そういえばと氷那は思いだす。儀式のときも、飛狛は身体をおかしくした。
あのときは儀式の影響だと思っていたし、狛琉もそうだろうと話していたのだが。
(あのときも、飛狛さんは精霊喰らいに反応していたのかも)
もしも精霊が集まったことで彼が不調になったのなら、それ以降にもあったはず。
精霊の儀式は可能な限り参加していたし、氷那が歌うことで精霊は集まるが、歌っても飛狛は平然としていた。
「とりあえず、いっちょやるか!」
「ですね」
二人が武器を手に飛びかかるのは同時。挟むように左右から斬りかかると、その獣は風圧で二人を弾く。
「精霊を食べたら食べただけ、強くなるのか!」
昔とは違う強さに、狛琉は警戒する。双子は魔法槍士の家系。実力は間違いなくこの中で一番だ。
そんな二人をあっさりと吹き飛ばす力は侮れない。
「ちっ、ここには餌がいくらでもあるってか!」
「甘くみないでもらいたいですね!」
木へ叩きつけられそうになり、二人は難なく逃れる。
すぐさま体制を整え、夜秋が斬りかかった。槍から放たれる振動が、吹き飛ばそうとする力を防ぐ。
「タフだよなぁ」
「ですね。柊稀さん、なにか見えたら教えてください」
「うん……」
双子の攻防をみながら、なんて呑気なのだと言いたくなる狛琉と氷那。
会話だけ見れば呑気だが、狛琉はしっかりと剣を持っているし、氷那は周囲を警戒している。
二人の視線は鋭く精霊喰らいを見ていた。一瞬も逃さないように。
「ちっ、竜族を甘くみるなっつうんだよ!」
食べた精霊で能力も強化されるのか。吹き飛ばすのは風の力。風の精霊を食べた分だけ威力があがり、大地の精霊を食べただけ結界は強くなる。
結界を破壊しないことには傷ひとつ付けられないと悟り、秋星が二本の剣を構えた。
風が吹き荒れ、剣へ巻き付く。輝くのは魔技の発動を意味し、柊稀はじっと見た。
手合わせをするときは一本の剣で魔技も使わない。二刀流に興味があれば、二刀流が使う魔技にも興味があった。
「
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