STARLITE CREATORS Vol.2食品の安全を守る!? 非接触型ベアリング 静圧気体軸受

食品の安全を守る!? 非接触型ベアリング 静圧気体軸受

古代エジプト時代から「モノを楽に動かす」役割を担ってきた軸受...。その進化と共に、現代では「食」という新たなステージでも活躍しているのだー!っと、出だしからテンション高めのスターライト広報担当の辻本です。軸受と食品、なぜ?ですよね。では、非接触型ベアリング「静圧気体軸受」の開発者、K.Tさんに話を聞いていきましょう!

こんにちは!そもそも、軸受とはなんですか?

よろしくお願いします。K.Tです。軸受とはなにか?良い質問ですねー。軸受(ベアリング)とは、“回転する軸を支える部品”をいいます。軸受は軸に加わる荷重を支えるとともに、軸をなめらかに動かしたり、位置を決めたりする重要な機械要素部品なのです。

回転する軸を支える部品である軸受

単なる筒にしか見えない洗練されたフォルム…

おっと、単なる筒ではないですよ。軸受の形状は、エネルギーロスを削減し、よりなめらかに、より静かに、快適な運転を支えます。もし、この世に軸受がなかったら、私たちはいまだに重いものを大きな力、高いコストで運んでいたでしょう。「軸受無くして、私たちの暮らし無し」 軸受は、輸送機や家電製品のコンプレッサーやモーター部分で大活躍中なのです。

ありがとうー!軸受さん。日本ではいつ頃からご活躍を?

日本製の軸受は、1916年(大正6年)に海軍の要請を受けて製造されたものが最初といわれています。いまも世界のベアリング業界を牽引している日本企業が創業されたのもこの頃で、金属製軸受を主に開発していました。その後、産業の発展に伴い機械の性能が大幅に向上し、さまざまな要求が生まれてきました。それに応える技術のひとつとして樹脂製軸受があり、スターライトは1941年から現在までの約80年間、樹脂製軸受を提供し続けています。

Dr.軸受こと、静圧気体軸受の開発者「K.T」さん
Dr.軸受こと、静圧気体軸受の開発者「K.T」さん

金属製と樹脂製、用途に違いはあるんですか?

一般に金属製軸受がよく使われていますが、そのすべる・転がる界面の保護には必ず潤滑油が必要です。その潤滑油は150℃もの高温になると潤滑性能が著しく低下したり、潤滑油自身の劣化が起こるため、高温条件ではなかなか稼働が難しいです。

その点、自己潤滑性に優れたエスベア※1による樹脂製軸受は、潤滑油が不要なので大活躍します。樹脂製というと熱に弱いイメージがあるかもしれませんが、真っ赤な1,000℃の鉄を薄く延ばすための圧延ローラー軸受はスターライトのBAKES(ベイクス)※2なんですよ。また、錆などの金属腐食が発生しやすい環境ではズバリ樹脂が大活躍します。

  • エスベアは射出成形できるオリジナルしゅう動材料。主に電気機器や自動車用途のすべり部品や歯車などで使用される。
  • BAKESはフェノール樹脂をベースにした、きわめて高い耐熱性と擦れる相手材を傷めない耐摩耗性をあわせもつオリジナル製品の総称。

金属最強!と思っていましたが、樹脂もスゴいな…!

ここまで話してきた甲斐がありました(笑)こんなに軸受の話ができるのが嬉しいです。樹脂製軸受のほとんどが「すべり軸受」であり、軸の動きは軸受の内面で支えます。特長は転がり軸受に比べ、耐荷重性に優れ、振動が発生しにくく、構造が簡単で小型・省スペース化が可能といったところでしょうか。

ところが、これらのすべり軸受も適切なすべり機能とそれに応じた軸受周辺設計がなされなければ、軸受の異常摩耗や回転軸ぶれ、それに伴う軸の損傷が発生してしまいます。例えば、料理用ハンドミキサーは先端部分を高速回転させて生クリームを泡立てますが、軸ぶれしていたら生クリームは周辺に飛び散ってしまいます。

軸ぶれゼロが高速回転を可能に

また、軸受や軸が損傷し摩耗すると、生クリームに摩耗粉などの異物が混入してしまいます。おいしいケーキを作り上げるどころか、大惨事に...。

クリームが飛び散らない安心なミキサーが欲しいです...。

そうでしょう?たった一個の軸受部品で、お客様の信頼が大きく揺らぐ恐れがあるということです。もっと視野を広げると、生クリーム工場ではハンドミキサーを大型化した装置が使われていますが、ここでトラブルが起こったら大変です。私たちが口にする食材は、ただおいしいだけでなく、まず安心して食べられるかが重要なので、異物混入なんてもってのほかですよ。異物混入の防止策のひとつとして、製造ラインのメンテナンスが挙げられます。軸のメンテナンスには分解→洗浄→取り付けの工程がありますが、製造機械が大型になるほど「軸受から軸を抜く、戻す」「錆や劣化した潤滑油をキレイに落とす」作業はかなり大変。

軸と軸受が面で接している限り、絶対につきまとう課題ですね。それなら、軸と軸受が接触しなければよいのでは?この発想から生まれたのが、スターライトの非接触型ベアリング 静圧気体軸受です。

軸と軸受が接触しない「スターライトの非接触型ベアリング 静圧気体軸受」

摩耗がイヤなら、接触をなくせと?

その通り。静圧気体軸受は、圧縮気体で軸を浮かせて回転を支えるので、軸と軸受の間で摩擦抵抗がきわめて少なく、摩耗粉の発生を抑えることができます。また、軸が傷つかないため交換頻度も減らせます。そして、潤滑油やグリースが必要ないので製造機械の高クリーン化も実現できる。さらに、軸受の材質は金属ではなくエスベアで構成されているため腐食にも強く、錆が発生しません。以上のような点から、静圧気体軸受の導入により食品製造での課題がクリアになります。製造ラインが清潔で、クレンリネスが格段に高まれば、清掃作業などのメンテナンスの手間が格段に抑えられ、作業安全性の面においてもお役に立てるかなと思うんです。

非接触型ベアリング 静圧気体軸受で30,000回転到達!

軸受さんが食品の安全を守っているのですね!

はい!異物混入は食品の味や品質に関わるだけではないんです。例えば、アレルギーがある方はごく微量でも異物混入が命に関わることもあります。もし、大切な家族がそうなったらなんて考えるだけで気絶しそうです。そんな不安を解消する静圧気体軸受を世の中にもっと広げていきたいと思います。安心・安全で、おいしい食べものが、ずっとあたりまえにある世界のためにも。

インタビューまとめ

  • 軸受は私たちの暮らしに欠かせない
  • エスベア、BAKES樹脂軸受は金属を超える性能を発揮
  • 非接触型静圧気体軸受はクリーンな生産環境を実現
スターライトの非接触型ベアリング 静圧気体軸受

お客さまとのパートナーシップで新しい共創を。
ぜひご相談ください。

スターライト独自の静圧気体軸受により、製造機械の軸受からの摩耗粉や錆の発生を抑えるだけでなく、グリースレスや軸受交換頻度削減により製造機械の高クリーン化やメンテナンス負担軽減を実現、食品製造ラインなどでの課題解決にお応えします。お気軽にお問い合わせください。