グーグルマップが2023年11月中旬にアップデートされ、地図表示が変わりました。これに対してSNS上ではさまざまな意見が飛び交っていますが、どのように変更され、どのような意見があるのでしょうか。

2023年11月中旬にバージョンアップされたグーグルマップ

 スマートフォンやPCで無料で使え、住所や施設名での検索、ルート案内、さらには利用者の口コミ情報も確認できる便利な地図サービス「Googleマップ」は、さらなる使いやすさを提供するため、これまで何度にもわたってバージョンアップしてきました。

 そうしたバージョンアップは、たいていの場合「あ、便利になったな」「こんなサービス、あったっけ」という具合に“いつの間にか”行われ、利用者に浸透してきました。

 しかしこの11月なかばに行われたバージョンアップは、多くの人の注目を集めることになります。

 その理由は、バージョンアップにより、地図の「見た目」が大きく変わったからです。

 従来のGoogleマップでは、基本的に高速道路はオレンジ、主要道路はイエロー、それ以外の道路はホワイト、市街地はベージュ、山林などは段階的に濃さの異なるグリーンで表現されていました。地図全体のイメージとしては、柔らかみ、温かみのある色合いでした。
 しかしこの色合いが、バージョンアップにより大きく変更されます。

 まず市街地は薄いグレーに、そして繁華街は淡いオレンジに。高速道路、主要道路は濃いグレーに、それ以外の道路はグレーになりました。山林などは従来と同じくグリーンを基調としつつも、彩度が下げられました。総合的にはすっきりとして、クールに感じられる色合いになったのです。

 この変更に対し、SNSにはさまざまな意見が投稿されました。

 その多くは、単純な「驚き」「違和感」です。いままで見慣れた色合いが変わったことで「色が変わってる!」「青すぎ!」といったものです。

 その一方で「しばらく使ったけど慣れない」「寒々しい」「高速道路と国道が同じ色になって見づらい」といったネガティブな印象もちらほら見受けられます。たしかに国道と高速道路がわずかな濃さの違いはあるものの、同系色のグレーになったことで、道路名を確認しないと「高速道路がどこを走っているか」がわかりにくくなっています。

今後グーグルマップに求めたい機能とは

 ただこの変更を歓迎する声もあります。

 それは一部の利用者からの「色が変わって見やすくなった」「道路のコントラストが強くなり目立つようになった」というものです。

無料のスマホ地図アプリ「Google map(グーグルマップ)」。地図の表示はデフォルトの他、航空写真や地形にも変更可能だ

 また小規模な公園もグリーンにマーキングされたことで、市街地でも「緑の多いエリア」「少ないエリア」がわかりやすくなったことも、変更によるメリットとして挙げられるでしょう。

 このように、一部で賛否の分かれる変更ですが、Googleがこれを“改善”と考えているのであれば、ある意味、利用者には“慣れ”が求められていると言えるかもしれません。

 ただGoogleマップには、こうした見た目の色などではなく、それ以外に改善をお願いしたい部分があるのも事実です。

 まず道路名の表記についてです。

 高速道路には、じつは「通称名」と「法律上の正式名称」があります。ところがGoogleマップ上では、この混在が見られます。

 一例を挙げると、「東京外環自動車道」の大泉JCTと川口JCTの間での、法律上の正式名称である「東北縦貫自動車道」の表記です。

 一般道では、なぜか一部の国道で「Nat’l Rte 122」のように、表記が英語表記になっているところがあります。

 これらの表記は余計な混乱や誤解を招くだけで、何もメリットはありません。

 また大きな縮尺では表示されていた施設名が、ズームインするとなぜか消えてしまう現象も、少なくありません。近隣の道路を拡大してみようと思ったときなど、とまどいを感じてしまいます。

  最後に、とくに要望したいのが、交差点名および橋梁名の表示です。

 一般の略地図や他人から聞く道案内では「どこ交差点を曲がって」「どの橋を渡って」という方式が多く用いられます。

 しかしGoogleマップではズームインしても名称が表示されない交差点が多く、また橋の名称は表示のないことがほとんどです。

 Googleマップを使った他人とのルート共有は可能ですが、利用に若干のリテラシーが求められます。より使いやすさを追求するなら、そうしたアナログ的な配慮も必要ではないでしょうか。

 もちろん、Googleもこうした“不具合”があることは確認済みながらも、データ量が膨大で、修正が間に合っていないという可能性も十分にあるでしょう。

 利用者の立場としては、早期の改善を望むとともに、「ある程度はこうした不具合がある」ことを考慮した上で利用するというのが、スマートな使い方なのかもしれません。