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映画に出演するし『Yes!プリキュア5』を再び思い出そうの話

見出し画像は5GoGoのOPから。夜空に輝く摩天楼を背景にビシッと決める5人、そして「だってそれが永遠不滅プリキュアよ」という歌詞……まさにそのとおりであろう

・前置き

2020年10月30日午後8時、とある情報が解禁され衝撃の渦に包まれた。

延期に延期を重ねてようやっと公開された『映画プリキュア ミラクルリープ みんなとの不思議な1日』が公開される前日、そして映画が終わった後の恒例になった告知において「次の『ヒーリングっど♡プリキュア』の映画において『Yes!プリキュア5』の6人が出演する」がアナウンスされたのだ!(プリキュア5なのに6人なのかよとツッコミ入れたい人もいるだろうが後でちゃんと解説するから一旦は抑えてくれ)

(熱海あたりがモチーフであろう)すこやか市に住まう花寺のどかと仲間達が東京へ!そこで繰り広げられる物語とは!?そしてキュアドリームの「くだらない夢なんか、ない!」が本当にかっこよすぎる。映画公開あらかじめ告知してなければファンはスクリーンで突如これを叩きつけられ突発的興奮でどうなってただろうか……(前も似たようなのあったな)ともかくのどか達とパートナー妖精との話も強調されてそうとヒーリングっどの皆さんも客演に負けない出番が間違いなくあるだろうし今から楽しみでいっぱいだ!

……とは言ったものの冷静に考えてほしい。『Yes!プリキュア5』は2007年に放送開始したアニメ、つまりもう既に放送開始から14年経過している。映画発表記念にキュアドリームから「みんな久しぶり〜!きっと初めましてのお友達もいるよね」なメッセージが送られたように本当に久しぶり、それどころか初めて見たという人もいるだろう。話題を検索すれば「小さい頃に見てた」「幼稚園の頃にお遊戯会でエンディングのダンスを踊った」という(毎年プリキュア見てる人からすればカルチャーショックを受けるような)ワードがポンポン出てくるくらいだ。そして小さい頃に見たアニメというのは意外と覚えてないものである……

こればかりは仕方ないというもの。しかし過去のキャラクターがゲスト出演するということは間違いなく本編を意識した描写が出てくると自分は推測している。それならもっと明確に思い出しておいた方が映画を楽しめるかもしれない。今までのオールスター映画においても本編での積み重ねあるからこその台詞が数多くあるのだから…具体的にはどういう所だと言われたらそれを後で説明しよう。

ということで今回は映画の予習も兼ねて『Yes!プリキュア5』と『GoGo』について解説しようと思う。……のだが今までのプリキュア解説記事(ホストからだったり殺伐漫画からだったりとキッカケが様々だ)のような「プリキュア見てない人向け」と違って今回は「かつてプリキュア5を見たことある人向け」の記事、つまり本編内のネタバレが多大に含まれてることになってしまう。
「いくら干支が一周したほどの過去作品とはいえ、せっかく映画に出るからとプリキュア5に興味持ったのに全部解説されたらこれから見る気が失せちゃう!」という未視聴勢もいるかもしれない。それをなるべく防ぐために次の項目は軽いキャラクター紹介とざっくりとしたあらすじを、そしてその次は本編視聴前提の深く踏み込んだ解説へと移ろうとする(なお引用する際は『Yes!プリキュア5』からは話数のみ、『〜5GoGo』からはGoGo○話と表記する)

それじゃあまずはネタバレに配慮したキャラ紹介からだ。みてみて見てね!


・Yes!プリキュア5とは(初心者にも安心な解説)


とりあえず1話だけなら公式で常時配信されてるので見て当時を思い出したり初めてを味わおう。ちなみに二期である5GoGoの1話も公式で見れるぞ。

遅刻しそうな女の子が急いでたら光るちょうちょを見つけて、つい路地裏へ追っかけたらイケメンとぶつかりロマンチックなBGMが流れ……まるで王道の少女向けアニメのようだぁ(少女向けアニメです)

『Yes!プリキュア5』は先程も言ったように2007年から全49話、その後に二期として『Yes!プリキュア5GoGo』が全48話放送された。1年完結が基本になった今のプリキュアシリーズから見ると2年続いたというのは異色みたいに見えるが、その体制を確立した『フレッシュプリキュア!』以前はシリーズの黎明期ゆえにけっこう模索的な部分もあったのである。
これの前作品は『ふたりはプリキュア』および『ふたりはプリキュアSplash☆Star』とタイトルにあるとおりプリキュア二人体制で物語が進むというのが基本的な作品構造だった(ひかりや満薫は一旦おいといて)が、このプリキュアは革新的な方針を取り入れた。タイトルにあるように5人でのチームになっているのだ。まるで戦隊みたいだと発表当時は言われてたそうな

5人それぞれに変身するまでのドラマが存在し、そして6話「プリキュア5全員集合!」にてタイトル通りようやっと5人揃って一斉に名乗るのだ。これ以降においても初期メンバーは2人というプリキュアは定期的に出てくるが、3人以上の複数存在するプリキュアメンバーという現在おなじみの要素を確立したのがプリキュア5だ。彼女たちもまた連綿と続くプリキュアシリーズにおいての偉大なる開拓者である。
…なにやら見出し画像や映画予告に出てくるのとは服装が違う?その通りでこちらが『Yes!プリキュア5』の服装で二期である5GoGoから服装をリニューアルしており、現在はその後期バージョンの服装が定番の衣装になっているからである。ドリームのヘソ出しとかレモネードのもこもこパニエとか失われてしまったものもある……

サンクルミエール学園(Cinq Lumièresすなわちフランス語で“5つの光”だ!)に通う学生で構成されており、主人公であるキュアドリーム/夢原のぞみ、のぞみの幼馴染なキュアルージュ/夏木りん、そして彼女らより一学年下であり女優も兼業しているキュアレモネード/春日野うらら、逆にのぞみ達とは一学年上にあたるキュアミント/秋元こまちキュアアクア/水無月かれんの5人がメンバーになっている。

まずはなんといっても外せない主人公の夢原のぞみ(cv.三瓶由布子)。これ以前のプリキュアが茶色だったり黒寄りだったりブロンドだったりと現実でもいそうな髪色だったのに対し、ビビッドなマゼンタカラーの髪がとても印象的で「プリキュアの主人公=ピンク」というイメージを定着させた人物であろう。
性格は基本的に明るくとても前向き。そしてなにより他者の夢を信じる芯の強さを持ち、そんな彼女の信念によりプリキュアの資格である蝶に選ばれ「大いなる希望の力」キュアドリームになったのだ。

声を演じる三瓶由布子さんといえば少年役のイメージが強い(放送当時に某ラジオで友人である水沢史絵から「あんたがプリキュア?しかもピンクでセンター!?ないないw」とネタにされてたりした。なお後にそっくりそのまま返された)が、その恩恵か上記の映画予告のように決める時はめちゃくちゃかっこいい。そしてときおり大人の女性のようなおちついた口調で慈愛に富んだ顔をしてくる。それらの強さや優しさ、そして上の性格を含め人を惹き付けるカリスマ性が特に高く根強いファンも多い。NHKで行われたプリキュア大投票において4位と高い順位なのも納得だ

…と、これだけだと超つよガールなのだが学業成績も運動神経もドベ、不器用でドジで方向音痴ぎみで天然入りのアホの子と実はとんでもないくらいのダメダメ要素満載だったりする。画像1枚目は11話「のぞみとココの熱気球」での数学の小テストのなんちゅうかわいい数字(こまち談)の点数。生々しい低さでこれを見て自分は目眩を起こしてしまった…
そして画像2枚目は25話「プリキュア合宿大作戦!」にてせっかくの夏休みだからと合宿計画を主催した際に「まずはおやつについて〜」とのんきでおめでたい顔しながら提案するもそれ以外のことは全くなんにも決めてなかったというシーン。上の画像とは同一人物とは思えん無邪気さだ……そういう茶目っ気あふれる所も魅力のひとつである

そんな彼女が伝説の5人が一人である希望のプリキュアになって物語が始まり、そして仲間たちが加わってくる。それが情熱、はじける、安らぎ、知性のプリキュアだ(はじけるってなんなんだろ……?)

のぞみの隣にいるのが彼女の幼馴染であり「情熱の赤い炎」キュアルージュになる夏木りん(cv.竹内順子)。スポーツ万能で多数の部活の助っ人として引っ張りだこなボーイッシュ少女、さらに実家が花屋で手先も器用でアクセサリー作りもこなす乙女な側面も……幼馴染と違い変身前が現実でも存在しうる赤髪なのも相まってこれまでの作品に出てきた美墨なぎさや日向咲といったスポーツ系少女の系譜を色濃く受け継いでる趣がある。
作品内の貴重な常識ツッコミ枠で、特に幼馴染ののぞみには小さい頃から何度も振り回されているが……

のぞみやりんちゃんとは一つ下、いつも敬語な「はじけるレモンの香り」(もはや清涼飲料水のキャッチフレーズみたいだ)キュアレモネードこと春日野うらら(cv.伊瀬茉莉也)。幼きながらも女優業も兼任しており、よく休み時間には独りで演技の練習に励んでる姿が見られるほどに夢に実直で熱心……なのだがそのせいで友達が周りいなくても夢のためなら構わないと思うほどに……
仕事が仕事なせいかカメラを意識し演技してるようなカットがちょくちょくあり(画像の敵幹部の帽子が飛んできた時のやつとか)今回の映画の監督の大塚隆史氏はメンバー内で一番好きとのことなので活躍が楽しみである。

逆にのぞみ達とは一つ上の1人である「安らぎの緑の大地」キュアミントの秋元こまち(cv.永野愛)。小説家志望で清楚でお淑やかと大和撫子そのもの、思慮深く周りへの気遣いも効くが、それゆえに引っ込み思案なせいで自分の意見に自信が無い一面も……
プリキュアにおいてもミントプロテクションやミントシールドなど防御技によるサポートを得意とするまさに彼女の性格を表したかのようだが、その気になればバリアをそのまま敵に発射し大地ごと抉り取る通称“ミント砲”のような芯には強き心を秘めたような一面も…

そして最後に加入したのが「知性の青き泉」キュアアクアの水無月かれん(cv.前田愛)。サンクルミエール学園の生徒会長で凛とした佇まいに相応しい才色兼備ぶりと責任感の強さで皆からも頼られる存在。しかし割と自分だけで解決してしまう器用さだからこそ「結局は私がやらなきゃ駄目なのね」と一人で抱え込んでしまいがちで…
アクアリボンを用いた華麗な剣さばき(リボンです)による愛馬チャーリーとの騎馬戦や、同じく剣を用いた(こっちはリボンです)敵との凄まじい殺陣は見応えがあるぞ!

革新的な要素というのはプリキュアが5人出てくるだけでない、冒頭にあった通りなんと今作にはイケメンの大人が出てくる。しかも異世界の王子様!!しかもしかも2人も!!!

上がcv.草尾毅のイケメンのココ、下がcv.入野自由のイケメンのナッツ。改めて見たら記憶以上にかっこよくて自分も驚いてる。ちなみにそれぞれ24話「新たなる5人の力!」と16話「こまち小説家断念!?」というキャラデザ担当の川村敏江氏が作画監督を務めた回なのでイケメン度が凄まじい。
こんなイケメンでさらにパルミエ王国なる異世界の王子たち(二頭政治だろうか)にさらに性格もしっかりしていると恐ろしいスペックであり、2019年にNHKで行われたプリキュア大投票キャラクター部門ではそれぞれ2位に7位とものすごい人気。もちろん放送当時大人のお姉さん向けグッズがわんさか出たしラジオ番組もあったし10年後になって抱き枕カバーが出た。以前の作品にも憧れの先輩や友達のお兄ちゃんみたいなイケメン君はいたが、割と日常世界にもいそうな彼らと違いこちらはまさにアニメにしか出て来なそうな(アニメです)存在である。そんな彼らがどんな夢も叶えられる奇跡のアイテム“ドリームコレット”で敵に滅ぼされたパルミエ王国を復興するのが一期の目標である

『映画プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』より。王族の衣装を纏う姿はもう向かうところ敵なしといわんばかり

……ってここまでノリノリで言っておいてあれだが、みなさんご存知の通り正体はかわいいかわいい妖精さんである。

これがココとナッツそれぞれの本当の姿だ!かわいい。そもそもパルミエ王国というのは妖精たちの国なのである。そしてこんなかわいいのにcv.は据え置き。元が少年役向きの声な入野自由はともかく当時41〜43歳と壮年である草尾毅が必死にかわいらしい小動物な裏声を出して演じている。常時出すのキツそう。でもこれがプロの仕事。もちろん今回の映画でも55歳は裏声でがんばる。(流石に演じるのキツかったからか後作品にてイケメン兼妖精が出てきた際は形態毎にそれぞれ別の声優が担当した。でもこちらは依然据え置き) 画像は『映画Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』にて上記のイケメン姿かつ王子そのものの衣装をまとう虎に翼状態だった彼らに対し「でも本当は……」と浮かび上がるシーン。もちろん当時この衣装バージョンのぬいぐるみも出た

そして1話冒頭の路地裏にて巡り合うロマンチックなシーンで察するように、この妖精はなんとプリキュアと…………

「ココ……私を思い出して…………」
『映画Yes!プリキュア5GoGo お菓子の国のハッピーバースディ♪』での衝撃のシーン。敵に操られキュアドリームに襲いかかるココ!その洗脳を解くために彼女は……ここだけ切り取ると唐突に見えますが、ふたりはもう一期の時点で既にそういうのしてるような関係になったと思われるのでご安心だ。こんな「マジもんの王子様」とのラブロマンスな展開なんて女向けアニメみたいだ……(少女向けアニメです)

「ココ様ものぞみもちょっといちゃつきすぎミル!このままだと話が脱線するミルよ!!!」


……とこんな話してたら彼女に怒られそうだ。ミルクである。

このロップイヤーのような長い耳を持つ妖精がミルクだ(cv.仙台エリ)人間換算した年齢的にはのぞみ達とそんなに変わらぬがパルミエ王国の御世話役見習い(政治経済文化歴史と王国全てを学び王様と国民を繋ぐ…謂わば官職に近い)というエリートコースを掴み取った実はすごい娘……なのだがパルミエ王国が敵に襲われ崩壊し命からがら逃げ独りでさまよっていた際には道中でかわいいぬいぐるみのフリして拾われる形で民家に忍び込み飯をちょろまかしては脱走し食いつないでたというスラム街の子供みたいな生き延び方していたことも……

そもそも画像元である初登場の21話「お世話役見習いミルク登場!」において登校中ののぞみのカバンに忍び込み弁当を盗み食いしてきたという現行犯の盗っ人猛々しさを見せつけるし、彼女がプリキュアだと名乗ろうとした際も「はぁ〜〜!?今はプリキュアの話してるミル!」と信じられるかと言わんばかりの態度。この一件や元からの頑固な性格もあって度々のぞみとはケンカしたり意地を張り合ったりと……むしろのぞみの天然ボケに対してツッコミを入れたりと凸凹コンビのような間柄である。


そんなミルクは二期でココ達のように人間態になれるようになり、さらにはプリキュアに変身するのだ!それこそがプリキュア5の6人目の戦士、「青いバラは秘密のしるし」ミルキィローズ!…プリキュア5というメンバーなので気を利かせてキュア〇〇では無いがプリキュアとしてカウントされているぞ。

GoGo10話「出た!青いバラの力!」にて圧倒的実力でプリキュア達の窮地を救い夕陽を背に決めるミルキィローズ、そして翌週のGoGo11話「華麗に変身!ミルキィローズ!」にて登場する変身前の美々野くるみ。ココ達のように人間時は妖精の頃の面影が薄いがよく見ると瞳の色が同じ赤だったりする。
変身時は単体でも非常に強く映画では敵の首領とタイマンで殴り合ったり地面に巨大なクレーターを作るほどの威力を誇るパンチを放ったりとかなりの実力だが、力を使いすぎると姿を維持できず妖精態に戻ってしまう(逆に一時的に妖精に戻り攻撃を回避するテクニカルな立ち回りをすることも)
人間態ではなんだかんだで王族の御世話役といわんばかりに器用達者に様々な事をそつなくこなす優等生キャラ(ただし異世界出身なせいか微妙に間違ってたりする)、そして天然ボケかますことが多いメンバー内での貴重なツッコミ枠。それまではりんちゃん一人が担っていたが彼女のおかげで負担が軽くなったのだ……とまあそんな強さと美しさと時折見せるお茶目さもあって当時は女児達からの人気が高く、現在のプリキュアにおいてはおなじみの紫キュア枠を定番化させた立役者と言っても過言ではないだろう


ちなみに人間態になってからは一期で見せてたワガママぶりは収まり他の人達には割と穏和に立ち回ってるが、のぞみに対しては相変わらずである。そもそもが瞳と髪の色がピンクと紫それぞれ逆になってたりと対を意識したようなデザインになっておりこう並ぶと壮観さもある。ちなみに人間態時はのぞみの方がくるみより僅かに背が高いが、変身するとミルキィローズはハイヒールを履いてキュアドリームの背を抜こうとしてくる。ちょっと意地っ張りさも感じるナイスデザインだ

じゃあ一期の頃はミルクは何してたの?と言われるとドリームの腕に装着されて強化アイテムになってた。プリキュアの妖精は初代から最近の『ヒーリングっど♡プリキュア』に至るまで変身アイテムになったり強化アイテムになっていたり(おもちゃの販促である)したがミルクもその一環で「プリキュア・ファイブエクスプロージョン」なる合体技を出すためにミルクルタッチなるガジェット化していたのだ。このせいでミルキィローズはプリキュア史上唯一の強化アイテムにもなったプリキュアという誇れるのかよく分からんアイデンティティを備えてるキャラクターなのだ!

そして二期の5GoGoにはシロップとメルポという妖精も出てくる。

画像一枚目の左側の鳥さんがシロップ(cv.朴璐美)、右側のスポンサー元のバンダイが液晶おもちゃ販売したかったから出した……と思わせておいておもちゃは出なかったという衝撃の事実を備えたのがメルポ(cv.水田わさび)シロップは他の妖精たちと違って巨大な鳥モードになりプリキュア達を乗せて異世界へと飛び立てる特殊能力持ち(羽根がタラップのようにゴキゴキ曲がったりモニター内蔵してたりと現在話題のストップモーションアニメのアレを彷彿させる)さらには物語開始時点で少年のような人間態にもなれるトンデモスペック妖精だ。
メルポが受信した手紙や荷物を異世界を跨いで配達する「運び屋」として生活しており、ひょんなことから彼がプリキュア宛の荷物を渡したことから二期の物語が始まり……自分の故郷の記憶が無くてそれが知りたいという願いを秘かに抱いてるぞ。

ここらへんが大まかな主要キャラの説明である。他にも増子さんやおタカさん、坂本さんにたむけんさん(放送当時はキッズ人気あったからかゲスト出演した)と色々いるが話してたらきりがない。しかしそれでも話しておきたいキャラクターがいる……そう、それは敵サイドにて高き人気を誇り数年後に公式グッズも販売したあの……

ふっふっふ……それはつまり“私”のことだよね……というかこの流れで私じゃなかったらおかしいでしょ?本編の活躍も去ることながらプリキュア5と一緒に様々なオールスター回に出てるからめいっぱい語れちゃうし、しかも前売り券特典シール見るかぎり今回の映画でも出演確定しちゃってるんだよ〜?それならば私についても思い出した方が皆さんのためになるものだと思わないかね私はそう思っちゃう

違います。ブンビーさんも確かに上記に当てはまる大人気キャラですが、残念なことにひとつの記事として書けるくらいの内容量になっちゃうと判断し尺の都合で削りました。今日の所はお帰りください

えっちょっとまってそんな〜〜〜〜ギャラもまだもらってないのに〜〜〜〜〜!!!


しょうもない三文芝居はともかく。忘れてはならないのは彼女…ダークドリームのことである

「私はあなたなのだから……」
『映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』にて登場し、映画オリジナルキャラクターだが現在においても根強い人気を誇る彼女がダークドリームだ(cv.西村ちなみ)
悪しき存在シャドウが鏡の国のクリスタルから創り出した“世界を絶望に沈める闇の戦士”(中二全開な二つ名だが創造主シャドウがそう言ってるから仕方ない)。クリスタルに映った夢原のぞみの姿をコピーして誕生しており非戦闘時はゴスロリファッションだが戦闘時になれば黒をベースにした衣装に変身しキュアドリームを倒すという唯一つの使命の元に襲いかかる!が……
映画という一度しか登場しなかったがNHKプリキュア大投票キャラクター部門において4位という非常に高い投票数を獲得し、さらに以前も公式グッズ化(真ん中のやつ)されるという奇跡も起こったほどである。なぜそこまで人気があるのかと言うと……



……と、ここまでが未見勢向けのおおまかな内容である。これ以降は中身をけっこう深堀りして紹介するのでネタバレ満載である。流石にそういうのは実際に見てほしいものである。今ならdアニメストアやで月額440円、アマゾンプライム会員ならプライムビデオでプリキュア5もgogoも全話見れちゃうのでレンタルするよりもお得なのだから

プリキュアシリーズ見るなら初代から割と最近のスタプリまで網羅しているdアニメストアが特にオススメだ!まだ見てない人も昔見てた人も是非この機会にどうでしょうか?

そういうわけで次からは容赦なく作品の奥底にまで迫るぞ!大胆不敵フルスロットル!!





ちゃんと本編を見たかい?









・ここからネタバレ全開の前置き

ということでここからは「ああプリキュア5ってこういう話だったね」という部分を話そう。
Yes!プリキュア5といえばなんといっても「複数のプリキュアによる群像劇」そして「その仲間達からの絆と共に紡がれる自分たちの“将来の夢”」であろう。それまでのふたりはプリキュア〜Splash☆Starはタイトルの通り2人のプリキュアとサブキャラによる日常的な話で構成されており、その自分たちが暮らす日々を大切にしていきたい話が多かった。もちろんそれ自体も非常に尊く、現在においてもその日常的部分を強く意識したプリキュア作品は見受けられる(それこそ『ヒーリングっど♡プリキュア』はそっちの日常的描写の方が多く描かれている)。しかし『Yes!プリキュア5』は新しい試みとしてプリキュアを5人に増やし、彼女たちが各自の将来の夢の物語という大河的ストーリーを展開するのだ。

5GoGoのタイトルコールより。6人と歴代プリキュアの中でも相当な大所帯メンバーである

…と、この下に書いたのだが書いてる内にあまりにも重要ポイントが多くなりすぎて文章が大容量になってしまった。まさかこんなにもなるとは……一気に読む時間が無さそうなら項目をそれぞれ細かく分けておくので上の目次からジャンプして見てほしい。

・プリキュアの資格

まず話すべきなのはなぜ彼女たちがプリキュアになれたかである。二期からの追加戦士になったミルクは物語のキーアイテムであるローズパクトからこぼれ落ちた青いバラの種を拾い咲かせたことにより力を授かったが、その他の5人はそれぞれ“プリキュアの資格”なる光輝く蝶に選ばれ変身できるようになった。その選ばれる条件というのが「誰かを助けたい、守りたいという強い想い」だ。

「夢はとっても大事なものなんだよ……自分がボロボロになっても叶えたい大切な夢なんだよ……!それをバカにするなんて最低!だから絶対に(ドリームコレットを)渡さない!」

その“蝶”に選ばれる資格というのは1話「希望のプリキュア誕生!」から既に発揮している……学園の図書館にて登校時にぶつかったイケメンを見つける(イケメンだが不法侵入だ)のぞみ、彼は探してたドリームコレットがここにあると発見するも、敵も目星つけて追ってきてコレットを奪い取ろうと…人間でない異形の怪物へと姿を変えココを夢ごと切り裂かんと襲いかかる!そんな絶望的状況に「無関係なお前は見逃す」と言われるものぞみが返したのがこの言葉だ。言っておくがまだ彼女はプリキュアのプの字も知らない、どう足掻いてもこんなやべー奴に勝てる訳ない、それでも他者の夢を尊重し決して諦めてはいけないと力強く叫ぶのだ。だからこそ夢原のぞみは蝶に選ばれキュアドリームになれたのだ。

めでたくプリキュアへと覚醒したのぞみ、しかしみなさん御存知の通りプリキュアは5人いるので他のプリキュアを探さねばならないという事態へ……(何気にこれも今となっちゃおなじみだが「ふたりは〜」シリーズには無かった新要素である)
ということで他4人のプリキュアへと覚醒する物語が始まる。まずはのぞみの幼馴染のりんちゃんだが初っ端からすごい。なぜなら彼女…夏木りんは「プリキュアなんかなりたくない」とキッパリ言い切った歴代プリキュアシリーズでも唯一無二の存在だからである。そんな話が2話「情熱全開キュアルージュ!」だ

開幕なにやら幼馴染がルンルン気分だったもんで理由を聞いたら「変身できるようになった」と言ってきた。しかも変身して悪い奴らと戦っちゃったりなんかしてと冗談半分に聞いたら“マジ”みたいだし、挙句の果てには一緒にやってほしいと頼んできた!苦笑いがみるみる内に引きつる……夏木りんは常識人なのである。
「りんちゃん、一緒にプリキュアやろう!」
「は?」

プリキュア、ドリームコレット、パルミエ王国、新任イケメン教師の小々田コージの正体はかわいい妖精……そしてココの国を滅ぼした恐ろしい存在。どうやら幼馴染の言ってたことは“マジ”のようだ。見ず知らずの世界の住人(しかも後に分かるが王子様だってよ)の故郷を復活させるなんて遠大な願いを安請け合いで受けていいものなのか、あんた昔からそういう所あったよね……そう、昔から……

「考え無しに行きたい方向へ行って、迷子になって、転んで、泣いて……昔からロクな目に遭わなかったくせに……」

こんな幼い頃からの長い付き合いなので分かってしまう。あの時も夕暮れ時の暗い中をふたりで帰っていったんだっけ……ずっこけて泣いてたアンタを励まして……と心配してたら明らかに“関わっていけない”類の不審者が!常識人なりんちゃんはすぐに危険を察知し真っ先にのぞみの元へ駆ける!

「プリキュアなんてすぐやめな!アンタには無理だよ!危険すぎる!!」「ダメだよ!絶対ダメ!アンタはいっつも無茶なことして……これは怪我じゃ済まないんだよ!?」必死の形相で親友を止めようとするりんちゃん。そりゃ普通に考えたらそうするだろう。コイツ等はヤバい、平気で人を傷つけるような奴らだ。お願いだから…!
それでも幼馴染は止めない。決めたから。ココの願いを絶対叶えるって決めたから。それこそ“マジ”である。

目の前で変身し悪い奴らと戦っちゃったりする幼馴染ならぬキュアドリーム。しかしただでさえヤバそうな奴が怪人のようになり更には恐ろしい怪物まで呼び出して……
「君は恐ろしい相手に立ち向かったりしないよな?」敵は双方によるセットプレーでキュアドリームを追い詰め、さらには恐怖で足がすくむ自分に聞いてくる。自分はのぞみとは違う、こんなの立ち向かえる訳ない……
(怖いよ……こんなの怖いに決まってるじゃない!でも…………)

(本当に怖いのは……のぞみがいなくなること……!)

既に日が暮れて真っ暗闇の道、本当は怖いに決まってる。いきなりカラスが出てきて恐怖のあまり動けなかったんだった。のぞみを助けるために自分はこんな目に……違う、のぞみはそんな自分を励ましてくれたのだ。あの時、自分は彼女の前向きな気持ちに救われていたのだ

後に語られる36話「目指せ完走!マラソン大会」においてもこのような助けられた思い出は存在する。小学校時代に徒競走で持ち前の運動神経でカッ飛ばしてたのに途中で転んでしまってもはやゴールする気力が失いそうになったとき、(先述したように運動神経ドベなので当然のごとく最下位だった)のぞみが支えてくれてゴールまで到達できたのだ。自分はいつも助けてもらってたんだ、そして今も……だから!


「ねえ…どうすりゃ変身できるの?」「プリキュアになりたいココ?」
「本当はやりたくないわよ!でも…今あたしがやらないで誰がやんのよ!?お願い…のぞみを助けたいのよ!」

これこそが歴代プリキュアシリーズにおける夏木りんの唯一無二の変身理由である。大切なのは「誰かを助けたい想い」そして「自分自身でプリキュアになる選択すること」。りんちゃんは本当はこんな恐ろしい事に関わりたくない常識的な考えも確かに存在する、しかしそんなことよりのぞみを、自分が辛い時に支えてくれた大切な親友を助けたい気持ちの方が遥かに上回ったのだ!そのためならプリキュアになる選択をする、まさに情熱の戦士に相応しい少女なのだ!

「どんな時も……一緒だった。これからもずっと……一緒なんだから!友達なめんな!!」

 

うららとこまちさんものぞみがキッカケであった。女優という夢のためなら友達作る時間すら割かず独りで努力し続ける、小説を書いてるが応募する賞に落選し自信が無い、そんな二人を「一人じゃないよ」「せっかく見つけた夢なんだからそんなに簡単に諦めちゃダメですよ」と言ってくれたのだ。そんな自分を大切にしてくれた彼女がプリキュアになるも苦戦していたのを「助けたい」と願い蝶に選ばれ自分もプリキュアになったのだ。

とまあ4人までは順調だった。しかし上で言ったように「プリキュア5全員集合!」というタイトルは6話なのだ。5人なのに6話、これが意味するのはそう……キュアアクアが、かれんさんが最初は変身できなかったのだ。

今もなお語られ続ける5話「プリキュアの資格」における衝撃の変身キャンセル。この流れからいけるやろと思わせておいてこれ。他4人も相当なショックを受けていた。余談だが強い印象を与えるからか後のプリキュア作品でも最後に加わる一人が正式加入回をずらすパターンはちょくちょく見受けられる

当時は(主人公より年上がプリキュアになる革新的要素だのかれんさん本人が大人びてるだので)年齢制限に引っかかったなどと不名誉なことぬかす輩もいたが全然違う、ちゃんと見れば分かるがむしろ蝶に選ばれる素質「誰かを助けたい、守りたい想い」は他メンバーのそれ以上に備えていたのだ。ではなぜ変身できなかったのか、それは実は既に書いていたりする大切な“トリガー”が必要だったのだ

・水無月かれん編

両親共に一流の音楽家で世界各地で演奏する日々のために娘が幼き頃から家になかなか帰ってこれなかった水無月家。寂しい気持ちは確かにある、それでも時折かかってくる電話での声は嬉しいものなのだ……心配かけまいとワガママになってしまう本心は言わないが。

それは今になっても変わらぬが自分は生徒会長、多くの仕事をこなさねばならぬし下の者から頼られるなどしょっちゅう。それを果たすためなら自分の本心を抑えるべき……幼き頃と同じように、両親と会話する大好きな時間を犠牲にしてでも
彼女は頼られたらきっちりこなす真面目で優しき人なのだ。だからこそ「結局は私がやらなきゃ駄目なのね」という自身の意見でなく立場による責任でこなす諦観を持ってしまったのだ。

これこそが「誰かを助けたい想い」につられて彼女の元に蝶が来るも「目の前で困ってる人がいるから責務を果たさねばという責任からであって、自分自身でプリキュアになるという決断でなかった」というのが却下を食らった真の理由なのである。事実キャンセルされた後に「私は貴方たちを助けようと心から願って…」と言うもそれは本心ではないと気付いてしまい……

「あんなに優しく人を想うことができる水無月先輩がプリキュアになれない筈がないですよ!絶対なれます!」
皆がこれは無理だと諦める中で唯一そんなことなく信じてたのがのぞみであった。彼女はかれんさんが両親と電話している際に見せる自然な笑顔に、(生徒会の仕事で本来の時間より遅れてしまったことを)心配かけまいと優しく気を遣う姿を見て確信を得ていたのだ。かれんさんこそ5人目のプリキュアに相応しいと。

「力なんか無くたって…みんなを助けたいと想う気持ちは私だって同じだから!それに…みんなといるととっても楽しいの……プリキュアになれなくても、みんなと一緒にいたい!みんなの力になりたいの!」

のぞみの言葉を受け彼女は「素直な本心としての自分を見てプリキュアになれると信じ続けたのぞみを、その仲間であり一緒にいると心から楽しいと思えるようになる彼女たちを守りたい」と心から想ったのだ。元より素質は十分、ならば自分で選択する決意さえあればプリキュアになれるのだ!

5人揃って敵を退けた夜にかれんさんはお母様に伝える、自分のちょっとばかしの本心を…「会いたいな」と

このように一苦労あったものの無事にキュアアクアになり、こまちさん以外にも打ち解ける友達ができたかれんさん。その大切さを早速分かるのが14話「悩める生徒会長かれん」だ。

多数の部活の部費が足らず生徒会長になんとかしてくれとすがるも、流石のかれんさんでも年度の予算捻出をどうするかなんては不可能……なんとかしてあげたい気持ちはあるが、かつてなら一人じゃどうしようもないと諦めていただろう。しかし仲間たちと試行錯誤して案を出し今あるもので乗り切れたのだ。一人では辿り着けない答え…“あの時”のように

「本当にそう思うの?納得いくまで行動しないと後悔すると思う!」
28話「こまちの夏祭り奮闘記」の回想にて。あれはまだ水無月さんが一年生の頃に社会科見学で工場に行く企画を任されていたのだったのがトラブルで中止になりそうと諦めかけていた時、声をかけてくれ共に代替案を出してくれたのは秋元さん…こまちだった。上述の部費の予算で一方的にせがんできた者共から庇ったのもこまちさんだ。この回は逆にこまちが諦めそうになる境遇に追い込まれた際にかれんさん達が助けようとする内容になっている…まるで恩返しのように


プリキュアになるのに一苦労あったかれんさん、しかしよく見れば彼女がプリキュアになれるのは当然の理由であったのだ。そしてその「誰かを助けたい想い」が強く活かされ……彼女のへと繋がったのだ。

26話「ロマンス全開リゾートライフ!」より。水無月家所有の島(言い忘れたがかれんさんの両親は高原にテニスコート付き別荘や島ひとつ所有していると超セレブだったりする)でのぞみが提案したバカンスを経験するプリキュア達。それでもミルクは御世話役として王子達にかしずかねばと大慌て……の中でかれんさんは「(ふたりは他のみんながいるし大丈夫だから)たまにはのんびりすれば」とお姉さんのように優しくジュースを差し入れる。生徒会長として自分の楽しみを犠牲にしてた過去もある彼女だからこそ、職務に対しての責任感が強いミルクを気遣えたと考えると感慨深い…


30話「ミルクの決意とみんなの力!」より。のぞみと大喧嘩してしまい彼女の「(自分と違って)将来の夢を持ってない」ことを責めてしまったミルク。言い過ぎたとは反省しているが彼女への意地が邪魔しどうすればいいか分からず……そんな時に優しく声をかけてくれたのがかれんさん。のぞみが自分を素直に向き合ってくれたおかげで両親に本心が言えたこと、自分ものぞみのように将来の夢をまだ見つけてないことを告白する。それでも夢へと進む頑張りと夢を探す頑張りは同じものだから、素直な気持ちで向き合えば分かり合えると諭したのだった。思えば表向きはあんな厳しい顔つきばかりだったかれんさんもすっかり優しい顔つきになった、それも素直になれるみんながいるからだ……

そして決定的なポイントになったのは34話「ミルクを守れ!白馬の騎士かれん」である。風邪を引いてしまったミルクを必死に看病するかれん、最初から誰よりも先にミルクの容体に異変があるのを気付いていたのは生徒会長らしい幅広い観察眼だろう。そしてつきっきりの看病は大変だが(リンゴの皮を剥くのも初めてなくらいだ)ミルクの笑顔が好きだから元気になってほしいの一心で健気に献身する優しさ……そして大切な人を守りたい想いは人一倍強いのが水無月かれんである。ドリームコレット預かるミルクを守るため白馬チャーリーに跨り単騎で敵に立ち向かうというタイトルに偽り無しの活躍を見せる。

そして無事に回復するミルク。後に彼女はこの一件で自分自身で見つけた、誰かを笑顔にすることができる「将来の夢」―医者への道を目指すことになったのだ。

二期でもミルクとかれんの話は度々入る。GoGo19話「浦島かれんと亀ミルク!?」で両親に自分の夢のことを伝えようとするもうまく綴れず悩むかれんにあの時教えてくれたように素直な気持ちを書けばいいと後押ししたり、GoGo36〜37話「危うし!ファイブDEチャンス!」ではかつての自分を気遣ってくれたように今度は5人出場のクイズ大会出場権をかれんに譲渡するという献身的な場面も……

かれんさんの医者になる夢……『Yes!プリキュア5』は先述した通り将来の夢というのもテーマに扱った作品である。もちろんそれは4人も同じく自分達の夢に対しての物語が存在する。次の項目で語っていこう


・秋元こまち編

ここからは彼女たちの夢の話を始めるとしよう。まずはこまちさん、そして彼女の物語に大きく関わったナッツさんの話からしよう。

小さい頃に姉まどかに書いた感謝の手紙を喜んでくれたことで「文章を通じて伝える気持ちの素晴らしさ」を知った秋元こまち(GoGo20話「こまちとまどか 二人の夢」より)。それは小説家という形で夢になり書き続けるもうまく行かず諦めそうになる所を、のぞみに助けられたというのは先述した通りだが……

そんな彼女に“荒波”が立ちはだかるのは16話「こまち小説家断念!?」。タイトルにもあるように彼女が執筆した小説『海賊ハリケーン』(豪華客船が嵐と中世の海賊に襲われるも“どこぞのあの子”のように主人公が希望を捨てず立ち向かう話)をパルミエ王国でも読書家で有名だったナッツに読ませるも「こまちがこの物語で何を訴えたいのか分からない」「説明しなければ分からないのならこれを読む意味はないな。本にする価値は無い」と容赦ない酷評を受けてしまう。多数の話を読み識る者ならば中学生の書いた小説など稚拙に見えてしまうのは事実かもしれない、温和な性格のこまちさん故に書く物語のフックが弱いと推測できるのも余計に彼の指摘が的確だという裏付けも感じる、そしてその真正面からの厳しき批評に中学生が耐えられないのもまた事実である……

流石にナッツさんも言い過ぎたと我に返るも時既に遅し、彼女は深く落ち込んでいた……そもそもコンクールに応募するも落選ばかりしてた自分だ、それを目の前で実証されただけ……幼き頃に見た夢物語なだけ……フォローするかれんの声も芯に届かず……
一方で夢の始まりからずっと見ていた姉まどか(顔はそっくりだし声も同じ永野愛さんだが、髪色が違うし声質も使い分けてるし何より大学生なので胸が大きい)は「これしきのことで落ち込んでたら、しょせん作家になるのは無理よ」と言う。ここで彼はようやく気付く、小説というのは彼女の“夢”だったということに

そんな『海賊ハリケーン』の原稿を敵が利用し物語の世界にプリキュア達を引き込み彼女らにピリオドを打たんと襲いかかる!自分が綴った小説が自分達の処刑地にされ、己が導いた過ちとさらなる後悔へと引き込まれる…だが!
「自分を責めて、落ち込んでも、何も変わらないナツ!最初からうまくは書けないナツ!みんな失敗して…失敗を繰り返して……それでも……」
「書き続ければ必ず成長するナツ!諦めなければきっと……だから夢を諦めるなナツ!」


「なにも守れなかった……」(台詞は26話より)
ドリームコレットの番人ナッツはああやってキツいことも言うが、根は苦しむものに手を差し出す優しさに溢れる王子だ。しかしそこに漬け込む敵の奸計に嵌められパルミエ王国崩壊のキッカケを生み出してしまった過去があるのだ……そのせいで初登場時は親友のココですら信じられぬほどに……7話「親友ナッツ現る!」にて敵にその罪を責められるナッツ。しかしそれに真っ向から反論するキュアドリーム!彼女もまた誰かを助けるために無我夢中で突っ走るから放っておけないのだ!
「騙される方が悪いんだよ」と悪役のテンプレ台詞に対して「騙す方が悪いに決まってるじゃない!」と果敢に返す様は多くの視聴者もの心を揺さぶった!彼もまた失敗しつつも前を向こうとしたのだ……パルミエ王国復興という夢のために。そしてそれを同じく立ち止まってしまったこまちに対して伝えるのだ。

「失敗したらもう一度やり直せばいいんだよ!チャレンジは何度だってできるんだから!」『海賊ハリケーン』の主人公はどんな苦境に追い込まれても決して希望を諦めない、まるで“どこぞのあの子”のように……自信が無かった自分の夢を励ましてくれた彼女のように。

バカがつくほど正直でお世辞も言えないくらい不器用(ココ談)なナッツから出た批評も本音ならばあの応援もまた本音、彼もこまちの夢のために批評は相変わらず厳しくも支えると決めたのだ。後の35話「ナッツの鍵とこまちの心」にて6度の推敲に渡るも挫けずようやく彼に認められるまでの作品を書き上げたこまち、そんな最中に再び彼の“罪”の傷を懇切丁寧に抉る詭弁のみでドリームコレットを所有する資格が無いと誘導する強敵に見舞われ心折れる寸前、あの時の言葉を返す。「『夢を諦めるな!』ナッツさんが私に言ったことよ!」と。
「ドリームコレットはその力を知り、恐れ、敬い、全てを投げ売ってでも尽くすものにこそ相応しいのよ!それができるのは唯一人…真っ直ぐ優しくそして強い心の持ち主…ナッツさん、あなただけなの!」

そして彼女は…秋元こまちは真っ直ぐに自分の夢を見てくれたナッツに対して……

―私は泣くことしかできなかった。励ましたかったのに励まされて…彼の優しさに涙が止まらなかった。優しさ故に、彼は自分が赦せないのだろう……王国の鍵はいつも彼の胸に重く下がっていた。―
(35話ラストの語りより)


ナッツの首にかかる鍵はパルミエ王国の門扉の鍵…過去の己の罪で国民を絶望に追いやってしまった自分が赦せないのだ。自分の夢を本気で向き合い続けてくれた彼を救いたいと内に想うも、彼は目の前の夢を追う彼女を気遣うばかりで……
そして彼女は新たな小説を書く。テーマは恋愛小説、最初は熱に浮かされるように綴りに綴ったが、ラストシーンに近付くと筆が止まってしまう。どんな形であれ終わらねばならぬから。夢を叶えれば“彼”は帰らねばならないから。その結末を前にどうすればいいか分からない自分がいるから

ずっと怖かった……勇気を振り絞って口に出した途端に、これまでのことや、これからの未来まで、音を立てて崩れてしまうんじゃないかって……何もかも失ってしまうんじゃないかって…………ずっと怖かった……」

43話「こまちの決意とナッツの未来」にて。いつも自分の夢を見てくれたナッツさん。そんな優しくも密かに苦しみ続ける彼に自分は何一つできやしなかった…しかし彼は言う、
俺は今を必死でもがいてるこまちを尊敬するし、そんな人が好きだ
彼は自分の夢へ懸命に努力しているこまちを一番間近で見ていた。だからこそ彼は自分のことを大切に想ってくれている。それなのに自分は自分のことばかりで……情けなさに涙を抑えられず35話とは違い言の葉に紡いでしまう、結末という未来への不安を。

「大事なのは『後悔しないこと』なんだろ?かれんがいつも言ってる…こまちが教えてくれたんだって」かつて潰えた未来に対して諦めかけてた者がいた。しかし“あの時”後悔せぬよう共に足掻き新たな希望を掴めた。
「こまちが変わればラストも変わる」「そう、これは私達一人一人のため。後悔しないためのね」

「俺だって未来のこと考えたら怖くてしょうがない。でも……こまちの未来はこまちのものだ。きっと…こまちに相応しいラストシーンが見つかる筈だ。」


「そう……これは自分のため。自分にちゃんと接してくれる人にちゃんと向き合うため。どんな未来になったとしても、私がちゃんとしていられるように。そう、私のために!」

そもそも答えは既にあった。優しさ故に己の過去の罪を赦せない男、そんな彼に何度失敗しようと夢を諦めなかった自分は希望を与えていた。何もしてあげられないなんてとんでもない。その彼が、彼のおかげで書き綴れた自分の“未来”を見たいのならば、自分を信じているのなら……
彼のために、彼が後押ししてくれる自分のために、何があったとしても前を向くことにしたキュアミントは強敵を一人で圧倒し大地を揺るがすどころか天変地異レベルで抉り取る乙女の怒りを見せつける。上で触れたミント砲というのはその決意の力そのものである…

そしてラストシーンである49話「夢と希望のプリキュア5」、ナッツはパルミエ王国再建のために帰ることになる……その際に首に掛けた鍵―過去の罪の象徴―をこまちに授ける。何度も夢を諦めず前を向き続けた彼女を見て自分も過去に縛られず前へ向かねばならないと強く想ったから。「こまちが変わればラストも変わる」であったのだ

以上がこまちとナッツの物語である。かなり長くなってしまったが元来こまちさんは臆病で繊細な部分が強く最初は夢も諦めそうになっていたのだ。しかし仲間に支えられたから前へ進めたし、その行動が他の人の夢の支えになったのだ。この互いに支え紡ぐ絆こそプリキュア5なのである。

ちなみにこれが本編終了から6年後の2015年に公開した映画プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪」でのふたり。いつもはパルミエ王国にいるが時折こちらの世界にも来ており……ってなんかすっかり恋人みたいな距離感だな……というかこまちさん大人びすぎて本当に中学生なのか怪しい。川村女神ノリノリである


・春日野うらら編

次は春日野うららの話をしよう。

3話「はじけるプリキュアは誰?」とこっちが聞きたいくらいなタイトルをしてる話より。これから彼女の夢について語るのだが…このままのぞみ達に会わずずっとこのまま独りだったらとか考えるとゾッとしちゃう。本当に良かったねうらら

春日野うらら、彼女は“みんなに夢を分け与えたい”という信念で女優を目指すと決めた物語開始時点で明確なる夢を抱いている人物である。俳優の世界は厳しき世界、それをよく知っている彼女は休み時間も必死に練習をする…友達が出来なかろうと独りで。それを先程述べたようにのぞみさんをキッカケに出来たのだ……自分の夢を応援してくれる友達が

記念すべき初の主役回の12話「うららのステージを守れ!」これまで広告やドラマの端役で出てた彼女が遊園地のショーの司会というけっこう大きな仕事をゲットする回(余談だが特撮とかで見慣れたような会場で開催される)だがほのぼのどうぶつきぐるみショーだった筈が邪魔者のせいであれよあれよと本格的プリキュアアクションショーになってしまうというまさかの事態が!しかもこういう時に限って戦闘シーンが動く動く。なにかとうらら回は作画とか優遇されたりする。ともかくサプライズすぎるハプニングはあったが無事に達成したのだった

その司会をレコード会社のプロデューサーが見ていたので20話「プリキュア5歌手デビュー!?」にてタイトル通り歌手としての仕事が入る!……のだが本人は歌手業をやったら本来の女優としての道が遠のくのではと不安で断ろうとも考えていた……しかし夕焼けの橋の上でのぞみさんは「女優業も歌手業も夢を分け与える仕事というのは一緒、だからうららが頑張った分は必ず届く」と後押しする。そして“夢”への一歩として彼女は歌うのだ……

(ちなみに実際にCDとして販売しました)

さて、なぜ彼女がそこまで確固たる信念で女優という夢を持っているのか……その理由は意外にも一期では判明しない(自分もこの記事を書くために再確認して驚いた)。その理由は翌年のGoGo18話「みんなに届け!うららの歌声」にて判明する

夕陽も沈み夜になりそうな公園にてシロップは偶然うららを見かける。しかしなんか様子がおかしい……泣いていたのだ。なにかあったに違いないと察するも声をかけられずその日は過ぎるも……

翌日、そこには昨日の涙など全く見せず仲間たちに新曲を収録する(これもCDで出た)という朗報を告げるうららが!しかしポツリと「俳優業のオーディションに落選した」とも言った……それだったのだ。それでも仲間には決して悲しい顔は見せない……それどころか仲間も励ましたり慰めたりしない!遠目ながら見てたシロップは釈然としない気持ちになっていた…

うららの夢への真摯さを前期から見てきた視聴者なら落選とならば涙を流すほど悔しいというのは分かるだろう、そして二期から登場したシロップもGoGo4話「うららの台本を届けろ!」を通じて彼女の夢へかける気持ちを、そして仲間たちが彼女の夢を応援する強い想いをある程度は理解していた。それなのになぜ放っておくのか……居ても立っても居られないシロップは直接うららの元へ向かう。なんで泣いてでも夢を追うのか、悩んでるなら聞いてやってもいいと……

今や亡き彼女の母、春日野まりあ…舞台女優だった母を幼き頃に見て「おかあさんのような女優さんになりたい」と夢見て憧れたのだ。彼女が女優業を通じて“みんなに夢を分け与えたい”というのは、かつての自分自身が母を通じて夢をもらったからであった。(ちなみに母が故人であったとの情報や母の想い出は前期19話「うららの秘密を探れ!」にて遺されたカレーのレシピノートを交えた話でも語られた。こちらもいい話だ)

だから彼女は、春日野うららは前を向く。たとえどんなに大変で時には泣きたくなるようなことがあっても、自分の夢のためならば。「春日野うららはへこたれませ〜ん!」
それでも前は夢のためならと他のものを蔑ろにしてでも進まねばならぬと追い込んでいた。でも今は違う……

「でも……のぞみ達の前じゃ無理して笑わなくていいんじゃないか?」
「ううん、私ね……みんなといる時が一番自然になれるの。みんなが私を笑顔で迎えてくれるから。だから落ち込むことがあっても…また頑張れるの」

自分の夢を応援してくれる、大切にしてくれる仲間が。そんなみんなが、自分が一番自然でいれるみんなが好きだから。だからみんなといる時は笑顔でいたい。もちろんみんなも分かっている。だからこそ新曲の収録の際に応援としてブローチをプレゼントしたのだ。

そしてGoGo40話「うららの歌声を取り戻せ!」にて彼女の歌手経験が評価されたおかげで、かつて母が最期に主演したミュージカルの主役のオーディションの最終選考にまで残ったのだ。最初は遠回りだと思ってた自分の頑張ってきた道は確かに夢へと通じていたのだ。そして最終回において彼女は母と同じドレスを着て舞台の上で……


そうやって自分が頑張れるための大切な仲間には、自分のことを本気で心配してくれたシロップもいる。彼は自分の生まれた故郷へ再び辿り着きたいと願う者…共に夢を持つ者だからだ。さっきまで敬語だったのにいつの間にか彼女唯一のタメ口が聞ける相手へ。これが彼女なりの彼に対する“自然でいれる”だろう


……ってなんかめっちゃ親密になってるんですが!?(これも春のカーニバルのやつ)なんすかお姫様だっこって!?

のぞみとココの話になった際に二人ともこんな顔してるし、りんちゃん達も“そういう関係だもんね”と言わんばかりにニヤニヤしてるし……

・夏木りん編

この甘酸っぱいような流れで今から話す内容はちょっと酷かもしれないが避けて通れない。なぜそんな辛いかと言うと……その話は17話「純情乙女の恋物語」から始まる。

ナッツが営業してるアクセサリーショップ・ナッツハウスでまるで玩具のようなアクセサリーメーカーをぐるぐる回して可愛らしいビーズのブレスレットを作ってるりんちゃん。鏡の前でいつもよりカワイコぶってる声と聞き慣れた竹内順子のかっこいい少年ボイスとを使い分けて自分に酔ったような謎の芝居をしてる……なんか様子がおかしいぞ!
「りんちゃんこわい…」
「楽しそうですね(営業スマイル)」
「きっと疲れてるのよ…」
「私でよかったらいつでも力になるわ」
プリキュアシリーズ見続けてる人なら察するだろうが実際に販売されてたおもちゃです。もちろん現在も(毎年形を変えたりして)販売してる伝統ある商品だ!つまりこれはおもちゃの販促回である……夢を作る企業バンダイはプリキュアシリーズにおいて一番のスポンサーだもんね


とまあ様子が変なせいで部活用バッグを忘れるといつものりんちゃんらしくないので家の花屋に届けに来たら……あ〜そういう……そういえば滅多にアクセサリーつけないりんちゃんが前につけた時もそんなのだったな……
最初の方に書いたが『ふたりはプリキュア』の美墨なぎさは1つ上のカッコよくて優しい藤村先輩に恋心を抱いてたし、『ふたりはプリキュアSplash☆Star』でも日向咲がパートナーのお兄ちゃんの美翔和也さんに片想いしてたし、つまりその咲やなぎさの成分を色濃く受け継いだボーイッシュ少女の夏木りんがカッコよくて優しそうな男性を好きになっちゃうのは流れ的にもそういうものである。

どうやらその人は最近来るようになった花好きのお兄さんだそうで、赤いガーベラの花(プリキュア5Blu-rayBOX特典参照)を購入したので家まで配達しますと自分から言ってしまったりんちゃん。完全に“目当て”である。それなら家の店番は私達に任せて行ってきなとわざわざ可愛い服に着替えさせて、さきほど熱心に作ってた赤いブレスレットのお揃いな青いのをナッツに貰ってくる。なんだかんだでみんな応援しているのだ……
ドキドキ全開、胸のキュンキュン止まらないと言わんばかりにガーベラを配達するりんちゃんだったが……

(愚かな奴だ……せいぜい期待するがいい。だがな…期待すればするほど裏切られた時のダメージも大きいぞ……!)
by昇進の辞令が来たぞと思ったら退職届を渡された哀れな男


しかし彼の隣にいるのは……そういうものである。所詮はそういうものである



「あたしって……バカみたい。またやっちゃったな……」

少女の片想い、それは自分だけで浮かれた熱のよう……そんな都合よく叶うものじゃない、前もそれに近いことがあったのだろう……さっきまで腕につけてたブレスレット……そんな自分の想いを込めて束ね作った結晶は“お似合いですよ”と一緒に渡してしまった。なんでこんなことしちゃったんだろ…………

そんな失恋真っ只中のりんちゃんを惨めだと嗤う冷徹な敵!(昇進かなと思ってウキウキしたら自主退職を促されてしまった惨めなブーメラン野郎)舞い上がって何を夢見たかは知らんが全て無駄に終わってしまったなと嘲け傷口に塩を塗り“絶望”へと導かんとする!しかしそこにのぞみ達が駆けつけ……

「無駄なことじゃない!人が人のことを一途に想うってのはとっても大切なことなんだよ!全然無駄なことなんかじゃない!!」

いつだってそうだ、彼女はいつも心が折れそうな時に支えてくれた……そして今回も……

「絶望なんかしない!期待しすぎて失敗しても…失望しても…でも!あたしはいつだって前向きでいたい!絶望なんてしないんだから!」

あの彼が買って自分が届けた赤いガーベラの花…ガーベラの花言葉は『希望』『常に前進』たとえどんなに辛い目に遭ったとしても私は前を向きたい、絶望なんてしたくないんだ!絶対に無駄じゃない!無駄にしてたまるか!

こまちさんとうららの話の後にこの失恋話をやるのは堪えるものがある。しかし話さねばならない必要なことなのだ。そんな失意の中で見つけた“想いを束ねた結晶”こそが彼女の夢の物語の始まりだった

32話「りんちゃんのハッピーウェディング」より。なんとりんちゃん、あれからもナッツハウスのアクセサリー製作を続けておりけっこう人気商品になっていた(子供っぽいのはそもそもが玩具の販促だから仕方ない)そんな時にまどかさんの姉の友人、みくが結婚するとのことでウエディングドレスのティアラを作ってほしいと頼まれたのだ!

りんちゃんも純情乙女、結婚式には大きな憧れがあるものだ。ならば真剣にならねばならぬと昼飯を食う時間すら惜しむほどデザインに悩むもうまくいかない……そんな時みくさんが「私のために一生懸命頑張ってくれてるりんちゃんの気持ちが一番嬉しい」と伝えてくれた。そんなみくさんに幸せと思ってもらえるようなティアラを作りたいと……

そしてティアラを完成させ(式場でバイトしてた敵に邪魔されそうになるも退けて)無事に幸せな結婚式を遂げさせたのだ。あの時に込めた儚き想いは、たとえ涙を流すような結果になろうとも決して無駄ではなかった。そして彼女はアクセサリーデザイナーという将来の夢を見つけたのだった……たとえどんなに辛いことが遭っても絶望せず前を向き続けてたからこそ掴めた“希望”なのだ(玩具の販促回でここまで辿り着いたの『ライブ感』みたいなものを感じる……)


このように夢というテーマにおいて彼女たちは山あり谷ありな道のりを通ってきたのだ。叶えるなんてのは簡単なことではない、だけど自分たちには支え合う仲間がいる。だから挫けることがあっても前を向いて立ち直れるのだ……

「たしかに現実は楽しいことだけとは限りません。嫌なことや辛いこともたくさんあります…でも、そういうことから目を反らしていたら駄目だと思うんです」


「うまく行かなくて落ち込むこともあるし…自分が情けなくて泣くこともあります……でも!」


「あたしは自分にウソをつきたくない……あたしの夢は、この情熱は!誰にも消せない!」


私には“友達”がいます。自分一人では難しいことでも……友達が一緒なら必ず乗り越えられます。」

『映画プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち』より。この映画では歴代プリキュア達は覚めぬ眠りに陥り自身の描いた夢の世界に閉じ込められてしまった……のだが自分達の夢のために様々な苦難を乗り越えたプリキュア5のみんなは劇中のシーンを彷彿させるような台詞で夢から目を覚ます。プリキュア5両作品のシナリオ構成を担当した成田良美氏が脚本したNewStageシリーズ三部作最終章に相応しい、彼女たちの辿った道あってこその描写である


そしてもちろんこのような物語は主人公の夢原のぞみにも当然存在する。これから話すのは「何も持たない自分」が将来の夢という希望を手に入れる話である……

・夢原のぞみ編

みなさんお待たせしました、これからキュアドリームこと夢原のぞみについてのターンだ。これまでの4人の説明の際に彼女は幾度となく強き心でみんなの心の支えになり、そして彼女を通じてプリキュア5は結成し将来の夢へと真っ直ぐ進めるようになったというのはこれでもかと伝わっただろう。リアルタイムで見てた人にも彼女の勇姿を強く覚えているかもしれない。

記念すべき初のオールスターズ映画『映画プリキュアオールスターズDX みんなともだち☆奇跡の全員集合!』でのあまりにもかっこすぎるドリームの顔つき。最初の方に載せた優しき表情からこの凛としたやつになる。こんなん惚れるわ

プリキュア過去作品では見られなかった女子中学生の範疇を超えるような強烈なカリスマ性、そして多数の心打つ名言は多くの印象を残しインターネットでは教祖とか女神みたいな扱いされることもちらほら。確かに上述した描写も事実なので否定はできない

だが本当に彼女の本質はそれだけなのだろうか?先程も言ったようにプリキュア5は将来の夢、そのために辛くても仲間との絆で乗り越え前に進む物語であり、勿論のぞみもその中の一人だ。それでは始めるとしよう。それでは皆さんご一緒に、けって〜い!

のぞみといえばけって〜い!(画像は記念すべき初けって〜い!な1話「希望のプリキュア誕生!」ラストより)

・大輪の花も最初は小さな種だった

……と、威勢よくやったのはいいがまず話すべきは4人の所で見せた輝かしい言葉の数々…他者の夢を裏表なく本気で尊敬し応援する芯の強さではない、彼女の弱さの部分だ。オールスター映画などで見かけるかっちょいい描写も相まって「いやそりゃ学業成績悪いし運動神経ドベなのは確かに覚えてるけどそこまで弱い記憶はないような…?」と思う人もいるかもしれない、しかしその彼女が持っていた弱さこそ思い出していただきたいために今回この記事を執筆した理由のひとつでもある。そもそもなぜ彼女はこうも他者の夢を強く尊敬するのだろうか?それは……

「やりたいこと見つかったの?先週、手芸部に入ったって言ってたよね?」
「糸がどうしても針の穴に通ってくれなくて……」
「先々週は演劇部にいたよね?」「転んだ拍子にセット壊しちゃって出入り禁止……」
「その前は吹奏楽部」「演奏聞いてたら熟睡しちゃったぁ…えへ♪」「えへ、じゃない!」

1話「希望のプリキュア誕生!」より。夢原のぞみ、そもそも彼女には熱心になれるものや将来の夢が無かった…とりあえず始めた部活もことごとくダメ、運動神経バツグンで部活の助っ人に引っ張りだこな幼馴染と違って、過去作でラクロス部主将になるほどの実力を持つ美墨なぎさやソフトボール部レギュラーピッチャーとして活躍する日向咲と違って自分にはなんの取り柄もない……これは個人的憶測だが自分が「何も持たない」からこそ他者が夢に向かって頑張る姿を心から尊敬できるのだろう。それ自体は素晴らしい長所であるのは何度も書いた通りだが……

11話「のぞみとココの熱気球」より。これまた最初の方で説明したように数学の小テストで18点なる壊滅的な点数だったのぞみを危惧してみんなが勉強会を開くことに……しかし「どこが分かんないのか分かんない〜」とそれ以前の問題であって……
小さな頃から九九や漢字を覚えるのも普通の子の倍かかり、みんなには出来ることが私にはうまく出来ないという劣等感を常に抱えていた。彼女の勉強できない設定は思ったより根深く、割と笑えないのである……

現実だと幼い頃からの劣等感に苛まれ続けたらじめじめ腐っていく人間も散見するが、それでも彼女は持ち前のポジティブさや理解ある家族、そして当時からいつも支えてくれたりんちゃんを始めプリキュアを通じて繋がった仲間たちのおかげで前向きに生きていけた……のだが“ある大騒動”がキッカケでその友情が崩れそうになる危機に!

それこそリアルタイム当時に多くの視聴者に恐怖と絶望を刻み込んだ23話「大ピンチ!悪夢の招待状」である。当時メイン視聴ターゲット層だった子はこの回をやけに覚えていたとの声がTwitterでちょくちょく聞かれる程に記憶に残していったのだろう……
ナッツハウスのオーナメントをみんなで製作していた際、不器用なのぞみに任せちゃいられないとちょっかい出してくるミルクに怒っておっかけてた拍子でオーナメントを破壊してしまった!あれよあれよと気まずい空気が漂い自分の罪を責める側と庇う側に分かれてしまい、さらにみんなが魔が差したかのような暴言でそれぞれの絆にヒビが入り……そしてそこから敵のそれぞれ個人ピンポイントで狙う精神攻撃を受けてしまい……仲間を取り戻そうと敵の本拠地に招待されたのぞみが見たのは4人が自分のせいで絶望に追いやられたという“悪夢”のような現実だった

それでも必ず助けてみせると未だに屈しないドリーム、だが絶望した仲間に身動きを塞がれ「あなた一人で何ができるのです?お仲間はもういないのですよ」という自分一人じゃ何も出来ないという的確な弱点を突かれ彼女も同じように……

この最大のピンチをどう突破したかは後で説明するとして、もう一つのポイントがある。のぞみはココの「ドリームコレットでパルミエ王国を復興する」の夢を助けるためにキュアドリームに変身できたのは上記で解説した、そして「プリキュアとしてココの夢を叶える」という自身の夢を手に入れたのだ。……しかしそれはあくまでプリキュアとして、自分自身は…


30話「ミルクの決意とみんなの力!」より。開幕から自分のチョコを食われたとでミルクと大喧嘩するのぞみ、そんな気まずいムードをなんとかしようとミルクに御世話役としての職務について話してもらうみんな。見習いなれど如何に大層な努力なくして成れない職務であると自信満々で説明するミルク……だが先程のチョコの恨み含めたこれまでの行動もあったせいか他者の夢を相応しくないと貶すという彼女らしくない毒を吐いてしまう。そこからはもう売り言葉に買い言葉、ミルクも堪忍袋の緒が切れ…
「のぞみこそ将来の夢もない癖に偉そうなこと言ってほしくないミル!」
「それ(パルミエ王国復興)は王国みんなの夢ミル!のぞみ個人の夢じゃないミル!」
「自分の夢も持ってない人に王国の未来を託したくないミル!そんなんじゃプリキュアになる資格も無いミル…」
「のぞみはプリキュア失格ミル!」

ミルクの言うとおりパルミエ王国復興はココを始めとした王国民の夢であって、のぞみ個人の夢ではない。あくまでプリキュアとしてである……
そして先述したようにプリキュアの資格というのは「誰かを守りたい想い」、のぞみが持つ守りたい想いの根源であるココの夢を、同じく持つミルクに(自業自得とはいえ)資格がないと言われ……

このように夢原のぞみは皆々の記憶に残る勇者と呼べるような場面だけでなく、むしろこういう「何も持たない」弱さを隠してきた空元気な一面も備えていたのだ。ものすごく言い方が悪いが「交友範囲は広いけど身分相応の実力が備わってない」と例えると妙に生々しい共感性を呼ぶかもしれない。

そんなある意味で等身大の無力さを備えた夢原のぞみがどうやって真の強さ……それこそ皆が記憶に残るあのキュアドリームになれたのか。それは友達の4人にミルク、そして最大級の貢献をしたと言えるのがココである。

1話での衝撃の邂逅から次の話「情熱全開キュアルージュ!」でサンクルミエール学園の臨時教師として登壇するココならぬ小々田コージ。元々パルミエ王国で子供たちに勉強を教えてたりしており、さらにはこちら側の世界の国語を担当するという教師としての実力はけっこうなのだが……てか教員免許とか大丈夫なの!?(まあ別のプリキュア作品で自動車を運転する妖精なんてもの出てくるし野暮な指摘だろう)

転んだ拍子に顔が近くなったココをビンタで張っ倒し「ファーストキスは雪の降るクリスマスの夜……素敵な彼とツリーの下で……そう決めてるの!」と夢見がち乙女なんてこと言っちゃうのぞみ。りんちゃんの恋話の際に一途に想う大切さ云々言ってたし、自分にもかつてそういう淡き切ない経験があったのだろうか

ココの夢であるパルミエ王国の復興を叶えたいためにプリキュアになった夢原のぞみ、しかしプリキュアになったとはいえ相変わらず学業成績はひどいもの。そんな彼女のターニングポイントと言えるものがこれまでにもチラホラ出てきた11話「のぞみとココの熱気球」だ。

みんなが本気で心配してたからとはいえ勉強やれと口うるさく言われ「勉強に専念するためプリキュア活動は休むべき」との声で逆上し逃げてしまったのぞみ。それを追いかけ止めるココの提案で熱気球の体験会に参加する。“空気を熱することによって寒い外側の空気より軽くするから浮く”という係員の説明にのぞみは興味津々!高く浮き上がる気球に乗る中で彼女は己の勉強の出来なさ、才能の無さをココに吐露する……

「問題です、気球はどうして浮くでしょう?」

ココ…いや小々田先生の返答はまさかの問題だった。先程聞いた原理を答え正解するのぞみ。
「ちゃんと答えられたじゃないか。面白いと思ったり、感動したりしたことは自然と覚えるものさ。才能なんて関係ない」自分の勉強に対してこんな肯定的なこと言ってくれる人は初めてだ…それでもテストなんかちっとも楽しくないし勉強から逃げてきたし……
「のぞみの“気球”は、いま地上で空気を入れてるところかな?」「わたしの気球?」「“可能性”という気球だよ。いろいろなものを見て、聞いて、感じて、学ぶことで気球は膨らむ。テスト勉強はのぞみの気球を膨らますひとつの方法だよ。将来の夢が出来たときに高く飛べるようにね」

「テスト勉強……今からでも間に合うかな……?」「もちろん!」「すっごく時間かかるだろうけど……」
「回り道だとしても、時間がかかったっていいんだよ。それにのぞみには力になってくれる友達がたくさんいるじゃないか!」
彼は彼女に伝えたかったのだ。初対面なのに自分の夢を叶える手助けをしたいと本気で想ってくれた彼女に、自分に自信を持てない彼女に、少しずつでも前へ進み続ければ必ず未来という素晴らしい世界は待っているということを。その未来への道を助けてくれる友達がいることを。

そんな彼にのぞみは「ココの夢を叶えるという(プリキュアとしての形で)自分のやりたいことを見つけた」という言う。それに対して
「君には本当に心から感謝している。でも……のぞみにとって一番大切なのは、のぞみの未来だ。君の未来には無限の可能性がある。だから他にやりたいことがもし見つかったら僕の夢より優先させていいんだよ。」と言ってくれたのだ。本当に大切に想ってなければこんなこと言えない

「わたし…プリキュアやってて良かった。プリキュアやるのはココのためだけじゃないよ、わたしのためでもあるの!」「ココの夢を叶えたら…自信が持てる気がする。そしたらきっと……いい未来が開けると思うんだ!」確かに今ののぞみには将来の夢は無い、けれど彼の夢を叶えることを通じて自分自身の夢が見つけられるかもしれない。だからプリキュアをやり続けたいと……
「問題です、思ってることが言葉を使わずに相手の心に伝わることを四字熟語でなんと言うでしょう?」その答えは彼女も分かった。そう、以心伝心

そして後日の小テストで英語35点数学38点と着実な進歩を見せてくる。そりゃ他から見ればそんな浮かれるにはまだ早すぎる点数と思うだろう、けれど彼女にとっては“先生”のおかげで踏み出せた偉大なる第一歩である。可能性という気球が空高く飛べるように……(よく見るとhopeは間違えてないのが彼女らしい)

……お気付きだろうか?この話でココが教えてくれた言葉、こまちさんの項目で「失敗しても何度もチャレンジすればいい」やうららの項目で「歌手活動であっても頑張っていれば女優としての夢は必ず繋がってる」という形でのぞみは伝えたのである。それくらい彼女にとってココの言葉は自分自身を形成してくれた至言になっており、だからこそのぞみはそれで仲間を助けたのだ。これぞまさに連綿と紡がれた絆である……

・仲間と一緒なら無限の未来に届く

「みんなのぞみの強い気持ちに惹かれて集まったんだよ。みんなをもう一度笑顔に戻すことが出来るのは、やっぱりのぞみなんじゃないかな?」
みんなとの絆が壊れそうになった23話「大ピンチ!悪夢の招待状」で自分が引き起こしてしまった不和をなんとか元に戻したいと思うも内心不安なのぞみ……そんな彼女にココは散らばったオーナメントのビーズと自分たちのイメージカラーの鈴をひと繋ぎにして作ったキーホルダーを手渡す。
「失敗は誰だってするさ。大切なのはこれからどうするかだよ」「どんなことも諦めずに一生懸命がんばればきっとうまくいくよ」もう一度みんなと笑顔になりたい。絶対にやってやる!

「心地よい絶望だ……」
しかしさっきも言ったように待ち構えていたのは既に絶望した4人だった。そして彼女も心の隙を突かれ後を追うように絶望し……これから話すのは24話「新たなる5人の力!」バラバラに崩れたみんなが再び手を繋ぎ直す話である……

絶望した筈の先の世界にはなぜかいつものサンクルミエール学園テラス席、そしていつもの4人たちといういつもの光景。みんなニコニコ笑顔で待ち構えている。辛く苦しい時間がウソのように穏やかで楽しい。もうすべてがどうでもよくなりこのままでいいような気がしてきて……それこそが“絶望”、未来を恐れ現実から逃避し前を向かないこと。そしてその世界へ入ったが最後、二度と抜け出せない……しかし鈴の音色が鳴る。なんだっけこれ…?
「わたし…すごく大事なことを忘れてる気がするんだ」

鈴の音をたよりに絶望の世界の真の風景を泳ぎドリームを発見するココ!しかし絶望の仮面は前を見ることを拒ませる……「目を覚まして…のぞみ……!」

声が聞こえた。鈴のついたキーホルダーを託してくれた人の声が。みんなとまた手を繋げると信じてくれた彼の声が!大事なことを教えてくれたココの声が!
「……そうだ!楽しいだけじゃ駄目なんだよ!今はどんなことも諦めずに一生懸命がんばれって教えてもらった!」絶望の仮面にヒビが入る!必死に前を向こうとがんばっている!

最後のひと押しにココも彼女の精神世界に入る!無事でよかった……
「聞こえたよ…ココの声。ココが呼んでくれたから大切なことを思い出せたの。わたしにはやりたいことがある、叶えたい夢があるんだって!」かつて彼の夢を叶えたいと未来への希望を授けたのぞみが、今度は窮地に追いやられた際にココのおかげで夢という希望を取り戻せたのだ!その夢はパルミエ王国復興、そして……みんなと仲直りしたい!

「バカな……仮面が砕かれた!?」
どんなに辛く苦しくても前を向こうと決めた、その決意が絶望の世界から抜け出したのだ!そして絶望の世界から助けるために……もう一度みんなと笑顔でいられるために再び彼女たちの精神世界へ入る。「みんな、迎えに来たよ!ここは私達の世界じゃないの。一緒に帰ろう!」

「ごめん……帰れないよ……」
「あたし……怖いんです……」
「自信が無いの……」
「もう無理だと思う……」
なぜニコニコ顔だったかって?違う、絶望で目が曇り、現実を見るのが怖かったから瞼を閉じていたのだ。本当はあんなひどいこと言ってしまったのを悔いてる、仲直りしたいに決まってる、けれどそれに向き合う心すら折られ……

「無理じゃないよ!5人いれば無理なことなんてなにもない!なんでもできるんだよ!」

確かに自分は一人じゃ何も出来ない、今回もココがいなかったら絶望から抜け出せなかっただろう……だからこそ人との繋がりの大切さを、辛い時は支えてあげる大切さを、一緒にいるから夢という未来の希望に向かって進めると知っている。それこそが夢原のぞみなのだ。そしてみんなが苦しんでいる時は自分が心の支えになってあげる。いつもみんなに助けてもらっているから。
「みんなごめんね……わたしいっつも迷惑かけてみんなに支えてもらってばっかりで……」

「なに言ってるのよ……支えてもらってるのはこっちだよ。」瞳に希望の光が灯る。りんちゃんは特に彼女に何度も救われている。どんな目に遭ったっていい、あたしはのぞみと一緒にいたいのよ。

「じゃあ…これからも一緒にいてくれる?」
「もちろん!」
「一緒に夢を追いかけよう!」
「Yes!」

よくプリキュアシリーズで“8話”という概念が聞かれることがある。それは元祖『ふたりはプリキュア』8話で当初は苗字呼びだった美墨さんと雪城さんがある事がキッカケで揉めて、そこから言い過ぎてしまった暴言で気まずくなるもお互いに正直に向き合い、最後は名前で呼び合うようになるという伝説の話が由来である。自分はそういうなんでもかんでも8話だのする表現がそんなに好きじゃないが、『Yes!プリキュア5』23〜24話は間違いなく“8話”である。
この話ののぞみはみんなが数日かけて製作したオーナメントを一瞬で破壊してしまい、それに怒った仲間は他の友達にまで容赦ないくらい言い過ぎてしまう。けれどその過ちの事実から逃げず、再び向き合えば絶対にやり直せる。絶望から必ず立ち直れるとみんなに教えた。何も持たない彼女が…だからこそみんなを救えたのだ。

…とはいったものの流石に怖かったせいか次回25話「プリキュア合宿大作戦!」にて「もし何かがあった時に、みんなと一緒にいた素晴らしい時間を記録に残しておきたい」と夏休みの合宿を提案していた(そのためのラジカセである)。そのくらい不安を残す事件だったのだ。それでもちゃんと想い出は心の中に刻み込まれてると仲間から言われ安心したのであった……この経験が後にまさかの方向で再び問われることになるのは、また別の話。


そして“みんな”の中にはもちろん…ミルクもいる。

21話「お世話役見習いミルク登場!」より。知らない世界を独りで放浪し先行きわからぬ不安と恐怖に晒され続け…それこそココ様ナッツ様に会えたことでようやく希望の可能性を見い出せたミルク。あんな手段を選ばなすぎる生き方してたとはいえココ様と違い当時は人間態になれず社会に適合できぬなら已む無しな部分もあるし、いきなり知らん奴らがプリキュアだと名乗られてもすぐ信用できるわけない。しかしパルミエ王国を復興したい夢は王子達と同じだし、たとえ戦う力無くても御世話役見習いとしてお二方を守りたい強い想いは“彼女”と一緒だ

「あんたなんかに……ミルクの夢の邪魔はさせない!」夢原のぞみ。最初は弁当ちょろまかせるカモ程度と見てた。それが伝説の戦士プリキュアだと名乗ってきて俄に信じられなかった。しかし目の前で変身し自分の夢を守るために必死で戦っている……実はふたりは似た者同士であるのだ

24話「新たなる5人の力!」より。オーナメント破壊のキッカケは自分のせいでもあると反省していたがなかなか謝れずあれよあれよと騒動が大事に発展してタイミングすら見当たらず……5人が元通りになってようやく謝れた。「ミルクは……迷惑かけてばかりミル……ごめんなさいミル…」
「ミルク……ナッツハウスに帰ったら一緒に蝶の飾りを作ろうね」そもそも自分も一緒にオーナメント製作に参加したかったからあんな口悪い方法で割り込んだのだ、素直になればいいだけだったのだ……


「ミルク…さっきはひどいこと言ってごめんね。わたし…プリキュア失格かもしれない……」「のぞみ……」
「でも…わたしはみんなとパルミエ王国を復活させたい!だからプリキュアでいたいの!」
30話「ミルクの決意とみんなの力!」より。自分の夢も無い奴にプリキュアやってほしくないと言われ落ち込み、プリキュアの資格の証であるピンキーキャッチュを外してしまうのぞみ。しかし仲間たちがピンチの際に真っ先に駆けつけ蝶は輝き、そして装着者を再び試す……パルミエ王国復興は自分の夢ではないのは確かにそうだ。それでも守りたい想いは決して変わらない。この話は再び彼女の決意を問い直す回なのである

「わたしはドジだし勉強もできないしスポーツも苦手、まだ自分の将来の夢も見つけてない……でも、ひとつだけ心に決めたことがある!ココやナッツ、ミルクの夢を絶対叶えてみせる!パルミエ王国を復活させるためだったらどんな辛い思いも平気だもん!」

プリキュアの資格において大切なのは強い想いだけでない、「自分自身で決意すること」も大切だ。それならば夢原のぞみにおいては言わずもがなであろう。彼女は一度決めたらどんなことがあっても諦めない。ココやナッツ……ミルクの夢を叶えてみせる!

「ミルクは……ドリームが……のぞみが……大好きミル!」
「ドリームはミルクの大切なプリキュアミル!絶対にやめちゃだめミル!パルミエ王国を復活させてほしいミル!」時には些細なことからしょうもない喧嘩したりするがそれでも自分の夢のために決して諦めず叶えようとしてくれる、自分のことも“仲間”だと言ってくれるのぞみを心の底では大切だと思ってる。なんだかんだで本心はいい子であり、彼女たちの大切な仲間の一人だ

GoGo11話「華麗に変身ミルキィローズ!」にて戦う力を手に入れ舞い戻ってきたミルクが「力というのはたくさんの想いや願いから生まれてくるものなの!」と言ったのも改めて思うと今までのプリキュア達の活躍を見てきたからこそであろう。まさしく彼女もプリキュアなのである

ココが、ミルクが、そしてプリキュアであるみんながいるから夢原のぞみは輝く。確かに彼女にはなんの取り柄もないかもしれない、けれど頑張って前へ進んでいけばきっと希望の未来を掴めると信じているから。


・大切なもの、それはあなたの心が持ってます

ここからが後半へ。皆と前へ進む中で彼女は出会う。自分の写し鏡のような存在である彼女、ダークドリームと。(以下『映画 Yes!プリキュア5 鏡の国のミラクル大冒険!』より)

「どうして?」「え?」「どうして笑っていたの?教えて。仲間といるとき、いつもあなたは笑っていた……どうしてなの?」

「どうしてって……あなたそんなことも分からないの!?」

ココとナッツが誘拐され敵が潜む鏡の国へと乗り込んできたプリキュア達。そこに待っていたのは自分に似た少女だった……仲間はそれぞれ自分たちと似たような存在と1対1の戦いを仕掛けられ自分も一人で戦うことに。彼女は問う、予めスパイとして観察してた際にターゲットは、のぞみはいつも笑っていた。気がかりだった。そんな当然のこと聞く!?と唖然としてたら……

「…キュアドリーム……あなたって目障りだわ!」

怒りと共に襲いかかるダークドリーム!そして強い!容赦なく急所を狙う!彼女はコピーだが元がクリスタルなのもあって肉体的疲労や仲間の心配とかによる心のブレもない!まさしくプリキュアを倒すために生まれてきた存在!

「みんなの所へ行かなくちゃ……」
「行けないよ♪私に勝たなくちゃね!」
その強さの前に為す術もなくやられてしまうのか!?相手は自分と同じ力を持つ、それどころか常時それを維持したままだ!……ならば、突破策はある!それは……


「それじゃあ、がんばって自分を乗り越えなくちゃね!」
「何それ……どういうこと?」
「あなたを倒してここから脱出することよ!」

いま、目の前にいる自分と同じ力を持つ存在以上に自分が強くなればいい!まさに“自分を乗り越える”である!
「どうあがいたって、あなたは私を倒すことはできないのよ!私はあなたのコピー……同じ力を持っているのだから!」どこから湧き出すのか分からない自信に一瞬たじろぐもそりゃ無理だと言い切るダークドリーム!しかし彼女は…キュアドリームであり、夢原のぞみなのだ!

それは違う!私はずっと同じ私じゃないの!

昨日のわたしより!

一時間前!一分前!一秒前!

そんな私より!もっといい自分になりたい!

私には…私たちには…叶えたい夢があるから!だからがんばって、成長して、古い自分を超えていくんだよ!

あれだけ苦戦していた筈のダークドリームの攻撃を捌き、拳一発ずつ追い詰め、見事に一撃食らわせ、そして敵の攻撃にびくともしていない!戦闘の最中に“成長”しているのだ……かつての自分をコピーしその力を維持し続けるのなら、さらに上の強さを得ればいい…なんたる単純にて的確な突破策か!
そして思い出していただきたい……かつて何も取り柄がないと思っていた彼女に“可能性”を教えてくれた人がいたことを。少しずつでもいいから前に進もうと言ってくれた人がいたことを!その言葉あってこそ今の彼女がいるのだ!!

「どうして……どこからそんな力が……」

理解不能といわんばかりにどんどん押され、ついには地面に叩き伏せられてしまうダークドリーム!なぜ……なぜそんなに強くなれた!?

大好きだから。
りんちゃん。うらら。こまちさん。かれんさん。それに、ナッツにミルクに……ココ。
大好きなみんなのためならあたし…がんばれるから
大好きなみんなのためならあたしは絶対負けないんだから!

劇場版特典と言わんばかりなものっすごい美人な作画になって呟く。そう、プリキュアは誰かを守るための力…大好きなみんなのためならどこまでも強くなれる。夢原のぞみはそれを一番よく知っているから。

……!!

最初に聞いた疑問、それに対する当然のように返された唖然……それを理解した瞬間に湧き出てしまった。涙が。

私には大好きな人なんかいない!


私はシャドウ様にお前を倒せと言われたんだ!私はそれしか知らない…!楽しくて笑っちゃうとか、一人で寂しいとか……大好きな人が大切だとか……そんなのまだ習ってないよ!




「大丈夫だよ。きっと分かるよ。あなたにも“心”があるんだから。」
「心……?」

心が無ければ涙なぞ流せない。世界を絶望に沈める闇の戦士として生まれた自分には大切な人なぞ存在しない、オリジナルの強さ―その笑顔―を自分は決して手に入れはしないという悲しみで泣くことなどできない。

「ここから出よう……ね?」
彼女はいわば自分の写し鏡、そしてかつての自分である。そんな彼女が泣いてるのだ。自分にはそんな大切な人なんかいない。どうすればいいか分からない……かつて自分が何も取り柄がなく、どうすればいいか分からないと泣いてたように。
ならば私が“友達”になろう。かつて自分もそんな仲間たちに助けられたように。自分も変われたのだから。

他のみんなはなんとか倒し脱出する中でなんか一人ついてきちゃってるとみんな驚き。最初は他所の家に招かれた猫のごとく警戒するも「わたしの友達だよ」と言われて表情が緩む……けっこうチョロいけど初めてそんなこと言われたらまあそうなるよね


しかし別れは一瞬だった……共に己の生みの親シャドウに弓引くも(まさかの偶然で自身の野望が成就しなかったという八つ当たりじみた)怒りの一撃で地に伏せるダークドリーム!そしてプリキュア達も動きを封じられ万事休すな瞬間……“友達”を庇う彼女がいた。胸の水晶こそが本体、それがヒビ入るなら即ち……

「なんで私を助けたの!?」
「なぜかしらね……大好きだからかな…?」

「わたしたち…違う形で出会ってればよかったのに……駄目かな…?わたし偽物だし…」
「本物とか偽物とか関係ない!あなたはあなたで、わたしの友達だもん!」

「わたし……どうしたら笑うことができたのか分からなかったけど……」

ただの戦うことしか知らぬ戦闘兵器として生まれ、それでもオリジナルを通じて自分には無いものを欲しかった彼女…ダークドリーム。彼女はのぞみの友達として、彼女を助けたい一心で庇い、そして友達の腕の中で安らかな微笑みを残し消えていった。とっても大切な友達だったのだ。まさに一夜の夢のような儚き、そして視聴者たちの心に残り続ける存在であった……


・いつもそばで支えてくれた、大切な“宝物”

映画といえば最初の項目で説明した映画でのココとのキスシーン、しかしそれについて「ふたりは既にそういうのしてる関係」と言ったのを思い出してほしい。これからはその本編での「ふたりは既にそういうのしてる関係」まで過程を含め、彼女が辿り着いた将来の夢の話への大詰めへと向かおう。

11話「のぞみとココの熱気球」より。風のいたずらで気球が揺れてついつい支えにしちゃって……最初の頃はイヤボーンしてたのから明らかに変わってる。まぁ自分の抱える悩みを助けてくれたならそうなるのも分かる

「姫、お手を。」
26話「ロマンス全開リゾートライフ!」より。夜空て浮かぶボートの上にて二人っきり…パルミエ王国が復興したらのぞみも招待したいと誘うココ。彼は王子様……舞踏会を開き一緒に踊るならつまり……まさにタイトルに偽り無しな展開だ!

こんなときめいちゃいそうな展開が続いちゃったりしているが…だからこそ胸がざわついちゃうこともあったりしちゃうのだ。

それこそ31話「のぞみとココのラブレター事件!」というそのまんまなタイトル。登校時にのぞみは見てしまった…小々田先生が生徒からラブレターをもらう瞬間を。そりゃたしかに先生はイケメンだし性格も優しいとどう考えてもモテるのは当然…しかしラブレターはこれだけでない、他の生徒からも何通ももらってる!しかも大切に保管してるし返事も律儀に書いてる!自分はそれすらも知らなくて……

「いやあの隠すつもりは…特に言うことじゃないだろ…」生徒の声に目を通しちゃんと返事するのは先生として当然、そのようなつもりで言った。その言葉に耐えきれずナッツハウスから飛び出すのぞみ!りんちゃんの声も全く聞かず翌日に先生に会うも逃げるように……数々の神々しい活躍で忘れそうだが最初に記述したように彼女も普通の女の子、落ち込む時は落ち込むし頑固な一面も…

「パルミエ王国では国民のため、今は生徒のため、お前はいつ自分のために行動するんだ!?」「お前はいつもそうだ!少しは自分を大切にしろ…!」
どうすればいいか分からない、そんな煮え切らない態度を取るココにバカがつくほど正直な幼馴染ナッツが一喝する!他者のために精一杯努める姿は一国の王子たる器に相応しい、気球に乗った際の「のぞみ自身のやりたいことが見つかったら僕の夢より優先してほしい」もこの性質故にかもしれない。しかしだからこそ悩みを一人で抱え本音が言えないことも…(そんなこと言うナッツも“鍵”を一人で抱え続けてるのだがね…)

思い出せ……俺が怪我したせいでドリームコレットは自分を封印してどこかに飛んで行き、一人孤独で知らない世界であてもない希望のために彷徨い続けた過去を……そんなお前を救ってくれたのは誰だ!?
「これ以上ココを傷つけないで!」
かつて俺たちをそこまで追い込んだ強敵を前に、俺たちの夢を守るために果敢に立ち向かう彼女だ。

後日、ココはなんとしてでも自分の気持ちを伝えようとのぞみに手紙を書く。うっかりクシャクシャにしてしまったしそもそも文章もどう綴ればいいか分からずに……「ごめんね……そんなの手紙とは言えないよな。でもどうしてもなにか伝えたくて…!」
「伝わってるよ、ココの気持ち。ありがとう」以心伝心。自分に伝えたいという想いがある。それが分かればいいんだ。


お互いの気持ちを知り合うのぞみとココ。しかし彼はパルミエ王国の王子、こまちさんとナッツの所で語ったようにいつかは……

(のぞみはこの世界の人だ。でも……僕は違う……分かっているのに……)
39話「恐怖!デスパライア現る」より。暖かく穏やかな11月の晴天、いわば“小春日和”と教えてあげたそんな日にイチョウ並木をのぞみと共に歩く。うっかり転びそうな彼女を支えるも……頭によぎるは事実、すなわちそれは……

45話「のぞみとココのクリスマスの誓い」より。ドリームコレットももう少しで完全復活。そうすればパルミエ王国も復興できて国民も戻ってきてココ達は国へ帰って……しかも彼らは次期に王となる身、こうやって(彼らにとっての)異世界に居着くことなど許されないだろう。ココの夢を叶えるということはココと別れることである。彼の夢を叶えるために全力だった彼女はその事実に今になって気付き……
「(ココ達が作ってくれたケーキのデコレーションの)ありがとうって文字見てたら思ったの、あとどれくらいこうやってココ達と一緒にいれるかなって……」

「お前の心には迷いがある……この先どうなってしまうのか?本当にこれでいいのか?自分の夢に疑問を抱いている」「お前は夢を叶えることによって、大切な人との別れが来ることを知ってしまった。『このまま夢が叶わなければ別れなくて済む』…そう思っただろ?」
この会話を覗き見てた敵―かつてナッツに詭弁だけで心を砕こうとした奴―が巧みにその情報を用いドリームの心を揺さぶる!9割の真実に混じる1割の嘘…さも彼女がそう邪念を抱いてしまったかのように誘導する、現実の悪者も使いそうな話術は聞いてるこちらも身震いを起こしそうだ!
「夢と大切な人、どちらも失いたくない。お前は悩み、迷い、そして考えることに疲れ、すべてを拒絶する。それが“絶望”というものだ!」

「迷って当たり前でしょ!」「立ち止まったっていいじゃないですか!」
「すぐに答えは出ないかもしれないけれど!」「私達はいつだってドリームの力になる!」

しかし挫けそうになっても仲間が支えてくれる。かつて同じように絶望し、現実から逃げてしまった所を彼女に助けてくれたみんながいる…

ココは何も言えなかった……なにかを言ってしまえば優しき嘘になるかもしれない。だからこそ彼女の“決意”を聞き届けるしかなかった。それだけで、そばにいるだけで、彼女は決意を再び固められる。

「みんなありがとう……確かににわたし、迷ってた……でも!ココの大切な国を滅ぼしたアンタたちには絶対負けないもん!」
「わたし、ココと約束したんだ。必ずパルミエ王国を蘇らせるって!きっとそれがココにとって一番いいことだと思う!」「わたしはココの夢を叶えたい!どんなことがあっても、叶えてみせる!」

43話「こまちの決意とナッツの未来」でも“結末”を知ってしまい立ち止まっていたこまちさんに(彼女自身はまだ気付いてなかったが)「だって自分で決めたんだもん!自分の夢だもん!だから自分のためだもん!」と力強く言ったことがある。もはや夢原のぞみの決意は誰にも止められない。たとえどんな最後を前にしても……

雪降る聖夜、水無月家のリムジンで送ってもらうことになったが皆は気を利かせてふたりだけの時間を作ってくれた。まだ誰も踏み歩いてない白い道、そこに足跡をつけるも雪が溶けると消えると思うと……

「問題です。雪が溶けても残るものがあります。それは何でしょう?」

久々の小々田先生からの問題だ。これの答えは……それを導き出すために39話「恐怖!デスパライア現る」へと話を戻そう。

「王国復興を願う一方でお前は思っている……あの娘と別れたくないと。どちらの夢も叶わぬ、叶わぬ願いを抱くとは愚かなり……」
自身の想いを胸に秘めつつも彼は既に気付いていた、夢が叶えばどうなるかという事実に。その最中に一期の敵組織「ナイトメア」の敵総統デスパライア(4人が絶望の仮面をつけてた場面で後ろのモニターに映ってた人)が直々に葬らんと襲いかかる!絶望の影の力に苦戦するドリームと分断されたココにデスパライアは直接“現実”を見せつつ両方とも潰さんと迫る!この際にドリームは戦闘真っ只中でここだけは聞き取れなかった。だからクリスマスまで気付けなかったのだ……

その後なんとか仲間が駆けつけ影の突破方法を見出しドリームはデスパライアと一騎討ちする。希望の力を無力化する圧倒的な絶望の力!「パルミエ王国の者と関わったせいでこうなったから己の選択に後悔して絶望せよ」と囁くも……
「教えてくれたの…ココが教えてくれた。今日みたいに気持ちのいい晴れた日は“小春日和”って言うの!勉強の楽しさも、仲間の大切さも、みんなココが教えてくれた!ココと出会ったこと、全然後悔してないもん!」
あれだけ自分に自信を持てなかった彼女が、仲間に大喧嘩を発生させてしまった彼女が、諦めず前を向いてここまでこれたのは彼のおかげ。後悔なんかするわけない!
「くだらぬ!一時の感情など何の価値も無い。全ては消え去り、絶望のみが残るのだ……」

「そんなことない!」
とりとめのない会話、一緒に見た景色、全てかけがえのない大切なものなんだ!たしかに感情は一時のものかもしれない……
でもそれは!永遠に残る宝物なんだ!!

この先どうなっても自分の気持ちは変わらない。彼女からもらった希望は誰にも消せない。だから自分も夢のために前を向く、自分の心に“答え”があるから。それは……



「答えは“想い出”。のぞみと歩いたことは一生忘れないよ。雪が消えても、絶対に……」

「僕らはいつか離れ離れになってしまう……だから、のぞみと一緒にいる今を大切にしたいんだ。」

「…うん!わたしも、ココと一緒にいる時間が楽しいよ!」

25話でもあったように一緒にいた想い出は残り続ける。実際にココはのぞみのおかげで自身の夢を信じることができたし、のぞみもココのおかげで出来ることを見つけ自身の力になった。共に歩んだ道は消えるわけない……だから残り僅かな時間でも前へ進み、大切な想い出を作っていきたい。
雪の降るクリスマスの夜、ツリーの下で素敵な彼と…

 

悲しくも、だからこそ美しく尊いクリスマスでの経験は彼女の心に深く残っている。『映画プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』において妖精たちと二度と会えなくなるという運命を前にし、それでも世界を守るために前に進むと決意する姿は多くの視聴者の心に残っているだろう…
「たくさんの素敵な出会いが、大きな成長と新しい旅立ちに繋がっていく!」


・そして蛹を破り蝶になる。夢へと羽ばたくために……

一期ラストである49話「夢と希望のプリキュア5!」にて国民と共にパルミエ王国に帰ることになったココ。悲しい気持ちは確かにある、でも彼の夢のために頑張ったことは決して無駄ではなかった。何も持たない自分が将来の夢を持てるようになったから。小々田先生のような『教師』になる夢を。自分が先生のおかげで前へ進めたように、自分も誰かの助けになれるように。(二期あるからこの後に再会するとか言ってはいけない)

そんな先生という夢を持った夢原のぞみの一期ラストの成績は英語48点。正直その夢までは長く大変な道のりかもしれない、けれど前の35点よりも進んでるし、それに自分はプリキュアとしてどんな苦境も乗り越えたじゃないか。先生が教えてくれたように可能性の気球は浮き上がったばかり…
ちなみに39話の時点で小々田先生が担任する国語のテストはなんと72点。かつての彼女では不可能だった点数だ!

そして二期であるGoGoの22話「のぞみ先生大いに頑張る!」でりんちゃんの弟妹ゆう・あいに勉強を教えたいと名乗り出るのぞみ。分数における根本からの質問も自分なりに説明し、ヒマワリの双葉を見たことないなら実際に植えて育ててみようと提案する。その際に「なんで勉強するの?」とかつての自分が同じように抱いた疑問を聞かれる。
「それはゆう君とあいちゃんが自分だけの花を咲かせる為だよ。」
「ヒマワリは水や太陽の光や、風や土を感じて大きくなるでしょ?ゆう君もあいちゃんも不思議に思ったり、なんでだろうと考えたり、いっぱい勉強すると大きくなるの!そして将来なにかやりたいことや夢が出来たときに大きな花を咲かせられるんだよ!」
かつて自分も大好きな先生が教えてくれたように、それを自分の言葉として伝える……ここでも繋がる絆は確かに……(ちなみにのぞみ先生もこの為にヒマワリについて予習し、そのおかげでこの戦闘に勝利できたのだ。着実に進化してる!)

実はのぞみ、かれんさんの優しさを見抜いたように元から人を観察し的確な対応策を見出すという先生に必要な能力において長けてる節があった。29話「のぞみの一日マネージャー」において突如ハプニングでタイトル通りうららのマネージャーをすることになったのぞみ。仕事先の人材トラブルによる急遽補充というマジなアクシデントを友達のスキルをうまく頼り的確に対処するというプロ顔負けの采配をするという有能ぶり!うららの仕事の助けになればとしっかり仕事の内容のメモを取る(しかもめちゃくちゃ丁寧にまとめてる)抜かりなさ!自分に自信が無かっただけで素質は確かにあったんだな……


GoGo43話「恐怖!エターナルの館長!」より。みんながいてくれる大切さは分かってるけど、でも一緒にいるとつい甘えちゃう部分もあるのでたまには一人で勉強しようとするもなかなか捗らないのぞみ。ふと忘れ物を取りに誰もいない教室へ戻り、ふと教壇へ立ってみる。いつかここに立てる日が来るのだろうか……

「……へ?」
せんせー!のぞみ先生!

「わたしが……先生?」

突如場面変更したがこれは『映画プリキュアオールスターズ NewStage3 永遠のともだち』での1場面。眠りの世界に閉じ込められた歴代プリキュア達はそれぞれの夢の中へ……もちろん夢原のぞみが見るのは先生になった自分である。

夢の教師としての自分……しかし実力は未だ備わってないので古今集の小野小町の詩を書こうとするも自分もそんなのまだ習ってないよとばかりに手が止まり……そしてそれが突如として全文スラスラ勝手に書いてしまう…前にも似たような経験があった!
(余談だがこの「花の色はうつりにけりな〜」から始まる詩の意味はけっこうプリキュア5のテーマに繋がるので気になったら調べてみよう)

「今のはわたしの実力じゃありません。これは都合のいい夢ですね」
「わたしの将来の夢は学校の先生になることです。夢を叶えるには、もっともっと勉強が必要しなきゃいけません。こんな風に…本当に教壇に立てる日が来るようにがんばります!楽しい夢をありがとう!」

夢の世界に閉じ込められたプリキュア達、その都合のいい夢への違和感に真っ先に気付いたのはのぞみだった。ここまで見てきた皆さんなら理由は当然お分かりだろう……それでも彼女は“いつか叶えたい将来へのビジョン”を見せてくれたことへ感謝しているのだ。

どうしてですか?楽に夢が叶うならそれでいいじゃないですか!?
「夢は叶えばいいってものじゃないよ。だって夢は“なりたい自分になること”だから。だから自分の力でがんばらなきゃ!」

なりたい自分になる。ただ夢が叶うというのが大切ではない、その夢のために進んできた道こそが大切なのだ。彼女の歩んできた道あるからこその言葉……これぞオールスター映画の醍醐味であろう


そして一番最近のオールスター映画『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』。この映画は視聴者がプリキュアを見ていた記憶をテーマに置いた作品なのだが、「わたしは知ってる、何も持たない自分だって変われるって……だから大丈夫!」とこの一言だけでこれまで彼女が辿った道を見てきた視聴者の記憶を一瞬で呼び起こしてくる。長き時をたった独りで過ごしてきた存在・ミデン。かつて自分も何の取り柄もなく夢も無くどうすればいいか分からなかった……そんな夢原のぞみだからこそ、キュアドリームとしてミデンを助けたいと思ったのだ。まるで“あの子”のように……


そんな今回の映画でも活躍が期待される彼女がまさかの新フォーム!?いったいどんな経緯でキュアグレースと共に覚醒するのだろうか……蝶を意識したという一期コスチュームを彷彿させるデザインというのが泣かせてくるぜ。


・もし寂しい悲しい時や折れそうな時にはそっと私達を思い出して

いかがだったろうか。自分も今回の記事を書くためにdアニメストアに加入してプリキュア5を見ていたが一人ひとりの群像劇でありつつも支える仲間たちの描写あってこそ成り立つストーリーで形成されるという本当によく出来た作品だと再確認しつつこの記事を書き上げた(そのおかげであれやこれやと書いてる内に追記する必要がでてきてここまで文章が膨れ上がってしまったが……)。

とにもかくにも皆さんもプリキュア5のだいたいのことは思い出せたのではないだろうか。これさえあれば今回の映画にも出てくる過去を意識した描写を理解できるであろう……本当は本筋から外れた話でもオススメもあったりするがそこはご愛嬌。たとえばGoGo9話「名探偵こまち登場」とか

かれんさんがケーキ買ってきてくれたのでみんなでお茶にしようとそれぞれが準備で離れた瞬間ケーキがどこかに消えてしまった!もしやこっそり全部食べてしまった犯人がここにいる……?(1ホールやぞと思うがプリキュア5メンバーの食事量は尋常ではないので可能性として有り得るから困る)こんなこともあろうかと常備してる探偵服をまとい名探偵こまちさんが謎を解く!当てずっぽうな推理!疑念により広がる不和!そして衝撃のオチ……あまりにもハチャメチャな回で最高だぞ


真面目な所だとシロップが仲間を裏切ろうとする話やシャイニングドリーム、さらには今回紹介できたダークドリーム以外の敵の描写とかを話したかったのだがそれは……おや?



あ、

ま…まだまだ続くよ……(画像はGoGo39話「モンブラン国王を救え!」より)

敵組織編もよろしくね

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