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2019年05月08日

アーティスト・ピコ インタビュー『驚異の生活サイクル!? 動画投稿に夢中になっていた大学時代のスケジュールに迫る!』【クリエイターの原点 vol.7】

ピコ 歌い手 歌手 デジタルクリエイター 音楽 タウンワーク townwork

インターネットをきっかけに、動画や歌の配信、ゲームや楽曲制作などマルチな才能を発揮して今を走り抜けるデジタルクリエイターたち。そんな著名人たちの学生時代・駆け出し時代の貴重な経験や今に活かせていることを中心に『クリエイターの原点』として読者にお届けしていきます。第7回目はジェンダーレスな魅力を発信し続けるアーティスト、ピコさん!

2007年の初動画投稿をキッカケに、2010年にメジャーデビューを果たすなど歌ってみた界の先駆者でもあるピコさん。音楽に夢中になり、大学に通いつつ、動画投稿・アルバイトと多忙な日々を送っていた当時の貴重なお話を伺いました。5月1日に4年半ぶりにリリースしたファン待望のアルバム制作についてもインタビュー!

 

アルバムに綴った等身大の姿——音楽シーンや自分自身に胸をはれるアーティストでいたい

ピコ 歌い手 歌手 デジタルクリエイター 音楽 タウンワーク townwork——4年半ぶりのアルバムがリリースされましたね。

等身大の自分を表現したくて、制作前にサウンドプロデューサーに“僕自身がどういう人間なのか”・“今何を思っているのか”という、パーソナルな部分を赤裸々に話すことから始めました。そのために家で、自分の性格とか人間性とか、歌いたいと思っていることを箇条書きにしました。

——例えばどんなことですか?

メモには、“自分のなかに正義みたいなルールがあって、その枠を超えるのが怖い”とか書いてありますね。読み上げると恥ずかしいですね(笑)。それらを元に楽曲を作っていただきました。

——今回はA盤と、B盤と2タイプありますが、 それぞれ1曲目に「Black Swan」「Realizing」を選んだのは?

A 盤の「Black Swan」はバラード曲で、暗闇で足掻いたとしても光を求めてこの世界を生きて行くという強い意思を込めた曲です。いま一番自分の中でも大きなテーマになっている部分ですね。B盤の「Realizing」は、ライブをイメージした熱量のある楽曲を選んでいます。どちらも、今の僕自身を象徴した楽曲になっています。

——全体的に、相反する“もがき”や“希望”が描かれているように感じました。

そうですね、考えすぎてしまうタイプなので(苦笑)。その中でも、未来への希望は強く押し出せたと思っています。今回は言葉を伝えたいと思っていたので、シャウトを封印してなるべくクリアな声で歌うことも意識しました。

——バラード曲の「ピスキウム」は、歌詞の《僕がいた証》や《僕はまだ歌うよ》という言葉からも決意表明のように感じました。どういったところから生まれた曲なんでしょうか?

先日Twitterで、“#お前らが最初に推した歌い手は誰?”というハッシュタグがあがって、僕の名前を書いてくださる方もけっこういたんです。それを見た時に“聴いてくれた人の人生の一部に自分の歌や存在があるんだ”ということを感じられたのが大きかったです。

そして、その1人1人の存在があって“ピコが形成された”と思ったら、何か1つ欠けても今の自分にはなっていないんだと思ったんです。それは、“応援してくれるみんながいたから今がある”とか、“共に行こう”という感覚とはちょっと違って、すでにお互いの内側の一部として存在しているというか……そんな思いを歌詞に落とし込みました。アルバムタイトルも『Pathfinder』=開拓者にしているので、音楽シーンや自分自身に胸をはれるアーティストになっていけたらと思っています。

 

歌に対する本当のフィードバックには、批判も含めてコメントが効果的だった

ピコ 歌い手 歌手 デジタルクリエイター 音楽 タウンワーク townwork——ここからはルーツをお伺いしたいのですが、動画投稿を知ったキッカケは?

大学時代に、友だちから“アニメ系の動画が見られるサイトがある”と教えてもらってニコニコ動画を見るようになりました。そしたら、ある日“歌ってみた”というカテゴリーが出来たんです。アップされた動画に対して賞賛と批判のコメントが流れるのが面白くて、よく見るようになりました。

——ピコさん自身が投稿を始めたのは?

母が専門学校の教師をしていたこともあって、“同じ年代の子たちの流行りを教えてほしい”と聞かれたので、動画投稿サイトのことを教えたんです。そしたら、ある日ぼそっと「あんたもやってみたら?」って軽い感じで言われて。

当時、僕は大学の軽音楽部でボーカルもしていたので、「じゃあ、やってみようかな」と思いました。それと、軽音楽部ではライブや定期演奏会もしていたんですけど、ライブの後にみんなが「よかった」って言ってくれることに疑問を感じていて。いつも“本当かな?”って。もっと歌がうまくなりたいと思っていた時期だったので、気を使わないストレートな意見を聞きたいと思ったのも大きな理由でした。

——その頃からアーティストを目指していたんですか?

憧れはありましたけど、プロなんて無理だと思っていたのでモヤモヤとした状態で大学生活を送っていました。ただ、軽音楽部で歌っている時だけは楽しかったので、投稿をすることで音楽に触れる時間が増えたのも嬉しかったですね。

 

“始めよう”と思った日に初投稿!——それ以降は夢中で動画投稿していた

ピコ 歌い手 歌手 デジタルクリエイター 音楽 タウンワーク townwork――すぐに動画アップはできましたか?

高校の時に組んでいたバンドの仲間と買ったMTR(※マルチトラックレコーダー)があって、それで歌の録音とミックスができたので“やってみよう!”と思ったその日に初投稿しました(笑)。

——初投稿の感想は?

再生が100〜200くらいで、マイリストも18ついたんです! コメントではボロクソに書かれたんですけど、たまにアドバイスや賞賛コメントもあって“これだ!”って。“悔しい・嬉しい・ありがとう”の連続で、その日からは、毎日のように歌って動画投稿をしました(笑)。

——それから約3ヵ月後に、初音ミクの「-恋は戦争-うたってみたァアアアアアアアッ!!!」をアップするわけですが。
最初のスマッシュヒットでした。それまではちょっとずつ増えていた視聴回数が、いきなり再生回数10万になって。その日は、“こんなことが起きるんだ!”って驚きつつ、大学を休んでずっと画面に張り付いていました(笑)。親には怒られましたけど、「見てこれすごくない!?」って画面を見せたら「ほんまや……」って(笑)。

 

大学・バイト・動画投稿をしていた時期は、大学の休憩時間が睡眠時間だった

——投稿に夢中になっていた当時の生活サイクルを教えていただけますか?

大学1年の頃は、1限から授業を入れていたので、6時30分起床で大学に行って、バイトをして、夜はひたすら歌って動画を作っていました。手をつけた曲は、1日のうちに絶対に録りきると決めていたので、大学が早く終わった日はバイトまでの時間に1回家に帰って作業をしていましたね。それでも、いつも夜中の2時〜3時くらいまでかかっていたので、ご近所さんに「うるさいと思いますがすみません」って挨拶をして廻ったのも覚えています(笑)。

——起床が6時間30分だと、約3時間しか睡眠時間がないですね。

ピコ 歌い手 歌手 デジタルクリエイター 音楽 タウンワーク townwork
それが……投稿してから2時間くらいは自分のあげた動画へのコメントを見る時間だったので、ほとんど寝ずに大学に行って、授業の間の休憩時間で寝ていました(笑)。

 

アルバイト時代は、 鉄板焼きのお店で最大40枚のお好み焼きと格闘!

ピコ 歌い手 歌手 デジタルクリエイター 音楽 タウンワーク townwork——そんななかでバイトもしていたんですよね!?

はい。おこづかいは高校生までだったので、大学からはバイトをするしかなくて(笑)。バイトで、一番長く続いたのは鉄板焼きのお店でした。家の近所で新しくオープンした個人経営のお店で、店長がすごく理解のある人だったので、歌い手のピコとしてイベントに呼ばれるようになった時も、色々と配慮をしてくれたんです。これから歌い手を目指す人は、個人経営のお店で働くことをお勧めします(笑)。

——バイト経験についても伺いたいのですが、鉄板焼き店で学んだことはありますか?

それまで接客をちゃんとしたことがなかったので、おもてなしの大切さは学びました。途中からは店長の代わりも任されるようになったので、料理をしつつ、他のスタッフの動きやお店の混み具合などにも目を配っていました。

――特にどういったことを意識するんでしょうか?

10分以上お客さんを待たせると顧客満足度が下がるので、そこは注意していましたね(笑)。あとは、お好み焼きを40枚くらい同時に焼くこともあって、具材の違うオーダーがバラバラと入ってくるので、臨機応変に対応する能力は自然に身についた気がします。

 

動画投稿をやるなら、ぜひ楽しんで取り組んでほしい

ピコ 歌い手 歌手 デジタルクリエイター 音楽 タウンワーク townwork——大学・バイト・動画投稿とどれも全力投球ですね(笑)。少し話は戻りますが、さきほどイベントのお話が出ましたが、どんな活動だったんでしょうか?

イベントと言っても、当時は出演料とか遠征料があったわけではなく“歌ってみたというコンテンツを盛り上げていこう!”という、全員が出演者であり運営みたいな感じでした。

——イベントがある日のタイムスケジュールも教えてもらえますか?

ピコ 歌い手 歌手 デジタルクリエイター 音楽 タウンワーク townwork
東京でのイベントの日は、朝5時に起きて新幹線で3時間かけて姫路から東京に移動。そこからまた会場へ移動して、ライブから打ち上げまで入れると一日がかりでしたね。打ち上げ後は、遠征費がないから節約のためにネットカフェに泊まっていました。しかも、ホテルと違ってネットカフェには予約制度がないから、打ち上げが終わった夜中1時くらいから空いているところを探すんですけど、土日は混んでいて大変でしたね(笑)。

——そうすると就寝時間は……。

それが、ネカフェに入ってしまうと、漫画もあるしドリンクあるし……。ライブ後の高揚感もあって眠れないので、mixiでブログを書いて、また画面に張り付いてライブの感想やメッセージを読むっていう(笑)。始発が動く頃、新幹線で姫路に帰るんですけど、そこの移動時間を睡眠にあてていました。

——グラフが24時間では足りないという……。

あははは(笑)。歌うことも、動画投稿してコメントがもらえることも、すべてが楽しくてしかたがない時期でした。それが今の自分の原点でもあるので、これから投稿を始める方も是非楽しんで取り組んでもらえたらと思います!

■Profile
ピコ
2007年に動画投稿サイトに自ら歌った曲を投稿することからその活動を開始。ネット出身アーティストとして、初のメジャーデビュー進出という、全く新しい道を作った先駆者。男声・女声それぞれの声色を共に歌いこなすことができる。
2010年10月にデビューシングル「Story」でメジャーデビュー後、現在はライブ活動以外にも海外招聘、ミュージカル出演など活躍の場を広げ精力的に活動。2019年5月5日(日)を皮切りに全国6ヵ所の『PIKO TOUR 2019 Pathfinder』を開催。

◆ピコ OFFCIAL SITE: https://ch.nicovideo.jp/pikoch
◆ピコ Official Twitter:@piko_niconico

撮影:河井彩美 取材・文:原千夏(ぽっくんワールド企画)

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