「テニスの王子様」を分析する(18):意外性

部員のトレーニング用のあれこれを持ち込む乾貞治。

許斐剛『テニスの王子様 3巻』集英社、2000年、P.34。

それまで長袖姿しか描かれてこなかった乾の、初の半袖シーンである。
右手にはリストバンド、そして左手にはミサンガのような見える。

対戦相手のみならず、部内のメンバーについても多くのデータを集める乾。そのデータは徹底的に分析され、自身のテニスに反映される。
そんなテニスをする乾が、願掛けの意味合いが強いミサンガをしていることは、読者にとって意外なのではないだろうか(少なくとも筆者にとっては驚きであった)。

絵として手元が寂しいといった理由であれば、リストバンドで充分に思える。
また、メガネという(登場人物それぞれに個性を持たせるための)特徴的なアイテムを身につけている乾にとって、ミサンガは必ずしも必要とも思えない。
それでも乾は、はっきりとミサンガを身につけている。それも、今回のシーンで重要となる「グッズ」のすぐ近くに描かれているのだから、読者に見せようとする意図があるのだろう。

この理由は現段階では分からないが、データ重視の乾が願掛けもする、ということ自体が重要なのではないだろうか。そういった意外性が登場人物に奥行きを持たせ、現実世界と同じような複雑さを予感させることもできるだろう。


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