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突っ込みどころ満載なトリコの敵キャラ、ボギーウッズについて解説する

前置き

 現在、原作15周年を記念して『トリコ』の漫画が無料公開されています。

 15周年だから15巻分無料公開という、グルメ界らしい雑さで公開されたため、主人公の相棒がピラミッド内で意味深な壁画を見つけ、棺からよみがえる謎の存在……という一番続きの気になる場面で終わりますが、

過去に大隅良典栄誉教授「オートファジー」(自食作用)の研究によってノーベル賞を授与した記念に、作中で「オートファジー」が登場する回を3話だけ無料公開したころとは違って大盤振る舞いです。
自信満々に『トリコ』を読めば話題の「オートファジー」が解る!?とありますが、たった3話ではオートファジーついて理解することは出来ても、トリコを理解することは出来ません

 そういうわけで、現在公開されている序盤ですが、過去にワンピースドラゴンボールに並んでジャンプの看板アニメとされていた(当時ですら誰もこの三作品を同列に語ってはいませんでしたが……)時期もあるだけに、原作終盤のBLEACHと並んで掲載順のドべ争いをしていた頃に比べると格段に面白く、確かにジャンプの看板漫画としての風格を感じられます。

 一応、私はあまりにインフレが進んだ結果よくわからなくなってしまった最終編で、それまでラスボスだったキャラクターが妙に気持ちの悪いマザコンポエムを読み始めたりするのは結構好きです。


『美食會第5支部支部長 ボギーウッズ』

 そんなトリコですが、作中でも屈指の人気エピソード、センチュリースープ編にボギーウッズというキャラクターが登場します。

美食會第5支部「仕込みチーム」支部長。全身の骨を外し、ほかの生物の体内に入ることができる。体を生かした不規則な動きの攻撃をする。これまでに奪ってきた数十体の生物の体をコレクションしている。

トリコ 公式サイト 東映アニメーション

 美食會第5支部支部長……つまり、敵組織の幹部です。
それまでのトリコたちの敵は猛獣かロボットだったので、初の生身の幹部クラスとの戦闘ということで読者の期待を誘います。

 彼は特徴は通常の人間とは異なる骨格。その身体的特徴を活かして、人間だけでなく様々な生物に「宿」として侵入し、自由に操作することが出来るそうです。
筋肉を残している割にぺちゃんこすぎる死体など、既に突っ込みどころはありますが、敵組織の幹部らしいそれなりに強そうな能力です。

 ちなみに、彼の上司は口から蟲を吐き出します。


 そんな彼の必殺技はイレギュラーショット。関節を外すことによってリーチを伸ばすパンチのことで、要するにズームパンチです。
ジョジョはせいぜい数センチリーチを伸ばす程度でしたが、彼の場合は伸びすぎてゴム人間みたいになっています。
アニメ版で彼の腕が伸縮する時のSEはルフィが腕を伸ばすときのものなので、もしかしたらアニメスタッフは彼のことをゴム人間と認識していた可能性があります。

 非常にどうでもいいですが、腕を伸ばさずに普通に殴るのをレギュラーブローと呼んでいます。すばらしいセンスです。


 一方、対戦相手の滝丸くんの特技は相手の骨格をずらしたり、関節を外すこと。
背骨を外されても平然と立っていられるボギーウッズとの相性は非常に悪いと言わざるを得ません。

 そういうわけで、優位に戦闘を進めるボギーウッズ。
バトル中盤になると「正確に腰の骨を外したのは評価しよう」と武器を取り出します。相手を称賛する辺りには強者の余裕を感じます。
 そうして彼が取り戻したのは……5kgの分銅。

5㎏(ズー……)

 この時点で既に絶対に砕けない鎧その鎧を唯一切ることのできる刀、後には何でも切れる包丁絶対に変形しない鍋などが登場する世界で、彼が自らの武器に選んだのは鎌と分銅(5㎏)。
わざわざ5㎏と記載するところに作者のセンスが光りますが、いくらなんでもしょぼすぎます。

 ちなみに、包丁や鍋は武器ではありませんが、作者の島袋先生は調理器具のことを武器と認識しているので問題ないです。

 全身ジャージ姿なせいで田舎のドンキにいるヤンキーにしか見えません。滝丸くんも驚いているのか困惑しているのかよくわからないような表情で「鎌に………分銅……!?」と言っています。

 流石にアニメスタッフもこのままでは不味いと思ったのか、アニメ版では腕が鎌と分銅に変形するという謎の配慮が加えられていました。
 実際、重量で言えばこちらの方が軽そうなので、フォローになっているのか微妙なところですが、一応、こっちの方が強そうには見えます。


 そうして、武器を取り出して繰り出す必殺技は、

イレギュラーアイアン!!!

 技名は変わりましたが、相変わらず腕を振り回しているだけです。
それに、明らかに10m以上は腕が伸びていますが、人間の皮膚はここまで伸びません。

 ともかく、鎌と分銅(5㎏)を振り回して一方的に攻撃を続けるボギーウッズ。これだけ一方的に攻撃をしても相手を倒せない時点で明らかに武器選びを間違えています
細かい描写でいえば、分銅を振り回す前の腹パン(レギュラーブロー)の方がダメージが入っていそうなのも妙な笑いを誘います。

 最終的に、ポケモンのきあいだめのような技を繰り出した滝丸くんに対してとどめを刺そうとしたところ、鎌を深く突き刺しすぎて抜けなくなったために奥義を食らって戦闘不能(リタイア)することに。
どう考えても鎌から手を離せばいいだけですが、所詮は田舎のヤンキー。窮地に追い込まれてそこまで頭が回らなかったのでしょう。
あまりにもあっけない最期でした。


おわり

 というわけで、ボギーウッズの解説でした。
 なお、原作において彼はこの後一切登場しませんし(一応、中盤数コマだけ映るシーンはある)、仮に出てきたところでこれ以降5㎏の分銅でダメージを与えられるキャラクターは登場しません

 彼の敗因を述べるとするならば……、特注の合金で50㎏のヨーヨーを作ってくれるお兄ちゃんがいなかったことです。


 遅くなりましたが、トリコ15周年おめでとうございます。ハンターハンターの舞台は観に行きたいです。

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