ちょっと怖い熊の看板のドイツ家庭料理屋は、料理もマダムのツッコミも絶品だった。【フミコフミオの夫婦前菜第15回】

昔からずっと気になっていた、ちょっと不気味な熊の看板があるドイツ家庭料理屋に妻と行ってみた。そこは、絶品ドイツ家庭料理と素敵なマダムがいる素敵なお店だった。超おすすめ。(鎌倉のグルメランチ

ちょっと怖い熊の看板のドイツ家庭料理屋は、料理もマダムのツッコミも絶品だった。【フミコフミオの夫婦前菜第15回】

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ずっと気になっているお店がある。

 

そのお店は鎌倉の海岸通りにある創業50年を超えるドイツ家庭料理の「シーキャッスル」。祖父の家から歩いていけるほどの距離にあるお店なので、子供の頃から気になっていたのだけど、そのわりに一度も足を運んだことはない。なぜか? 怖かったからだ。店の看板に描かれた熊のキャラクターが少々不気味で、日が暮れたあとなどはモンスターじみていて怖く見えたのもあるが、お店にいらっしゃるドイツ人マダムが辛口で恐ろしいと専らの噂だったからだ。


僕はもう不惑。いい大人だ。熊ちゃんへの恐怖などとっくに克服している。同時に、加齢とともに怖いものや痛いものを見かけると触れてみたくなるエム体質へと成長している。


妻と訪れた「シーキャッスル」は落ち着いた雰囲気に包まれていた。和独折衷の独特な店内には外国人の方が数人。思わずビビって「こんにちは~」、声が小さくなる。ドイツ人マダムが指差す窓際の席へ。4人掛けのテーブルだ。妻に対面する位置に座っているとメニューを持ったマダムがやってくる。外国人を見ると、とりあえずニタニタ笑うことにしてる僕。マダムはそんな僕を一瞥するなり「セキコッチ!」と席を移動するよう促す。独首相某メルケルさんの100倍の貫禄。58年お店を切り盛りしてきた歴史が重さを感じる。

 

挨拶が大事だ。「こんにちは~」あらためて僕が挨拶すると「サッキノ挨拶聞コエナカッタヨ」とマダム手厳しい。仰るとーりでございます。店内を観察すると、40年以上前の雑誌がたくさん飾られていた。「シーキャッスル」を取り上げた記事だ。時間が止まっているような気分になる。

 

気をとりなおしてメニューを頼んでいく。コースではなく単品だ。ザワークラウト。ソーセージ盛り合わせ…。

 

マダムはにこりともせずに「ツイてる!」と言った。どうやら僕はツイてるらしい。

 

くっそー。大学の時に独語をサボりまくっていたのでこんなときどう言えばわからない。仕方なしにサムアップしたがマダムはスルー。悲しい。

 

僕らはソーセージ盛り合わせとポテトとビールを頼んだ。ソーセージはどれも皮がパリっとして美味しい。まったく脂っぽくなく、肉肉していて、肉食べてる感が凄い。ソーセージ盛り合わせの付け合わせはザワークラウト。マダムの「ツイてる」は僕がラッキーなのではなく、ソーセージの付け合わせとしてザワークラウトが「ツイてる!」という意味でした。高度すぎるよ。

 

料理を追加しようとして手を挙げようとする僕を「なりません」といって制止する妻。真顔である。ドイツでは手を挙げることはナチスを連想させるから絶対にダメ、厳禁なのだと妻は言う。真偽はわからぬが仕方なく、僕はか弱い声でマダムを呼ぶ「イッペンニ頼ミナサイヨ」というマダムの鋭い突っ込みをニッポンジン特有のニタニタ笑いで軽くいなしつつ、ミートローフと粗挽きポークソーセージを追加。

 

このミートローフが絶品だった。「オ肉トソーストポテトヲカラメテ食ベルノヨ」というマダムのアドバイス通りに食べると……お肉の塩っ気とポテトの甘みが口の中で混じり合ってとても美味しい。近くにいたマダムに「すごく美味しいです」と声をかけた。するとマダムは、フォークにぶっ刺したソーセージにがぶりついている僕を見るなり、くわっと目を見開き「ナイフヲ使イナサイ!」と厳しく注意。

 

その頃になると僕はマダムの突っ込みのファンになっていた。昔よく見かけた子供たちに注意するお年寄りみたいな存在が近いかも。まさかドイツの人から古き良き日本を連想するとはね。僕はなんだか懐かしい気分だった。マダムは帰る際に「マタキテネー」と言ってくれた。それがはにかんだようなとてもいい笑顔。とんだツンデレだぜ。昔怖くて仕方なかったクマのマークを帰り際に見たら、何だかマダムみたいで可愛らしく見えたんだ。突っ込みドイツマダムと美味しいドイツ家庭料理の鎌倉「シーキャッスル」超おすすめ。

 

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落ち着いた雰囲気のお店。

 

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これがちょっとこわい熊ちゃんだ!

 

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ソーセージ盛り合わせとポテト、パリっとして美味しい。

 

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追加注文のミートローフとポークソーセージ。ミートローフは僕の想像と見た目が違ったけれども味は絶品!

 

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ポテトをよくからめてお肉を食べるべし。

 

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ポテトとからめて、

 

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食べる!お肉の塩っ気とポテトの甘みがマジでサイコー。

 

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いい感じの店内。

 

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 歴史を感じる雑誌の切り抜き。

 

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やっぱ、まだちょっと怖いかも(笑)

 

今日のお店

シーキャッスル

住所:神奈川県鎌倉市長谷2丁目7-15 

TEL:0467-22-3785

r.gnavi.co.jp

 

書いてる人

フミコフミオ

海辺の町でロックンロールを叫ぶ不惑の会社員です。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて15年、現在の主戦場ははてなブログ。内容はナッシング、更新はおっさんの不整脈並みに不定期。でも、それがロックってもんだろう?ピース!

 ブログ「Everything you've ever Dreamed」:http://delete-all.hatenablog.com/

ツイッター:https://twitter.com/Delete_All

                             
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