『遅咲きの姫』菅山かおる、勝てない1年間からの成長=ビーチバレー

ビーチバレースタイル

ビーチ転向2年目のシーズンを戦う菅山かおる。新パートナーとの大阪カップでは、準決勝に進出する躍進を見せた 【坂本清】

 ビーチ転向2年目を迎えた“姫”こと菅山かおる(WINDS)。15日に開幕したビーチバレーのJBVツアー第3戦大阪カップ(大阪府大阪市北区・中之島ビーチ)に、新パートナーの駒田順子(ポイント)とともに臨み準決勝に進出した。なかなか勝てなかった1年目をへて、ようやく、“殻”を脱皮しつつある。

何かが違う菅山の姿

 そんな「姫」は、初めてだった。スパイクを決めると力強く拳を握り締める。レシーブの読みが外れ、自陣にボールが落ちると、腹立ちまぎれにボールをぽーんと放り投げる。
 トップアスリートの負けん気が強いのは当たり前だが、菅山はどちらかと言うと感情を外に出さないタイプだ。そんな彼女が「クソッ!」と砂を蹴っている。
 17日の準決勝では負けてしまったが、JBVツアーの第3戦となるビーチバレー大阪カップでは、何か違う。

 菅山かおるが、ビーチバレーに転向し初勝利を挙げたのは昨年4月。インドアでは全日本リベロという大役を担い、アタッカーの経験、対応能力の高さを評価されていた彼女は、ビーチバレーでもすぐに強くなると言われた。だが、砂の上は勝手が違った。優勝どころかツアー本戦では、それ以降まったく勝つことがないまま1年がすぎた。
 それが、一昨日の1回戦はツアー第2戦の覇者、田中姿子(エコ計画)・溝江明香(産業能率大)組を下し、1年3カ月ぶりの勝利。昨日は浅尾美和・草野歩組(エスワン)も破った。菅山は「必死に追い込んで練習した。転向後、全然勝つことができなくて、応援してもらった人に恩返しができず、必死だった」と話すが、それだけではないのは彼女のプレーを見れば分かる。生命線であるレシーブの動きはより俊敏になり、スパイクのスイングスピードが上がっている。

今大会で見られた、動きの変化

 インドアバレー時代の菅山は、アタックに対して、より低く構えられ、その低重心のまま前後左右に動け、天性の読みが加わりトップクラスのレシーブ力を誇っていた。しかし、その動きはビーチでは通用しなかった。しかしそこから、おそらく足の動き、重心移動を根本的に変えたのだろう。長く染みついた動き、日本のトップだった動きを変えるには1年の月日が必要だったのではないか。さらにその動きの変化がスパイクのスイングスピード向上にもつながっているのではないか。
 ようやく練習の成果が表れたというのが「姫」の変化の理由だと思う。1年も掛かったのは遅すぎると言われるかもしれない。しかし彼女がインドアバレーで全日本に選ばれたのも26歳。遅咲きのバレーボーラーだった。
 今大会では準決勝で敗れたものの、ようやく勝ちだけでなく、優勝も見えてきた。遅すぎることは何もない。

<了>

(取材・文/小崎仁久)

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著者プロフィール

2009年4月創刊。国内トップ選手の情報、大会レポート、技術指導、トレーニング論など、ビーチバレーを「見る」「やる」両方の視点から、役立つ情報が満載。雑誌のほかに、ビーチバレースタイルオンラインとして、WEBサイトでも大会速報、大会レポートなど、ビーチバレーに関する報道を行っている。

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