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愛称は「かおる姫」、写真集も発売…元人気女子バレーボール選手・菅山かおる44歳が「あのニックネームは本当に幸せでした」と語る理由 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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photograph byL)BUNGEISHUNJU、R)Takuya Sugiyama

posted2023/12/23 11:07

愛称は「かおる姫」、写真集も発売…元人気女子バレーボール選手・菅山かおる44歳が「あのニックネームは本当に幸せでした」と語る理由<Number Web> photograph by L)BUNGEISHUNJU、R)Takuya Sugiyama

2000年代に日本代表などで活躍し、「かおる姫」の愛称で人気を集めた菅山かおるさん

「昨日も大友愛と会っていました」

 日本代表での思い出を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「わたし、子供のころから自分の頭の中で、自分が代表に選ばれたときの姿を想像していたんです。練習が苦しいときとか、いつ終わるかわからないランニングの最中とか、頑張るために楽しいことを想像しようって……。自分が日本代表に入ってプレーしたらどんな感じなんだろうなぁって。不思議だったのは、ワールドグランプリの日本大会で初めてコートに立ったとき、子供のころに想像していた景色と全く同じだったこと。名前を呼ばれてコートに出て行って、満員の客席から大歓声が上がって……。イメージトレーニングをしていた場面と全く一緒だったので、すごく驚いた記憶があるんですよ」

 もちろん練習は厳しかったが、それでも憧れの代表チームでプレーできるのは幸せだったと振り返る。

 当時、代表でともに闘った選手とは、今でも交流がある。

「昨日も大友愛と会っていました。引退してから10年以上、ゆう(大友)とは会っていなかったんです。住んでいる場所が遠かったし、お互い、育児などで忙しくて。それが、久しぶりに会って、一言話した瞬間に、10年という月日があっという間に縮まって、代表時代のように話せるんです。驚きました」

 濃密な時間を過ごした仲間との絆は今でも強い。

29歳でバレーボールを引退したが…

 そんなかおるさんは2006年の世界選手権で活躍したのち、2008年、29歳のときに現役を引退する。当時は「やり残したことはない」「すべてやり切った」と、悔いは全くなかったという。引退後は「しばらくゆっくりして、バレーボール教室で子供たちにバレーを教えられたらいいなぁ」と考えていた。

 しかしある日、六本木で開催されたビーチバレーボールの大会に解説として招待され、ビーチバレーの試合を見る機会に恵まれた。

 そのときのことを衝撃的だったと振り返る。

「それまで、ビーチバレーって全く見たことなかったんですよ。もちろん存在は知っていましたけど、競技というよりレジャー寄りのイメージが強くて。でも実際に生で見たら、迫力があるし、皆さん、テクニックもすごいんです。『なんだこれは!?』と」

 砂のコートに飛び込んでレシーブを上げるプロの選手の姿を見て、興味を抱いた。そしてその直後、今度はビーチバレーボールの大会にゲストとして出場する機会も訪れた。

「普通に床の上でバレーボールをしていたら、けっこううまいほうじゃないですか、わたし(一同笑い)。それが、全然、ダメなんですよ。砂の上だと体が思うように動かない。何もできないまま試合が終わってしまいました。もちろん試合にも負けました。それが、とにかく悔しくて悔しくて……」

 本来の、負けず嫌いの性格に火が付いた。ビーチバレーボール競技への転向という新しい道が偶然、拓くことになる。

《後編につづく》

#2に続く
“かおる姫”驚きのビーチバレー転向から14年…菅山かおる(44歳)が明かすアスリート夫婦の関係性「最初はかなり警戒していました(笑)」

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