イベントレポート

Lenovo、分離するとAndroidタブレットになるWindows 2in1「ThinkBook Plus Gen 5 Hybrid」

ThinkBook Plus Gen 5 Hybridのタブレット部(手前)とPC部(奥)、タブレットはAndroid OSが動作している

 Lenovoは8日(米国時間)、分離型の2in1型Windows 2in1「ThinkBook Plus Gen 5 Hybrid」を発表した。ユニークなのは、分離するとAndroidタブレットとして動作する点。分離した後のキーボード側もミニPCとして動作し、有線のモニターを接続することでデスクトップPCとしても利用可能になっている。

Androidタブレットとキーボード一体型のミニPCに分離するThinkBook Plus Gen 5 Hybrid

ThinkBook Plus Gen 5 Hybrid

 「ThinkBookシリーズ」は、Lenovo製品の中で中小企業および一般消費者の両方をカバーするノートPCで、一般消費者向けのブランド製品では「Yogaシリーズ」、中小企業からエンタープライズまでをカバーする「ThinkPadシリーズ」の中間に位置づけられる。今回Lenovoは、14型の「ThinkBook Plus Gen 5 Hybrid」、13型の「ThinkBook 13x Gen 4」、14型の「ThinkBook 14 i Gen 6+」、16型の「ThinkBook 16p Gen 5」の4製品を発表した。

Androidタブレット部、SoCとしてSnapdragon 8+ Gen 1が採用されている
PC本体部に用意されているコネクタ、本体がドッキングするときだけ露出するように工夫されている。

 その中でもとりわけ注目はThinkBook Plus Gen 5 Hybrid。Hybridという名称がついていることからも分かるように、2in1型のデバイスで、モニター(14型OLED/2.8K)部分を取り外してタブレットとして利用可能になっている。ユニークなのは、切り離すとAndroidに切り替わことだ。モニター側には、Androidを動かすためのSoC(Qualcomm Snapdragon 8+ Gen 1)、12GBメモリ、256GBストレージ、38Whのバッテリを内蔵している。

タブレット部がドッキングした状態では外付モニターとクラムシェルのモニターの両方にPCの画面が表示されている
モニター部分を外すとPCの画面出力は外付モニターだけになる
ThinkBook Plus Gen 5 Hybridのモニターを取り外したときの動作

 モニター部を取り外したキーボード部分も単体でPCとして動作可能で、外部モニターを接続するとミニPCとして利用することができる。CPUはIntel Core Ultra 7、最大32GBのメモリ、最大1TBのストレージというスペックになっている。

 ドッキングさせた状態では、クラムシェル型のWindowsノートとして利用できるだけでなく、キーボード上に用意されている切り替えスイッチを利用して、Androidに切り替えてクラムシェル型のAndroidノートとして利用することも可能だ。

タブレット部分の背面カメラ
背面カメラと前面カメラもWindowsからも利用可能
Windowsから前面カメラも背面カメラも見えている
クラムシェルの状態でもAndroid OSに切り替えてAndroid PCとしても利用可能
Androidからボタン1つでWindowsに切り替え可能

 タブレットには背面のカメラ(1300万画素と500万画素の二眼)、前面カメラ(FHD+IR)が用意されており、タブレット側のカメラはWindows PCとして利用している場合にも利用できる。もちろん、タブレット単体の時にはAndroid用カメラとしても利用することが可能で、付属のツールを利用してAndroidで撮影した写真をWi-FiダイレクトでWindowsに転送することも可能だ。

本体の右側面
本体の左側面

 重量はモニター部が785g、キーボード部が970gで、両方合わせると約1.76kgる。一般的な14型のノートPCとしてはやや重めになるが、12.9型モニターを搭載しているiPad Proが684g、14.6型モニターを搭載しているSamsung Galaxy Tab S9 が732gであることを考えると、ノートPCとタブレットの両方を持って歩くよりは軽量だ。

 ThinkBook Plus Gen 5 Hybridは2024年の第2四半期から出荷が予定されており、実売予想価格は1,999ドルからとなっている。

Core Ultra搭載で約1kgと薄型軽量のThinkBook 13x Gen 4

ThinkBook 13x Gen 4、左がシーシェル、右がルナーグレイ

 ThinkBook 13x Gen 4は、13.5型2.8K(2,880×1,900ドット)/500nit/120Hzのモニターを搭載し、厚さが12.9mm/重量が約1kgと薄型軽量を実現したノートPCになる。

本体左側面
本体右側面

 CPUはCore Ultra、最大32GBのメモリ、最大2TBのストレージ、74WhというこのサイズのノートPCとしては大容量のバッテリを搭載していることも大きな特徴となる。底面のサイズは293.5x205.3mmとなる。

 カラバリはルナーグレイとシーシェルの2色展開で、ルナーグレイは50%の再生アルミニウムを底面カバーに利用しているなど、サステナビリティにも配慮した製品になっている。「Lenovo LA3 AI chip」と呼ばれる独自のAIチップを内蔵しており、それを利用して性能やバッテリ駆動時間の最適化などが行なわれる。

 ThinkBook 13x Gen 4は2024年の第1四半期中に出荷されることが予定されており、実売予想価格は1,399ドルからとなっている。

ThinkBook 13x Gen 4 SPE

 そのThinkBook 13x Gen 4をベースにした「ThinkBook 13x Gen 4 SPE」は、E Ink Prismを天板に採用したPoC(概念実証、技術のコンセプトが実現可能であるかを実証する試作機のこと)。

 昨年(2023年)Lenovoは、モノクロE Inkを天板に採用したPoCをCESで公開したが、本年はその進化版としてE Ink Prismと呼ばれるカラー表示できるE Inkを搭載したモデルを公開した。

独自のTGXでPCI Express Gen 4 x4でeGPUを接続できるThinkBook 14 i Gen 6+

ThinkBook 14 i Gen 6+(右)とThinkBook Graphics Extention(左)

 ThinkBook 14 i Gen 6+は14型IPSパネル(3K/120Hz、2.5K/90Hz、2.59K/90Hz)を採用したノートPC。CPUはCore Ultraで、最大32GBメモリ、最大2TBのストレージというスペックになっている。

ThinkBook Graphics Extentionの背面
TGXのコネクタ
本体の右側面にTGXのコネクタが用意されている
本体の左側面
本体の右側面

 ThinkBook 14 i Gen 6+には「ThinkBook Graphics Extention」という、eGPUボックスがオプションとして用意されている。その特徴は、本体との接続が一般的なThunderbolt 3/4ではなく、TGX(Thinkbook Graphics eXtension)という専用のコネクタとケーブルを利用する点。

 Thunderbolt 3/4ではPCI Express Gen 3のx4レーンで本体とeGPUボックスが接続されるが、TGXではPCI Express Gen 4のx4レーンで接続され、帯域幅が倍になる。これにより、CPUとGPUの間で大量のデータが転送されるようなゲームアプリケーションで、バス帯域幅がボトルックになって性能が低下することがなくなる。

 Lenovoによれば、GeForce RTX 4070/4060 Tiと互換性があることが確認されており、物理的には最大長358mmのビデオカードに対応可能(電源容量などは明らかにされていない)。

 ThinkBook 14 i Gen 6+とThinkBook Graphics Extentionは2024年の第2四半期に特定の市場に投入される計画で、両方をセットにした実売予想価格は2,199ドルからとなっている。

ゲーミングPC並みのスペックを実現したThinkBook 16p Gen 5、MagicBayの新しい周辺機器も

ThinkBook 16p Gen 5

 ThinkBook 16p Gen 5は16型3.2K/165Hzのパネルを採用したノートPCで、CPUは第14世代Core i9、GPUにNVIDIA GeForce RTX 4060、メモリ最大64GB、ストレージ最大4TBというスペックのノートPC。システム全体で200WのTDPを排熱できるように設計されており、ゲーミングPC並みの性能を発揮することが可能という。

 バッテリ容量は80Whで重量は2.2kg。「Lenovo LA3 AI chip」と呼ばれる独自のAIチップを内蔵し、性能やバッテリ駆動時間の最適化を行なえる。

本体の左側面
本体の右側面

 ThinkBook 13x Gen 4でもサポートされているフロントカメラ裏に用意されているボゴピンのインターフェイス「Magic Bay」に対応しており、10型のセカンダリモニター、AIロボット、スピーカー付き4Kカメラ(Magic Bay Studio、実売予想価格199.99ドル)などさまざまな拡張機器を利用できる。2024年第1四半期から提供開始される予定で、実売予想価格は1,599ドルから。

カメラの裏側にあるボゴピン
Magic Bay Studio
AIロボット
10型モニター

 このほかにも、今回展示はされていなかったミニPCの「ThinkCentre neo Ultra」(Core i9/GeForce RTX 4060/最大64MBメモリ/最大4TB SSD)、27型および24型の液晶一体型PC(AIO)のThinkCentre neo 50a 27 Gen 5/24 Gen 5(Core i7/最大32GBメモリ/最大1TB SSD)も発表されている。ThinkCentre neo Ultraは2024年第2四半期に発売予定で実売予想価格は1,499ドルから、ThinkCentre neo 50a 27 Gen 5/24 Gen 5は2024年第1四半期から発売開始予定で実売予想価格は899ドルと799ドルからとなっている。