【要注意】接骨院・整骨院の不正請求と国の対策について

【要注意】接骨院・整骨院の不正請求のパターンやバレる理由、国の対策について

近年、整骨院や接骨院による不正請求が問題となっています。

不正請求とは施術した回数や部位を偽り、必要以上に多くの療養費をもらう行為を指します。

今回は、不正請求の具体的なパターンや発生の背景について解説します。

整骨院・接骨院の不正請求とは

整骨院や接骨院の不正請求は、受領委任払い制度を悪用して療養費を実際よりも多く見積もって保険者に請求をする行為です。

受領委任払い制度とは、従来の償還払いのデメリットを解消するために考えられた特例措置です。この制度により、患者様は整骨院や接骨院の窓口で保険証を見せ、療養費支給申請書にサインすると、健康保険の自己負担分だけを支払い施術を受けられます。

以降では、整骨院や接骨院の不正請求の手口について5パターンを解説します。

柔道整復師が施術を提供する様子

不正請求のパターン①:施術箇所の偽造

施術箇所の偽造とは、本来施術していない箇所の療養費を請求することです。たとえば腰の痛みで来院した患者に対し、腰だけではなく肩や腕の施術を同時に行ったことにして療養費を請求します。

柔道整復師の受領委任払い制度では、3部位までは部位数の増加に伴い支給される療養費も増える仕組みです。

そのため1部位のみの症状を訴えて来院した患者に対して、3部位を施術したことにして療養費を申請すると実際の施術分よりも多くの療養費を得られます。患者に対して合理的な説明もなく、施術の部位数を増やすと不正請求にあたります。

不正請求のパターン②:部位転がし

部位転がしとは、施術箇所を転々と変えながら継続して療養費の請求を続ける行為です。整骨院や接骨院で保険を適用して施術をする場合、1箇所の施術期間は3ヵ月~6ヵ月に限定されます。

施術期間を過ぎると療養費を請求できないこともあるため、請求する部位を変更しながら長期的に療養費を不正に請求する事例がみられます。

たとえば、腰の症状で3ヵ月~6ヵ月に渡り保険を請求したら、次は膝や肩に請求部位を変更して療養費を得ようとするのです。

不正請求のパターン③:来院日数の水増し

来院日数の水増しとは、患者が来院していない日を来院したと偽って療養費を請求することです。

たとえば月に5日しか来院していない患者を10日来院したことにして、不正に療養費を請求するケースがあります。

不正請求のパターン④:柔道整復師以外の施術による請求

法律では整骨院や接骨院で保険を適用できるのは、柔道整復師が担当した施術のみに限られます。しかし中には、柔道整復師の資格を持っていない整体師や鍼灸師、学生に施術を担当させて、不正に療養費を請求するケースがあります。

不正請求のパターン⑤:受傷理由の改ざん

受傷理由の改ざんとは、慢性症状で来院した患者の受傷理由をあたかも突発的な衝撃でケガしたように理由を偽って療養費を請求することです。

本来、柔道整復師が保険を適用して施術できるのは、急性症状に限定されています。そのため、慢性腰痛で来院した患者が「長時間のデスクワークで腰が痛くなった」などと慢性症状につながる理由を伝えた場合に、それをそのまま申請書に記載すると保険が適用されない可能性が高いです。

そのため、「転倒して腰を痛めた」などと急性症状につながる理由を偽って記載することで、不正に療養費を請求します。

整骨院・接骨院で不正請求が行われる理由

では次に、不正請求が起きる理由を解説します。

柔道整復師が請求違反するイメージ写真

保険を適用して施術できる範囲が限られているから

整骨院や接骨院では、慢性症状に対して保険を適用して施術できません。そのため慢性症状を急性症状と偽って、不正に請求するケースがあります。

整骨院や接骨院で保険を適用して施術できる症状は次のとおりです。

・骨折、不全骨折、脱臼(応急手当以外は医師の同意が必要)

・打撲、捻挫、挫傷(肉離れ)

以上は急性症状と呼ばれ、痛みの発起点や原因がはっきりしている点が特徴です。それに対して、痛めた起点や原因がはっきりしておらず、長期間に渡って悩まされている不調は慢性症状と呼ばれます。

保険を適用できない場合は、自費で対応する必要があります。しかし自費で施術するように提案すると、費用が高額になるため施術を断られる可能性があります。売上を伸ばすためにも、慢性症状を急性症状に偽って不正に請求することで、より多くの患者様に施術を受けてもらおうとするのです。

競合が増えているから

現在、整骨院や接骨院の数が増加しています。その結果、1つの施設に訪れる患者数が減少してしまいました。

患者数が減少すると必然的に売上も縮小します。そこで水増し請求や施術箇所の偽造によって、1人当たりの療養費の請求額を増やして売上の縮小をカバーしようとするケースがあります。

売上の縮小をカバーするために、療養費を不正に請求することは許されない行為です。自費メニューの導入をはじめとした正しい方法で売上の拡大を目指しましょう。

自費メニューの導入方法が分からない場合は、運動療法を取り入れてみてはいかがでしょうか?運動療法を活用した自費メニューの構築方法について解説した資料を無料でダウンロードできますので、ぜひご覧ください。

お役立ち資料:運動療法を活用した自費メニューの構築方法

整骨院・接骨院の不正請求(水増し・架空請求)がバレる理由

今まで発覚した不正請求はどのようにしてバレているのでしょうか?ここでは、不正請求が発覚する理由を解説します。

患者様からの情報提供

現在は保険者から患者様に保険の利用状況を記載した「医療費通知」が郵送されます。利用状況を確認して不信に思った患者様からの情報提供により、不正請求が判明することもあります。

医療費通知には、受診した医療機関日数および回数が記載されているため、受診日を水増しして請求すると患者様に不正をしていることがバレるのです。

また、申請書チェックの際に保険者側に疑義が生じると、患者様に施術内容について直接確認することもあります。患者様が施術を受けた部位を正直に答えて、施術箇所の偽装や部位転がしが判明するケースがあります。

内部告発

保険請求を担当する従業員が、告発することもあります。院長に対する不満や、不正請求への反発が内部告発につながるようです。

従業員が告発する場合、不正請求の状況を詳細に伝えることができるため、すぐに監査に至る恐れがあります。

また柔道整復師の受領委任払い制度に詳しい同業他社や元従業員が、保険者へ告発する事例もあります。

整骨院・接骨院での不正請求に対する国の対策

横行する不正請求に対して国も対策を取っています。ここでは、代表的な対策を紹介します。

柔道整復師が保険診療する様子

長期に渡って施術した場合の料金減額

長期施術に伴う療養費を減額することで、療養費の無駄を削減しています。また継続理由の説明を義務化することで、不要な長期施術の是正に努めています。

具体的には、初検から5ヶ月を超えた場合は施術費用を80パーセントまで減らすよう定められました。またひとつの打撲・捻挫の施術が3ヶ月以上続いた場合、支給申請書に「長期施術継続理由書」の添付を求めています。

多部位を請求した場合の給付率低減

多部位請求に対する給付率の低減とは、3部位目の給付率を60%に抑える施策です。柔道整復師が不必要に部位数を多く請求する状況を是正するための処置と考えられます。

多部位請求の低減措置は段階的に実施され、まずは2010年に3部位以上の給付率が80パーセントから70パーセントに下げられ、同時に4部位目以降は給付されないことになりました。さらに2013年には3部位目の給付率が60パーセントにまで抑えられました。

受領委任払いを取扱うための条件の厳格化

2018年以降から受領委任払いを取り扱うための条件が厳格化されました。従来は柔道整復師の免許を取得すると、すぐに整骨院や接骨院を開設して受領委任払い制度を活用した保険施術を行えました。

しかし2018年以降は、実務経験と2日間の施術管理者研修の受講が必須条件として追加されました。受領委任の届出を行う際は、実務経験期間証明書の写しと施術管理者研修終了証の写しの提出が求められます。

施術管理者研修の詳細については次の記事を参考にしてください。

参考:柔道整復師の施術管理者研修とは?接骨院・整骨院の開業に必要な要件を徹底解説

接骨院・整骨院の不正請求に注意しよう

柔道整復師業界の全体を取り巻く経営の厳しさもあり、不正請求が明るみになるケースが増えています。保険適正化の影響もあり、保険を適用できる症状の範囲が、以前に比べ限定されたと感じる方も多いのではないでしょうか。

保険だけで整骨院や接骨院を経営することが難しい場合、不正請求をするのではなく、自費メニューの導入を検討するとよいでしょう。しかし自費メニューを導入して、本当に患者様に受け入れてもらえるか心配する声も聞かれます。そのような場合は、リハサクをお試しください。

リハサクがあると、理学療法士が監修した800種類以上の運動メニューを動画で患者様に提供できます。そのため、生活習慣の改善や慢性痛の予防に興味のある患者様に新サービスとして受け入れてもらえるでしょう。普段の施術にリハサクを加えるだけで、自費メニューとして満足度の高いサービスを提供できます。

運動療法クラウドシステム【リハサク】の紹介はこちら

<参照元>

建設国保|知っていますか? 「接骨院・整骨院」の正しいかかり方

厚生労働省|柔道整復の施術に係る療養費関係

西日本新聞|整復師、続く不正請求 免許、業務停止10年で171人 過当競争が背景か


治療院の患者満足度・再診率向上をサポート!
運動療法クラウドシステム


リハサクとは、理学療法士や柔道整復師がエビデンスに基づいた運動療法を動画または紙媒体で簡単に提供できるようにし、患者満足度・再診率向上をサポートするクラウドシステムです。

【整骨院・接骨院】リハサク導入のメリット

  • 最新のエビデンスに基づいた効果的な施術を提供
  • 患者満足度向上による再診率向上に寄与
  • 自費メニュー化することで保険に頼らない施設経営をサポート
  • 施設での運動療法を自動化し、売り上げ向上・人件費削減に寄与

Close Bitnami banner
Bitnami