タガメ Kirkaldyia deyrolli

カメムシ目 コオイムシ科
2013年度版を参照する
種の特性と生息状況
体長48~65mm。日本本土の水生カメムシ類の最大種。体型は長卵型で扁平、前脚は太く鎌状となっている、呼吸管は短い。主に平地から丘陵地の池沼や湿地、水田などに生息する。北海道から南西諸島にかけて分布する。都内では区部から多摩部にかけて記録されている。
生存を脅かす要因
主に土地開発と管理放棄。池沼や湿地の消失や質の劣化、水田の消失や休耕による植生遷移や乾燥化、圃場整備による乾田化などの影響が大きいものと推測される。農薬の影響や侵略的外来水生生物の捕食圧による影響も大きかったと考えられる。夜間照明に強く誘引されることから、光害の影響も考えられる。
特記事項
1950年代頃までは区部でも各地で記録されていたが1973年の日の出町の記録を最後にそれ以降の確実な記録はなく、すでに絶滅したと判断される。近年の記録は人為的な持ち込みによるものである。カエル類など脊椎動物専門の捕食者であることから、餌資源の減少も大きく影響する。
執筆者
須田真一
東京都外 2009年
関連文献
相場博明 (2019) 戦前の昆虫標本の理科教材としての有用性-東京都立井の頭恩賜公園産の昆虫標本を利用して-. 理科教育学研究, 60(1): 195-203.
前波鉄也 (1958) 数回の夜間採集より見た多摩丘陵の昆虫相. FIELD(東京農業大学第一高等学校生物部), (3): 14-15.
平山修次郎 (1933) 原色千種昆蟲圖譜. 三省堂: 図版 104 +附録 18pp.+索引 46pp.
宮武頼夫編 (1996) 青木浩昆虫コレクション目録. 大阪市立自然史博物館収蔵資料目録, 第28集. 大阪市立自然史博物館: 132pp.
宮野浩二所蔵昆虫標本目録作成委員会 (2015) 宮野浩二所蔵昆虫標本目録.宮野浩二所蔵昆虫標本目録作成委員会: 272pp.