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【アイナナ4部考察】夢の墓碑になるのは誰か(ネタバレ)

【アイナナ考察記事についてのお願い】
・「二次創作」としてお読みください。ストーリーの展開を保証するものではなく、公式やキャラクターを貶めようとするものではありません。
・アイナナに関するすべての情報を把握しているわけではありません。個人の妄想と願望を大いに含む、一解釈であることをご理解ください。

アイナナ4部14、15章。
ついにナギ問題が解決……と同時に、アイナナストーリーは大きな転換点を迎えたと言っていいだろう。ナギの楽しそうな様子で一瞬ホッコリしたのも束の間、今後の重苦しい展開を予感させる伏線が多く、マネージャー各位もさぞしんどい思いをされたであろう。私も漏れなくしんどかった。

追い打ちをかけるようだが、ここではその重苦しい展開を抉りながら予想していきたい。いつも通り、ネタバレと妄想満載なので、不快に思われる方はUターンをお願いしたい。
方向としては、前々回記事の「サポーターの論理」の続編だと思っていただきたい。

話題にしたいのは、
桜春樹の死とゼロリプライズ
和泉一織の暴走、七瀬陸との乖離

なのだが、和泉兄弟の「家」問題や今後の展望にも触れていきたい。

1.ゼロ時代の終焉

桜春樹の死に伴い、ゼロ時代は終わった。
14章冒頭での回想で、若い九条が「ゼロの声と春樹の歌をみんなに届けたい」と言っていたように、どちらが欠けても「桜春樹と九条の夢」は成立しない

桜春樹の発言から考えて、ゼロは死んでいるか、死んだも同然(声を失っている等、アイドルとして復活できないレベル)だと思う。
(ゼロが実体のないアイドルである可能性は捨てきれないが)
この結末から遡って考えると、ゼロの輪郭が少し見えてくる。

桜春樹は九条に「俺と一緒に同じ夢を見てくれてありがとう」と言い遺している。

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この「同じ夢」とはゼロのこと。ゼロは2人の夢によって生まれ、死んだ。今回のキーワードである「なんとなく好き」の嵐に、自己を潰される形で死んだ。

その経験から
桜春樹は、人は徹頭徹尾自分の夢、幸せのために生きるべきだ、と考えた。
九条鷹匡は、もっと確かな夢となるように、徹底的に完璧にコントロールするべきだ、と考えた
最後まで2人は平行線を辿ったのであった。夢は同じなのに。

この違いは、2人にかかわるゼロの次世代アイドル(アイナナ世代)にも影響を及ぼすことになったのだった。

2.分断される桜春樹楽曲

桜春樹は前述した考えの元、七瀬陸に自分の幸せを考えさせ、和泉一織との乖離の種を撒いた。それは同時に、彼がゼロ化しない最後の楔であると同時に、彼を苦しめる棘でもある。

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九条鷹匡は4部以前に和泉一織と接触し、コントロールについての意見をさらりと植え付けていた。そして九条はゼロのかわりに九条天をコントロール対象にしている。
桜春樹亡き今、九条は遺言代わりに託された桜楽曲を天に歌わせようとしている。「桜春樹と九条鷹匡のが見た夢」の完全な再現を願って

桜春樹楽曲は有限の遺産である。
現在未発表曲として残るのは

・ナギがアイナナになる前に託されたもの(残り何曲あるかは不明)
・九条鷹匡が遺言がわりに受け取ったもの(何曲あるかは不明)

この行き先がそのまま、アイドル界の構図になると思われる。

ナギ所有→アイナナ(七瀬陸)
九条所有→九条天


これはつまり、七瀬陸と九条天のどちらがゼロ化するかという問題に繋がる。

ゼロは夢の終わりを見せずに消えた。
だから誰もが夢を諦められない消化不良に陥っている。
その夢を誰かが終わらせなければならない。ゼロというアイドルの夢の墓碑になるのは、天か陸か。それぞれ見ていこう。

3.九条天、ゼロ化の可能性

まず九条天だ。
15章ラストで、九条鷹匡は明確にゼロ化の可能性を示していた。桜春樹楽曲と九条鷹匡プロデュースが揃うのだから、まさしくそれはゼロ再来である。

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しかし、九条天は今、大きく揺らいでいる。
自分の幸せは一体何なのか。
陸を幸せにするため……はもう終わった。
九条の夢を叶えるため……は一時保留。
4部になって明言しているのは「TRIGGERの一員として歌えることが幸せ」、これである。

つまり、天はもう、九条のものでも誰のものでもない、自分の夢や幸せを見つけつつあるのだ。あとはそれを叶えるために、他とどう折り合いをつけるか、だけである。
天の幸せは、楽と龍の幸せとも一致している。もちろん彼らも「誰かのため」ではなく「じぶんの、自分たちのための幸せ」をきちんと持っている。だからこそ、九条から天を救おうとしている。
(4部1章、2章の楽と天の喧嘩参照)

この時点で、天と九条の夢にはギャップが生まれていることを確認しておきたい。もしも天が桜春樹楽曲を受け入れるとしても、「TRIGGERとして歌う」ことは譲らないだろう。「醒めない夢」に傷が入っても、自分たちを見失わなかったTRIGGERなら、ゼロの夢に飲まれることは無いはずだ。

ゼロという夢の墓碑として犠牲になるのは九条天ではない。
彼らはゼロとは違う夢を形にするはずだ。

4.七瀬陸とアイナナ、ゼロ化の可能性

九条鷹匡にモンスター呼ばわりされて以降、ゼロ化の可能性がずっと取り沙汰されてきたのが七瀬陸だ。今回、桜春樹と邂逅したことでその趣は強まったと言えよう。

彼のゼロ化を語るには、まず和泉一織のことを述べなくてはならない
前々回記事でも触れたが、最近の彼はプロデュースというより、コントロールに走っている。九条鷹匡傾向が強まった。
コントロールして何をしたいのか、確認しよう。

アイドリッシュセブンが、ゼロの穴を埋めるように「名声を得る」、トップアイドルグループになること。
その中心は七瀬陸であること。
この2点である。

七瀬陸とアイナナというグループを運命共同体のように考えている一織は、他メンバーの幸せおよび七瀬陸個人の幸せを「アイナナが売れること」だと信じて疑わない
4部前半までの七瀬陸は、「応援してくれる誰かの期待に応えたい」テンションだったので、なんとかそこにギャップが生まれずにいた。

ところが4部15章で桜春樹の遺言めいた言葉を受け取った七瀬陸は、「自分の幸せ」を探し始めてしまう。これは和泉一織との決別への伏線である。

なぜなら七瀬陸は、名声を求めていない

一方で和泉一織は七瀬陸(およびアイナナ)の名声を求める。
陸のために、アイナナのために

4部15章の段階では、まだ七瀬陸が未覚醒であるため、和泉一織の意向が通された。しかし、七瀬陸が和泉三月の申し出(ナギのフォローで締めコメントを言いたい)を、一度は受けようとしたことを忘れてはならない。

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和泉一織にとって、今や三月個人のアイドルとしての成功は二の次になっている。九条鷹匡が悠を捨てたのと同じ現象とも言えよう。これまでは三月の夢をプロデュースしてきた。しかし三月は個性がグループを超えてしまった。

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兄さんに興味を抱いても、兄さんの出演するバラエティ番組を追いかけて終わってしまう可能性が高い

それでは、「なんとなく好き」の力にはならない。和泉一織が思い描く 「みんなの幸せ=ゼロのようになる」の推進力にはならないのだ。つまり、グループを逸脱する個性や考えはいらないのである。

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アイナナがトップアイドルになれば、兄さんも幸せでしょう?

極めつけがこれだ。
和泉一織は相手の幸せを勝手に解釈し、それを押し付け、それを叶えることで自分の夢を具現化しようとしている。全ては善意から。これがツクモとの違いであり、九条鷹匡に近い部分だ。相手に良かれと思ってやっているのだ。

もっと危険なのは、そのことにまだ誰もが気がついていないという事実だ。

影のプロデュースを知っている二階堂大和ですら、まだそこには思い至っていないのである。前から言っているが、このグループは個々の問題が重すぎてグループを俯瞰できていないのが弱点である


さて、話を七瀬陸に戻そう。
彼がゼロ化するかどうか、現段階ではハーフハーフだと思われる。自分の幸せを考え始めたとはいえ、七瀬陸は4部5章の和泉一織の夢の中で「スーパースターになって俺は消える」というゼロ化発言をしている。もちろん和泉一織が発言させているわけだが……九条天よりは可能性が高いと言っていい。

九条天はゼロ化の可能性は、楽と龍が認識している。
アイナナは和泉一織しかそれに気がついていないし、彼はそれを目指してコントロールしているのである。危険度が天と地ほど違うと言っていいだろう。

ただし、七瀬陸と九条天2人だけの対立と、その結果がこの作品の結末とも思えない。だったらもっと早期に決着がついていたはずで、Re:valeもZOOLも要らなかった。

この「ゼロという夢の墓碑」問題に他グループがどう絡んでくるかを考えつつ、最後に今後の展望を述べていきたい。


5.陰陽がアイドル界を転倒させる

まず、最も早く描かれそうなのはブラホワである。和泉一織の言う通り、アイナナはZOOLに勝利するだろう
アイドルの印象を少なからず下げていたZOOLが下がることで、アイドル界は陰陽でいうと陽の気に満ちる。七瀬陸の訴求力が大いに発揮されていくだろう。

しかしそれは、「みんなで歌う幸せ」を良しとする七瀬陸にとっては苦しい展開だろう。陸はトウマに懐いていた。彼らがアイナナの陰で歌えないとしたら……和泉一織が目指すスーパースター街道にはあってはならない考えがそこにある。

こうして
スーパーアイドルグループの核 七瀬陸

自分の幸せを求める 七瀬陸
は確実に乖離する。
ゼロが消えた時と同じ道を辿るのだ。

このままアイナナの暴走が続くかと思われるが、その裏で、リバレ主体、特攻武器TRIGGERという勢力が動いていることを忘れてはならない。
前回記事「Re:valeは過去を再定義する」にも書いたが、彼らはゼロ以前から続く芸能界を転倒させようとしている

ゼロリプライズ側   和泉一織、アイナナ、月雲了、(九条鷹匡)
脱ゼロ計画側 Re:vale、TRIGGER、千葉志津男、月雲兄

このような構図になる。
この中で、アイナナVSTRIGGER(陸VS天)、アイナナVSRe:vale、という展開も有りうるだろう。その過程で、アイナナ内部も分裂して、脱ゼロ計画に参入するメンバーが現れるはずである。「俺たちはアイドルだけど、それは自分を犠牲にすることとは違う!陸のことも救おう!」となるはずだ。
(このあたりは、星巡りでの星玉の分裂にリンクしそうである→詳しくは「星巡りの観測者」から考えるアイナナ第4部、の記事参照)

つまり、陽であったはずのアイナナが、いつのまにか陰になってしまい、分裂……一度はアイドル界再編の犠牲になってしまうという……我ながら最悪のシナリオだ。

最後に残るアイナナメンバーは
七瀬陸
和泉一織
和泉三月

この3人だろう。

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自己分裂に苦しむ陸と暴走する和泉一織を止められるのはたぶん三月しかいない。そこで和泉家の問題も表面化して、この兄弟ははじめて喧嘩するのではないか。この危機的状況を経て、アイナナの復活がはじまるわけである。かつてのRe:vale、TRIGGER、ZOOLが経験したそれと同じように。

個人的にはそこで七瀬陸にも和泉一織にも覚醒してもらいたいし、アイナナもみんな円満で、それをきっかけとして脱ゼロでアイドル界もまとまって、ツクモ兄弟も円満解決して、アイドルが犠牲にならずに欲しいのだが、どうだろうか……

最終的には「誰もゼロの夢の墓碑にはならない」
ただし、ゼロの夢の一部は引き継いでいく

を望みたいところである。

6.和泉三月と和泉一織について

和泉一織同様に今後のキーマンは三月だと思っている。
なぜなら和泉一織をそうせしめてしまったのは、三月由来である部分が大きいからだ。三月のゼロリスペクトが、一織の初期の原動力になっている感は否めない。

なぜそうまでして、兄と軌を一にしているのか。それが和泉兄弟が抱える問題だろう。
ヒントになるのはナギとセトだ。彼らは異母兄弟だ。

ナギ→自力で頑張る、名声はいらず、兄を応援
セト→自力で頑張ることへの恐れ、名声は欲しい、応援が欲しいけど得られないので他を応援して感謝を得る

ナギは三月
セトは一織

に置きえられる。セトと一織はちょっと違うが

一織は何を恐れているのだろうか。
私としては、三月と一織の血の繋がりに由来していそうな気がするのだ。以前私は三月が養子か異母兄だと述べたのだが、たぶん……一織が血縁の近い養子か異母弟ではないかと思うのだ。
彼は三月の家族で在るために、三月に尽くした。三月が幸せなら、自分もその幸せの中にいられる……と。

それがいつしか七瀬陸に置き変わったのだ。なぜならアイナナは、第二の家族だ。和泉一織はそこに在りたいがために、周囲の幸せをプロデュースしようと必死なのだ
ゼロリプライズ問題の終焉は、和泉兄弟の問題の終焉を意味するだろう。そしてそれは和泉一織救済の物語でもある。
アイナナのクライマックスは、和泉兄弟と共に在ると思うのだ。

※アイナナの「家」問題は過去記事にだいぶ書いてあるので、興味があれば


以上、かなり強引な考察になってしまった。
今回は供給過多すぎたのだ。許してほしい。昨年した星巡りの考察が一部当たってしまってだいぶしんどい。救いを……救いのある展開を信じている。


個人的には二階堂大和が八乙女楽が三日月狼を演じることについて「今は八乙女に譲っとく」的に軽く流したのがかなり気になっている。三日月狼を渾身の演技で魅せる八乙女楽を目の当たりにした時、二階堂大和が覚醒すると信じている。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!



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