カテゴリ:大和絵
練馬美術館での記念展は終わってしまいましたが、日本らしい文化が失われかけた現代にあって、一塊の明礬の様に珠玉の大和絵を見せられた強い印象を引きずって、松岡映丘作品ご紹介をもう少し続けましょう。
とにかく、久々に見ごたえのある、日本画らしい日本画の展覧会でした。 日本画とは、大和絵の事だという、昔は当たり前のこのことを我々に今更のように、思い知らせてくれたのです。 ついこの間まで、日本画なんていう、“イイカタ” は存在せず。ひょっとすると大和絵と言う呼び名さえも、外来の文物に対する新語であった時代もあったのかもしれませんね。 日本画と洋画とどう違うの? 何で区別したらいいの? 昔は存在し得なかったこの疑問に、誰もが納得する答えが与えられない混沌たる現代。この混沌から何が現れるべきなのか。何を生み出すべきなのか、何が生まれるのか・・・・・ 春草やこの松岡映丘を鏡として、じっくり考えながら、ご一緒に模索して行きたいと思います。今暫く松岡映丘の描いた大和絵にお付き合いいただきましょう。 ★ ★ ★ 【佐保姫】 松岡映丘22歳の作品。昔は良く知られていましたが、佐保姫と言うのは、竜田姫と対を成す、季節の女神とでも言いましょうか。春の花をつかさどる女神様の事を言います。そして秋の紅葉をつかさどるのが竜田姫。 和歌の素養が極、普通である時代、お正月には必ず百人一首で遊んだ世代には、説明も要らないほど佐保姫と竜田姫とは、超有名人?でした。 若い人には馴染みがない事でしょうが、折角の日本固有の文化を楽しみとしてきた大切な習慣を見過ごしてしまう教育が悪いのだと思います。・・ゲームが悪いとは申しませんが、良いものを見捨てた罪は償わねばならないと思うのです。 奈良、元平城京の東に佐保山という丘陵が今も実在しております。古事記の編纂を成された元明天皇の御陵や、その内親王で後に女帝となった元正天皇の御陵が、今に遺されており、その昔は春の花の名所として皆が春を楽しむ地であったのでしょう。 数々の和歌に読み込まれてきた佐保姫なのです。 それにしても、松岡映丘若干22歳の素晴らしい力量に脱帽ですね。 おおらかな豊かさがお顔にも、衣装にも感じられます。おそらく相当衣装には研究を重ねて、時代考証とファンタジーとを美味く混ぜ合わせ、工夫されています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年11月28日 02時07分20秒
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