ロアルド・ダールのベストセラー小説『チョコレート工場の秘密』。1971年と2005年に2度の映画化を果たし、2005年版はティム・バートン監督とジョニー・デップ主演の独創的な世界が高い評価を得た。2013年からは英国ウエストエンドで初演が行われ、2017年1月までロングラン上演。様々な賞を受賞し、2017年4月からはブロードウェイでの改編上演、その後全米ツアーやオーストラリア公演も行われた。
日本初演となる今回、ウィリー・ウォンカを演じるのは、本作が5年ぶりの新作ミュージカル出演となる堂本光一。東京2020パラリンピック開会式の演出を手がけ、様々な舞台でも活躍するウォーリー木下が日本語版翻訳と演出を務める。
初日前会見には堂本光一、観月ありさ、森公美子、鈴木ほのか、芋洗坂係長、岸祐二、彩吹真央、小堺一機、そしてチャーリー役（トリプルキャスト）小野桜介、チョウ シ、涌澤昊生やゴールデンチケットを手にする子供達が登壇した。
初日を前にした思いを聞かれた堂本は「稽古があと1ヶ月ほしかった」と言いつつ「ミュージカル版は世界のあちこちでやっているけれど、これが一番なんじゃないかと思います」と自信をのぞかせる。
観月の「舞台装置も歌も衣装もとてもメルヘンなのでぜひ楽しんでください」という言葉に、森は「前の方の席じゃないと見えないと思いますが、ベーコンなんです。衣装の柄が。プレッツェルも乗っていたりするので、見えない方はぜひプログラムを買ってお楽しみください」と販促。鈴木も「カツラに目玉焼きを乗せているのも初めての経験（笑）。息子たちと一緒に挑戦したいです」と意気込む。
芋洗坂が「満を持してこの体型を作ってきました」と話すとキャスト陣から笑い声が。堂本も「何も入れてないの？」と驚き、芋洗坂の「自腹です！」という言葉に笑い声をあげていた。
岸は「やらなきゃいけないことはまだまだたくさんあって、それが全部うまくいけばミラクルが起こる」と話し、「子供たちも本当に魅力がある子達ですし、光一くんが帝劇の王子様から王様になり、今回は魔術師になると思います」と予想を語る。
彩吹は「場面によってはシビアだったり残酷に映ったりすると思います。でもある意味教育にいいんじゃないかと思うので、お子さんにも楽しんでほしいですね」と親子で楽しめる作品であることをアピールした。
小堺は「映画や小説でご存じの方も思わず声が出てしまうような素晴らしいシーンがたくさんあります。3人のチャーリー（子役）はそれぞれ違うキャラクターですから、その違いも楽しんでほしいです。静かなライバル心がメラメラ燃えているのでプロとして見習わない」と子役たちへのリスペクトを語る。
子役は左から：涌澤昊生、チョウ シ、小野桜介
また、制作会見でそれぞれ堂本の印象を語っていたチャーリー役の3人。稽古期間を過ごした今、改めて印象を聞かれると、小野は「まだはっきり（顔を）見られないです。お芝居になったらちゃんと見るけど緊張します」と答え、堂本は「本当？ いやあ、スターですからね」とおどける。同じく緊張するかと聞かれたチョウは「もう大丈夫です」と力強く答え、「お芝居について色々アドバイスしてくれてありがたいです。あとは衣装を着ているとちょっとオーラが増える」と話し、堂本も「普段はジャージ姿しか見てないもんな（笑）」と頷く。涌澤は「会見の時に失礼なことを言ったので怒られると思っていたけど怒られなくて、意外と優しかったです」と話して笑わせていた。堂本は「（3人と）タメですから。彼らの方が大人だと思う」と笑って答え、「素晴らしい作品が今ここに生まれ落ちそうだと感じています。お客様と一緒にチャーリーとチョコレート工場の旅をして、素晴らしい時間を共有したいです。みんなと一緒に作ってきた作品を皆さんにお届けできるのを楽しみにしています」と締め括った。
ゲネプロでは不思議で魅力的な世界に誘う仕掛けが次々に飛び出し、ゴールデンチケットを当てた子供達やその保護者と一緒に驚いたりワクワクしたり、楽しい冒険をすることができた。気難しいが子供心も忘れないウォンカ（堂本）と、貧しいながらも誠実で夢に満ちたチャーリーの交流が丁寧に描かれ、2人の絆や共通点が見えるストーリーになっているのも面白い。
カラフルで可愛くかっこいいセットや衣装、オシャレで楽しい楽曲、原作や映画とはまた違うキャラクターたちも魅力的。キャスト一人ひとりの個性が出ているシーンも多く、Wキャスト、トリプルキャストの違いも見てみたくなった。
本作は2023年10月9日（月・祝）より帝国劇場にて開幕。2024年には福岡・大阪でも公演が行われる。
