ゼミの志望理由書の書き方を変えるだけで教授の目に留まる【例文付き】
伝わりやすさが変わるゼミの志望理由書の構成【例文付き】
志望理由書を書く上で重要となるのが、教授目線での分かりやすさです。
特に、倍率の高いゼミの教授は100名分以上の志望理由書を読むこともあります。
その際に、どんなに良い内容の素材を持っていたとしても、伝わりにくいと印象に残らずに落選になってしまう可能性があります。
そこで、PREP法という考えや主張を簡潔に伝えられるフレームワークを活用しましょう。
PREP法を活用した文章は以下の4つの構成から成ります。
・Point(要点)
・Reason(理由)
・Example(具体例)
・Point(要点・結論)
本項目では、それぞれの構成でどのように書いたら良いのかを解説します。
<H3>書き始め・Point
ここでは、あなたが志望するゼミに入りたいことの意思表示と、ゼミでどんなことをしたいのか、ゼミを通してどうなっていきたいのかなどを示します。
詳しい内容は次の構成で書くので、文章を通して言いたいことの全体像が伝わるような書き方をすることが望ましいです。
あまり長いとかえってわかりにくくなってしまうので、2~3行程度までにおさめると良いです。
例文
私は〇〇ゼミに入り、△△をしたいと考えています。
△△することを通して、将来的に××を実現することが目的です。
<H3>詳しい志望理由・Reason
ここでは、あなたが入りたいゼミを志望していることが妥当であることを示すことが目的となります。
志望理由の内容の質に大きく影響を与えます。
しっかりとした志望理由は、あなた独自の考えを示しながら、あなたがそのゼミを志望していることへの納得感を与えます。
そのような文章を作るには、しっかりとした論理構成を練っておくことが重要です。
基本的には以下の3つの要素を意識すると、オリジナリティを兼ね備えていて、かつ綺麗な論理構成になるでしょう。
・あなたが実現したいこと
・そのために必要なこと
・ゼミでの活動があなたの目標に与える影響
例文
私は将来的に、◻︎◻︎業界で△△な立場から××をしていきたいです。
そのためには、◻︎◻︎をしていく必要があると考えています。
〇〇ゼミでは、〜〜について様々な角度からディスカッションや研究することを通して、◻︎◻︎業界で活躍するために必要な知識を深めることができると考えています。
<H3>具体的なエピソード・Example
志望理由の内容だけであれば、誰でも言おうと思えば言える内容の域に留まってしまいます。
そこで、実際にあなたが体験したことや、それを通して考えたことを具体的に示すことで、志望理由を補強することができます。
重要なのは、他の人にない希少性の高い経験を書くことではありません。
志望理由に妥当性のある内容になっていることと、その経験を通して何を考えたかが重要となります。
例文
私は大学1年生の時に〇〇の経験を通して、△△について意識するようになりました。
そこで、さらに△△についての理解を深める中で、◻︎◻︎だということに気付きました。
そこから、〜〜と考えるようになりました。
<H3>結論・Point
最後に、詳しい志望理由と具体的なエピソードを受けて、改めて自身の主張を強調し直すことで印象付けることが目的となっています。
書き始めでは、あなたがゼミに入りたい理由や文章の全体像を示すことが目的でした。
結論の部分では、あなたが実現したいこととゼミを通して得られるものを関連付けながら、ゼミに入りたい意思を強調しなおすことがポイントです。
ここでも、あまり長すぎるとかえって内容が不明瞭になるので、2~3文程度でまとめることをおすすめします。
内容については、以下の3点を意識すると良いでしょう。
・冒頭の内容との一貫性
・文章全体を受けた話の流れ
・書き始めの内容より具体的にすること
例文
私が◻︎◻︎になっていく上で、△△を身に付けていく必要があるため〇〇ゼミでの研究を通して知識を深めることを望みます。
そして、〜〜のできる◻︎◻︎になるために、△△についての研究成果を残します。
<H2>【学部別】実際の志望動機の例
前の項目では、わかりやすい構成を作るためのPREP法を解説し、例文を紹介しました。
ここでは、PREP法を実際に活用するとどのような志望動機が仕上がるのか、実際の例を見て理解を深めましょう。
法学部と、経済学部の志望理由書の例を用意しているので参考にしてみてください。
法学部の例では会社法のゼミを、経済学部の例では金融系のゼミを題材としています。
<H3>法学部の例(会社法ゼミ)
Point(要点)
私は、会社法について〇〇ゼミで研究することを希望します。
なぜなら、企業買収や資金調達など、事業が飛躍的に成長していける施策について法律的に正しく解釈して企業運営を円滑に進められる人材になっていきたいと考えているからです。
Reason(詳しい志望理由)
私は、将来ベンチャーキャピタルかM&A会社で活躍することが目標です。
そして、後継者のいない高齢経営者の企業の技術を大企業へ継承し、スタートアップ企業の資金調達による技術発展の加速を支援するつもりです。
Example(具体的なエピソード)
以前は、「買収」と言う言葉にネガティブなイメージを持っていました。
しかし、地元愛知のある自動車部品工場が買収され、事業や技術が大企業へ継承されました。資本力が活かされて開発力が迅速に向上しているそうです。
さらに、経営者の方は十分な資金を貰って引退できました。
Point(結論)
企業の資金調達や事業譲渡を推進できる人材になるには、実務の場で正しく法律的解釈ができるような深い会社法の知識を身に付けることが重要と考えます。
これを、〇〇ゼミで行われるディスカッションや研究を通して実現していきたいと考えています。
<H3>経済学部の例(金融系ゼミ)
Point(要点)
私は、将来的に金融に精通したコンサルタントとして活躍することを目標としています。
そのため、企業の意思決定に効果的な、金融市場の分析力を身に付けるために〇〇ゼミに入ることを希望します。
Reason(詳しい志望理由)
コロナ禍を通して、金融市場の変動が世界経済に与える影響の大きさを実感しました。
特に、低利率環境や金融政策が消費者の行動を大きく左右することに気付きました。
金融市場の分析は、消費者行動や実態経済への影響を見極めて、企業戦略の意思決定をするのに役立つと考えています。
Example(具体的なエピソード)
昨年、私はコロナ禍による原油価格の変動が企業の投資戦略に与える影響を分析しました。
例えば、エクソンモービル社は石油の供給過多により、先物価格がマイナスになったことを受けて貯蔵設備を拡充したことを知りました。
これは、単に原油を安く入手するだけでなく、原油の長期的な需要と取引の柔軟性を向上させる、長期目線での投資効果を兼ねているようです。
このことから、場当たり的な対応でなく、企業にとって中長期的な方向性を見極めた戦略を決定することが重要だと気付きました。
Point(結論)
私は〇〇ゼミで、金融市場が与える経済的な影響や、企業の戦略決定の観点で深い知識を身に付けたいと考えています。
そして、金融に強いコンサルタントとして、企業の長期目線での成長を促進することを目指します。
<H2>志望理由が浮かばない?逆算型の作成法3ステップ
ここまで、志望理由書の書き方と例を示してきました。
一方で、そもそも志望理由と言えるほどの理由がないから書けないでいる方も少なくないようです。
しかし、志望理由書は必ず書き上げる必要があります。
そこで、本項目では志望理由が今なくても書けるようになる逆算型の方式を紹介します。
ここでは、逆算型の志望理由作成方法の概要を紹介しますので、具体的な方法を知りたい方は「ゼミの志望理由が書けない人が逆算型3ステップで書き上げる方法を具体的に解説」を参考にしてください。
<H3>志望ゼミの調査
まずは、逆算を行なうために志望するゼミについての調査を行ないます。
特に以下の4つについては必ず調べるようにしましょう。
・教授の研究成果
・教授の出版物
・ゼミの研究テーマ・分野
・ゼミの研究方式や雰囲気
・同じ学部の先輩から聞いた情報
志望するゼミの理解度が高くなればなるほど、志望理由のネタを出せる範囲が広くなります。
また、特徴などを踏まえた具体的な内容が書きやすくなるので説得力も高くなります。
<H3>ゼミの研究とあなたの接点探し
ゼミについて把握した次は、そこでの研究分野とあなたの「接点」を探す必要があります。
例えば、以下のような要素に関連するとゼミを志望する必然性が客観的に高まりやすいです。
・自身の将来の目標や理想のキャリア像
・過去に体験したことから強く意識していること
・自身が現在取り組んでいる活動
志望理由の内容は、独自性が高い方が良いです。
そのため、あなたのエピソードや目的意識が明確な理由となるように論理的に示すことが重要です。
特に志望理由としておすすめなのは、将来の目標に対してゼミのテーマの関連性が高い書き方です。
ゼミについて調査したことの中から、関連性のありそうなトピックをいくつかまとめてみましょう。
<H3>「接点」に関する体験談の整理
ゼミの研究テーマと自身の接点について整理したところで、それを裏付けるようなエピソードなどを書けると、より説得力の高い志望理由に仕上がるでしょう。
エピソードを書く際のポイントは、以下の3つです。
・エピソードにゼミを志望する理由を補強する効果を持たせる
・エピソードの中で、関係のない部分が切り捨てる
・事実と解釈を意図的に分けて書く
特に、起こったことをありのままに書くのではなく、志望理由に関連性のあることだけに上手く削ることで、意図が明確に伝わるようになり、文章が間延びすることを防げます。
また、「〇〇が起こりました。△△と考えました」と言う形式を取ることで、現在の考えに至った道筋を示すことができるので、効果的です。
ある程度、自身の中で志望理由がぼんやりと見えていた方は、これだけでも志望理由を完成させられるかもしれません。
一方で、全く思い付かないという方が志望理由を完成させる上で重要なのは、具体的な方法を知ることです。
逆算型3ステップの具体的な方法については、「ゼミの志望理由が書けない人が逆算型3ステップで書き上げる方法を具体的に解説」を参考にしてください。
<H2>良い志望理由の5条件
良い志望理由は、「内容」と「形式」の両面で優れています。
内容面では、具体的には以下の3つが優れた志望理由の条件になります。
・ゴールデンサークルの順番で理由が語られている
・ゼミに入ったらやりたいことが示されている
・自分の将来の目標やキャリア像と繋がりがある
形式面では以下の2つが重要となります。
・分かりやすい構成で内容が明確
・使う言葉の定義が明確
<H3>ゴールデンサークルの順番で理由が語られている【内容】
「ゴールデンサークル」とは、サイモン・シネックによって提唱されたプレゼンの手法で、目的を示すことで人に説得力を与え、共感を得やすい手法です。
実際、Apple社のスティーブ・ジョブズ氏はこれに則ったプレゼンをすることで、より高いカリスマ性を発揮していたと言われています。
それは、”Why→How→What”の順番で説明をするということです。
これをゼミの志望理由に置き換えると以下のようになります。
Why:あなたが最終的に達成したい目標を示す
How:その目標を達成するために必要なことをゼミの研究分野と紐付ける
What:ゼミに入ってどんな活動をしていきたいか主張する
このような構成になっていることで、あなたがゼミに入ることに高い熱意を持っていることを印象付けることができます。
また、それだけでなく深く考えた上で志望していると伝わり、合格に繋がりやすいです。
<H3>ゼミに入ったらやりたいことが示されている【内容】
ゼミに入って、どんなことをしていきたいのかが具体的に示されている志望理由には説得力があります。
具体的なことまで考えられているということは、しっかりとしたリサーチをした上で、強い目的意識を持っていることと考えられます。
「頑張ります」「やり抜きます」などの言葉よりも、具体的な行動の提示の方が熱意を効果的に示すことができるのです。
基本的には、ゼミに入ってしばらくはゼミのカリキュラムに応じて学びを深めながら関心の幅を広げ、最終的に卒論の段階でゼミ生活における研究テーマを一つに絞り込みます。
卒論のテーマレベルで絞る必要はないので、研究分野や活動方式から行動面にフォーカスした具体的なことを書いてみましょう。
例えば以下のような要素が適しているでしょう。
・ざっくりとした研究分野のテーマを設定する(ゼミに入った後に希望の分野などが変わっても問題ありません)
・ディスカッションを通してクリティカルな視点を育てる
<H3>自分の将来の目標やキャリア像と繋がりがある【内容】
自分の将来的な目標や理想のキャリア像などと、ゼミの関連性が高い方が「ゼミの活動を頑張ってくれそう」という信頼感を与えます。
なぜなら、「研究が大変」「思ったよりもつまらなかった」などと気持ちがブレて単位も取れないなどといった状況にならないからです。
教授も自身の研究を抱えているかたわら、ゼミ生を卒業させる責任を持ちます。
そのため、研究に前向きな学生にゼミ生になってほしいと考えるのは自然です。
だからこそ、ブレずに卒業まで頑張ってくれそうだと印象付けられるのは、将来の目標やキャリア像などの内発的な目的との紐付いた志望理由なのです。
<H3>分かりやすい構成で内容が明確【形式】
話の構成が分かりやすい文章は、最終的に伝えたいことが自分の意図した通りに伝わります。
どんなに内容のポテンシャルが高くても、伝わらなければもったいないです。
そこで、各構成で何を伝えるのか、文章上どんな効果を与えたいのかを意識することが重要です。
基本的には、本記事で紹介しているPREP法に則ればかなりわかりやすい文章構成になります。
詳しくは「<H2>伝わりやすさが変わるゼミの志望理由書の構成」を参考にしてください。
<H3>使う言葉の定義が明確【形式】
文章のわかりやすさには、構成の他に言葉の要素もあります。
一般的には、使う言葉を専門的にしすぎないことが重要などと言われますが、ゼミの志望理由においては難しい側面があるかもしれません。
意図的にわかりにくい言葉を使おうとしなければ問題ないでしょう。
それよりも重要なのは、言葉の定義です。
文中で用いる言葉が別々の箇所でそれぞれ違う意味になっていたり、複数の受け取り方ができるような言葉を用いるのは避けましょう。
言葉の定義が明確になっていた方が、教授が志望動機を読みながら別のことに意識を奪われずにスムーズに読了してくれます。
以下の特徴に当てはまっていないかチェックしてみましょう。
・言葉が抽象的すぎる(Pointでは構いませんが、Reason, Exampleでは避けましょう)
・複数の意味に取れる単語が曖昧な文脈で用いられている
<H2>ゼミの志望理由書はなぜ重要なのか?
ゼミの志望理由書は、選考に直接的に影響することもあれば、ほとんど関係なく合格するということもあるのが正直なところです。
これは、ゼミによって変わるのでなんとも言えません。
しかし、どんなゼミに入るのであっても、ゼミの志望理由書は重要な役割を持ちます。
志望理由書をしっかりと作り込んだ方が良い3つの理由を紹介します。
・教授がほぼ必ず目を通すのであなたの第一印象になる
・倍率が高いゼミでも合格しやすくなる
・ゼミで研究をやり切れる素養をアピールできる
<H3>教授がほぼ必ず目を通すのであなたの第一印象になる
まず、全員に共通して言えるのが「志望理由書=第一印象」ということです。
ゼミの選考には、面接がある場合とそうでない場合がありますが、基本的に志望理由書はどの大学のゼミであっても必要でしょう。
そのため、最初にあなたがどのような人として認識されるかは、ゼミの志望理由書にかかっています。
選考だけでなく、ゼミ生活を通しても過ごしやすくするためにも、しっかりとしたゼミ志望理由書を提出するようにしましょう。
<H3>倍率が高いゼミでも合格しやすくなる
しっかりとした志望動機を書くことは、先行の倍率が高いゼミで通過していくためにも重要です。
基本的に、ゼミでも就活でも多くの「選考」で当てはまりますが、通過する人よりも先に落選する人から選ぶことが多いです。
そうなると、志望理由に突っ込みどころが多いものからまず落とされていきます。
続いて、内容に一貫性のないものや、志望理由に妥当性のないものが落選の対象になります。
そこから、よりゼミにマッチしているものを絞り込んでいく流れになります。
そのため、志望理由の形式と内容の両方を意識して質を高めることは、倍率の高いゼミでは特に重要になります。
<H2>志望理由の話はどこまで盛って良い?
志望理由を書くにあたって、全てが事実ベースだと心許ないという方は少なくないかもしれません。
そこで、話を盛るのはありです。ただし、嘘をついてしまうのはアウトです。
盛るというのは、本当にあった出来事を多少大きな成果や体験として誇張することです。
そのため、全くの事実無根の内容は書いてはいけません。
ゼミ志望理由書を読んで、採用か不採用を決めるのは主に教授です。
仮に嘘をついて通過しても、その後もその教授とゼミを通して2~3年程度付き合っていくことになります。
何かの拍子に嘘がバレてしまうことがないとは言えません。
必ず、志望理由やエピソードは事実に基づく内容にしましょう。
そういう観点でも、将来の目標や理想のキャリア像を志望理由にするのは、後々変化しても嘘にはならないのでおすすめです。
<H2>【まとめ】志望理由書の「形式」と「内容」の質を高めて理想のゼミに入ろう
本記事では、選考に通過する志望動機を作る上で、「形式」と「内容」の両方の質を高くすることが重要であることを解説しました。
形式の質をあげるためには以下の2点を意識しましょう。
・PREP法で主張が分かりやすい構成にする
・使う言葉の定義を明確にする
内容の質を高めるためには以下の3点を意識しましょう。
・ゴールデンサークルの順番で理由を語る
・ゼミに入ったらやりたいことが示す
・志望理由に自分の将来の目標やキャリア像と繋がり与える
また、志望理由が思いつかない方は以下のステップで対処しましょう。
・志望ゼミを詳細に調査する
・ゼミの研究とあなたの「接点」を探す
・「接点」に関する体験談を整理する
本記事では、PREP法を活用して明確な構成のもと、ゴールデンサークルで語られる一定の説得力のある志望理由の例文も提示しました。
具体的にイメージを持った上で、あなたの志望理由が希望のゼミに通過できるように強化してみてください。
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