猫箱をつつく

07th作品の感想・考察を垂れ流しです。

安田紗代に関する思考のまとめ①【暫定】

2022年6月6日時点で、個人的に思っている「うみねこのなく頃に」という作品の構造、登場キャラクターの意義、安田紗代の感情、等についてまとめようと思う。

 

うみねこのなく頃に」はめちゃくちゃ長い&ミステリーで、よく考えて創られたものであるからして、無駄な描写は一切存在しない、という認識。

つまり、全てのキャラクターの言動、情景描写等には必ず意味がある。

そして、これは考察というよりは、感想。

人によって見え方が違うはずなので、下記のことが正義だと言い張るつもりはない。

 

EP1~EP7 において、安田紗代はどこにも出てこない。

(出てくるのはあくまで、紗音、嘉音、ベアトリーチェ、理御、という独立した人格)

EP8になってようやく、虚無の海を漂流する縁寿にカケラが流れ込み、縁寿が安田紗代を認識することで安田紗代の存在が保証される。

魔女は誰かに認められなければ存在することができない、とこれまでのエピソードで散々言ってきたので、うみねこでは認められる=存在できる、という考え。

そして、紗音、嘉音、ベアトリーチェ、理御を重ねたところで、EP8で描かれたような「安田紗代」は出来上がらない。(負の感情がどうしても足りないと思う。)

もう少し視野を広げて「うみねこのなく頃に」という猫箱を俯瞰し、「猫箱=安田紗代」としてみた。

 

猫箱の中身

ゲーム盤上:譲治と恋をする紗音、朱志香と結ばれようとする嘉音、その他、安田紗代が抱いていた右代宮家の人たちのイメージが反映された駒たち。

ゲーム盤外:戦人に認められたい(気づいてほしい)ベアトリーチェ、ラムダデルタやベルンカステルといった魔女、ウィル、理御

紗音、嘉音、ベアトリーチェは安田紗代の中身なので説明不要。

ウィルは「心を蔑ろにするんじゃねぇ」という発言が戦人の「ミステリーではホワイダニットが大事なんだ」と被ること、ウィル理御の関係が性別の関係ないパートナーのような関係であること、理御がウィルの尻を抓ること(戦人の乳揉み逆バージョン)から、ウィル理御の関係は「安田紗代にとっての理想の戦人との関係」と推測。

ラムダデルタは自分が魔女になるために必要としていた存在。

加えて、もし自分に何かあっても、ゲームを続行させるために必要とされる存在。

* 返答(赤字、またはそれに準ずるもの)が得られないまま青字を撃ち続けるのは、心理的に無理。どこかで心が折れる。戦人の心も折れてしまえば、プレイヤーがいなくなるので、ゲームは成り立たなくなる。

ベルンカステルや古戸ヱリカ、ドラノールは戦人の心が折れないようにサポートする(うみねこというゲームはミステリーであり、必ず解けるよ、と戦人に伝える)存在。

加えて、わざと嘲笑することで戦人を焚きつけ(戦人の性格をよく知っている?)、ゲームから降りないようにさせる存在。

 

これらのキャラクターは安田紗代の中にあった存在と、願望を反映させた存在、とすれば、猫箱の外側が安田紗代、ということになる。

特に、ベルンカステルや古戸ヱリカは安田紗代の負の感情から生まれた存在だと思う。

 

安田紗代には秘密があった。自分の身体のこと、出生のこと。

それらを隠しながら譲治との関係を保っていたのは、本当に苦しいことだと思う。

いっそ、全部吐き出せたら楽なのに、と感じていたと思う。

でも、自分では吐き出せない。自信がない。

だからこそ、ラムダデルタ・ベルンカステル・古戸ヱリカという違う存在に、吐き出してもらった。

EP5では夏妃と金蔵への恨みを。夏妃の罪を。(ラムダデルタがゲームマスター代行)

EP7では金蔵の罪を。(ベルンカステルベアトリーチェのハラワタを引き摺り出した)

つまり、あんなに悪役に見えるラムダデルタやベルンカステル、古戸ヱリカは、安田紗代自身が必要としている存在であって、それぞれがちゃんと役目を果たしてくれている。

EP6の結婚式で、最後に古戸ヱリカが「悪役は最期の最後までこうでなくっちゃ」と言っていたが、これはEP8のベルンカステルを捉えるために必要な描写だった。

EP8では、ベルンカステルも縁寿に対して悪役を演じていたんだと思う。

そう、古戸ヱリカもベルンカステルも悪"役"であって、本当は安田紗代の味方だった。

 

安田紗代の心情一つ一つにキャラクターを当てはめて動かしたのが、「うみねこのなく頃に」という作品。

そして、安田紗代の心情はきっと、十八と幾子が「ああでもない、こうでもない」と、向かい合って議論しながら、一生懸命トレースしたんじゃないかと思ってる。