなってしまうことに直結してるのかなと思いました。

その例として、ペルソナ4U.2の世界(本作とは別の3年後の世界線)では、SEESの元メンバーは大学生の年齢なので大人(社会人)ではありませんが、桐条美鶴はこの時点で警察組織の1つでリーダー、桐条グループ代表として身を置きながらも過去の遺恨を晴らすため自らを貫き活動しており、ペルソナも健在しています。

世界観の違いと言ったらそこまでですが、組織に従わざるを得ない本作のペルソナが使えない真田とは対称的になっているなと思いました。

(内心2人のペルソナをそのまま描こうとしたら作画コストがえげつなさそうだし、主人公達の影が薄くなりかねないから、この設定にした気もしますが解釈の仕方としては上記の内容が1番しっくりきました)


総評

色々書きましたが、主人公である慎の成長や過去の秘密、その秘密に関する伏線は秀逸で見てて面白かったです。

ただ、物語の根幹に関わる設定も謎のまま終わってしまったりと、もう少しアニメ内で補完してくれても良かったのではという気持ちが強かったです。






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