中尾先生と2020.1〜アメリカ最大の女性画家ジョージア・オキーフ

 

今月の中尾先生、絵画鑑賞白熱講座は、アメリカの女性画家ジョージア・オキーフがテーマでした。

まず先生は、芸術家同士が結婚すると、たとえ女性に才能があっても、男性のしごとを支える側にまわって、自由な創作活動を断念するか、はたまた夫の死後に活動を再開してのびのびと制作するか・・・そんな風に女性のアーティストが、一人の芸術家として認められてしごとをするのは、なかなか大変だったのだ、というお話をされました。例えば、先月取り上げたジャクソン・ポロックとその妻リー・クラズナーのように。芸術は既成概念を打ち壊すような意味があるのにもかかわらず、男女の格差が堂々とあったわけです。

今月のテーマのオキーフは、20歳以上年上の夫、写真家のスティーグリッツのプロモーションによって世に出され、たくさんの作品を残したのでした。スティーグリッツは、オキーフの「女性」を前面に打ち出して、まずは彼女の名を世に広めました。彼自身が撮った美しいオキーフのヌード写真と、セクシュアリティを想起させる花のモチーフの絵を使って。

先生が「みなさん、オキーフ、どうですか? どんな印象? どれが好き?」と問いかけると、

生命力を感じる

かっこいい

一つの見方だけでなく、さまざまに見ることができるところが面白い

・・・・・

 

でも、もちろん反対の感想もあって、

 

苦手だ〜〜〜

純粋にいいと思えない

・・・・・

という正直な感想がしっかり出ていました。

 

ここが中尾流のいいところなんですね。みんなが良いと言ってもまずは自分がどう感じるかを確認する。誰もそれを否定しない。

さまざまな見方や感じ方をしている私たちだから、誰かが思いを話したり、誰かの考えを直接聞いたりできるところは、なかなかに面白く貴重な体験です。

聴いた後に、人にはそんな風に見えるのか、そういう角度から見ることができるのか・・・などなど、他者がいて自分と違う言葉を聞くことで、最初の自分の感想・印象からさらに発展していくことも大切。もちろん、やっぱり自分はこっち、と自身の感覚を忘れないことも大切。

今月はみなさんからとても活発にさまざま意見が出て、後ろで聞いていて本当に面白かったです。

こんな家の絵もあります。

オキーフといえば、こんな骨や花のモチーフ。

では、参加してくださった方が、後日送ってくださった感想をご紹介しましょう。

 

・Nさんの「好きじゃない」忖度ゼロ発言から鑑賞が活性化した!空気に流されてはもったいない。彼女の姿勢を学び、会社で少しでも出さないと。
・好きな絵がみんなバラバラ過ぎて最高笑 家とか山とか骨とか空とか雲とか、ホント不思議。好きな絵だけでなく、どこがどう好きなのか、もっと深掘りしてもよかった。
・好きな絵を選ぶのは、大げさに言えば人生が問われているような感じ。好き嫌いベースで、直感的に決めれば良いと思うが。めちゃくちゃ脳に良いと思う。
・時々オキーフの写真が出てくることで、彼女のキャラや暮らし含めて作品と向き合えた。そうすると、彼女の達観や骨へのラブリーな愛着とか見えてきて、作品と自分との親密さや解像度が上がった気がする。中尾マジック。
(Aさん・40代男性)

 

・・・・・・・

 

日曜日は大変お世話になり、有難うございます!
自分自身がオキーフの作品が苦手、ということが分かったのが勉強になりました。
メイプルソープの写真もグロテスクなところがあるけれど、オキーフほど拒絶反応はありませんでした。写真と絵画の違い、作家が異性と同性の違い、何かしらあるのかしら。
まだ自分自身、何故オキーフが苦手なのか分析しきれていません。(笑)
でも、本当はスライドで判断するのではなく、実物の作品を見た上で評価しないと、作家に対して失礼ですよね。すみません!
(Nさん・50代女性)

 

こんな風に、皆さんそれぞれが感じ方が違っていて、面白い。

 

 

一つの共通するアート作品を通して、自分がまずは何を感じるか、誰にも遠慮せず比較せず、まずは感じて見る。そして、先生のナビゲートの波に乗って、人の話や意見に耳を傾ける。それらを受け取った後に自分が何を思うのか、共感なのか、抵抗なのか、疑問なのか・・・
そんな一連の作業を、言っても言わなくてもいい環境の中で体験できるのが、中尾先生のアートレクチャーです。

 

最後にね、私の感想を書いちゃいますよ〜

 

オキーフの絵は若い頃に見て、かっこいいな〜と思いました。彼女の姿やライフスタイルもかっこよかった。でも年月が経って、今感じたのはちょっと違いました。
オキーフは、シュッとした風貌や知的な顔立ちから、スタイリッシュで哲学的な解釈で見ることもできるけれど、骨も花も、とてもシンプルに、ただ美しいと思ったから描いた。シンプルなモチーフであるほど様々な解釈ができるけれど、純粋に美しいと心が震えるものに誠実だったのではないかと感じました。自らの感覚にまっすぐで自然な純粋な「女性」だったのではないかなぁ。
さてさて、中尾先生の白熱講座の今後のテーマは、

 

2月23日(日) 第68回 アンドリュー・ワイエス

 

3月22日(日) 第69回 エドワード・ホッパー

 

とアメリカ人の画家が続きます。

 

知らないアートもまた楽し。ぜひご一緒しましょう〜