街・地域
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竹内 太郎
2011年7月9日 (土)

液状化被害に遭った浦安市の今

東日本大震災により、市内の広い範囲で液状化現象が起きた浦安市。当初は、道路が隆起したり電柱が傾いている様子がしきりに報道されていたが、発生から100日以上たった今、行政の対応や被害に遭った地域はどうなっているのか。浦安市の現状を調べてみた。

まず被害者の救済措置について。震災直後は、液状化で家屋に沈下や抜け上がりが起きても、救済の対象として認められないケースが続出した。従来の被災者生活再建支援法では、液状化による被害が想定されていなかったためだ。浦安市は千葉県に要望書を提出し、これを受けた千葉県は国に緊急要望を提出。国は被害認定基準を見直し、5月2日から東日本大震災の特例として新たな基準を設定。6月1日発行の浦安市の広報紙によると、この見直しで、新たに約1400件が救済を受けられるようになったという。加えて、浦安市独自でも、被災家屋の地盤復旧や建て替えに対して補助金を支給する方針を固めている。(詳細はこちら
ただし、国の救済策は、主に一戸建てを対象にしている。マンションの数も多い浦安市としては、公平性を考えながら今後も対策を強化していく構えだ。

続いて、復旧の状況。浦安市内で40年以上不動産業を営む(株)もとゆきの荒井さんは次のようにいう。「電気・ガス・水道などのライフラインは、個人の敷地内で対処しきれていないケースを除けば、最も遅い地域でも5月中旬には回復しています。救済措置が見直されたこともあって、被害が大きかった賃貸住宅でも修復が進んでいます」。実際に街なかを歩いてみると、報道で幾度も目にした大量の噴砂が除去されているなど、平静さを取り戻していると感じた。ただし、被害が大きかった高洲地区や今川地区などでは、道路が波打っている場所も多く残っている。「単純に震災前の状態に戻せばいいというものではなく、同様の被害を防ぐような対策を施す必要もあります。このため、現状では応急措置を施しただけの箇所もあるのです」(浦安市)。

浦安市の液状化被害は、大半が埋立地で発生している(マップ参照)。これまでの行政の対応は予想以上に早く手厚いという印象を受けるが、埋立地の面積が総面積の約4分の3を占めていることを考えると、抜本的な解決にはもうしばらく時間がかかりそうだ。前出の荒井さんはいう。「被害があった地点を結んで面積比にすると85%以上になるようですが、住宅だけで見れば、実際に被害を受けた件数は全体の2割にも満たないと思います。震災後、2カ月くらいは部屋を探すお客様が途絶えていましたが、5月下旬くらいからは回復しつつあります。浦安市=液状化の街というイメージが早く払拭されるといいのですが」

液状化被害に遭った浦安市の今

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