ブヨってどんな虫?
※画像はブヨの一種
屋外レジャーには様々な危険がつきまといますが、その中でも毎年被害を拡散させている「ブヨ」と呼ばれる吸血モンスターをみなさんはご存知でしょうか?
1ミリ~5ミリ程度の小さいハエのような見た目ですが、ハエに比べると若干丸みを帯びた体型をしています。
現在日本には62種類のブヨが存在しており、音を立てずまるで忍者のように飛び回り忍び寄ってきます。
ブヨ?ブト?正式な名称について
ブヨは「ブユ」という標準和名を持っています。呼ばれることは少なく、西日本では“ブト”東日本では“ブヨ”と地域によって呼び名が変わっています。(今回は『ブヨ』の呼び名で話を進めていきます)
種類も多い危険生物ですが、全国的に生息している″アシマダラブユ″や″アオキツメトゲブユ″が身近に見かけるブヨの代表格となります。
まさに悪魔の虫
小バエのように飛び回るブヨですが、見た目からして『戦闘能力たったの5か‥‥』と決して侮ってはいけません!
ブヨに噛まれると強烈なかゆみ・ひどい腫れ・リンパ管炎やリンパ節炎に至る可能性もあるといわれ、彼らの見た目から想像できない強攻撃を繰り出してきます。
万が一ブヨの大群に襲われれば、防波堤に向うどころか病院へポイント移動を余儀なくされることも。
遭遇しやすい時季や条件
被害を防ぐには、ブヨに遭遇しないことが最大の対策。
釣りのターゲットのベストシーズン・釣り方を知っておくように、ブヨの活性が上がる時期、環境条件を覚えておきましょう。
春から夏は要注意!
ブヨの発生時期は3月から10月ですが、梅雨の6月から秋の始まり9月頃が高活性となります。
釣り人にとって朝まずめ夕まずめは言わずと知れたゴールデンタイムですが、これはブヨにとっても最高の時間。気温の上がらない時間帯は特に要注意です。
湿度の高い日
湿気が大好きなブヨは、高湿度や無風、曇り空の時は時間帯に関係なく元気に飛び回ります。
特に雨の日は虫よけスプレーなどの塗布剤は流れ落ちてしまい効果がなくなるので、防御力の低い半袖・短パンの装備では重大な被害を被る可能性があります。
実録!ブヨは本当に恐ろしい虫だった
こちらは編集部員イシカワがお届けします。
2018年夏、東伊豆某所にてブヨの実害にあいました。地磯へ向かう山中、レギンスと靴下の絶妙なすき間を狙い、ヤツらは行動に移していたようなのです。
異変に気付いたのは4時間ほど経ってからでしょうか。あまりのかゆさに釣りに集中することができませんでした。
永遠と続くかゆみ そして……
症状は、恐ろしいほどのかゆみ。
かゆみは2週間程度続きました。触れてはいけないと思いつつも、睡眠中などでかきむしっていたようです。(妻談)
患部は壊死したかのように変色し、組織液が流れ出るほど。膿が出てしまうケースもあるようです。
これに懲りた私は、以降肌の露出は一切ない服装を心がけるようになりました。
心がけたいブヨ対策
音もなく忍び寄り、皮膚を噛み切り吸血するブヨはまさに悪魔的存在。ブヨ被害に合わないよう出来る対策をご紹介します。
服の色で対策
視覚ではなく嗅覚と温度で獲物にアタックするブヨですが、好きな色、嫌いな色があるようなのです。ブヨが寄って来る色は“ブラックやグレー”などの暗い色。
見えないのに何故? と疑問を抱きますが、普段茂みの中など暗いところで生活しているため落ち着く色であると言われています。
逆にホワイトなど光を反射する明るい色を嫌う傾向がありますので、目立つカラーのほうがブヨ対策としてはよいかもしれませんね。
虫よけスプレー
虫対策の定番アイテムである虫よけスプレーは必需品。注意点として、虫よけスプレーの中でもブヨに効かないものもありますので、パッケージ裏に記載してある『効能』を必ず確認し、ブヨと記載がある商品を選ぶようにしましょう。
またスプレータイプは汗で流れやすいので、こまめな散布とゲームベストやバッグにも振りかけておきましょう。
蚊取り線香
蚊取り線香も虫よけには効果的です。煙の効果を十分発揮出来るよう、立ち位置に対して風上へ設置して下さい。
通常の蚊取り線香では物足りないと感じた時は、林業などを営むプロも使用する「森林香」という強力蚊取り線香を試してみましょう。
ハッカ油
ガムなどでお馴染み、ミントの葉を乾燥させ抽出したハッカ油は虫を寄せ付けない防虫効果が期待できます。
無水エタノール+ハッカ油+精製水を混ぜ合わせ、スプレーボトルなどの容器に入れれば完成です。
もし刺されてしまったら……
いつの間にか刺されていることが多く、気付けば猛烈な痒みと痛み、炎症を引き起こすブヨの吸血攻撃。万が一ブヨに刺されてしまったときの適切な対処方法を見ていきましょう。
釣り場でできる処置
①毒素を吸いだす
刺した時に症状の原因となる毒素を注入してくるので、まずは深刻な症状にならないよう毒素を外に出す必要があります。毒素を吸引する“ポイズンリムーバー”と呼ばれるアイテムがありますので、車に積んでおくことをおすすめします。
②炎症が見られれば患部を冷やす
皮膚の色が赤くなり、すでに腫れあがっている場合はクーラーボックスに用意した氷などで患部を冷やしましょう。冷感によって、痒みを軽減させる効果があるといわれています。
③患部を消毒する
冷やした後は傷口から雑菌が入らないよう消毒し、なるべく触らないようにしましょう。
自宅に戻ってからする処置
①患部を再度消毒する
自宅に戻ったら再度傷口を殺菌消毒し、殺菌感染を防ぎましょう。刺された直後で腫れが無い場合は、40℃~45℃のシャワーを30分程度患部に当て、毒素分解を行うことも有効的です。
既に腫れている場合は熱を持っていますのでしっかり冷やして下さい。
②軟膏を患部に塗り込む
“抗ヒスタミン剤配合のステロイド”の表記がある塗り薬が効果的だと言われています。
市販されている商品もありますが、効果が見られない場合は皮膚科にて処方してもらいましょう。
③なるべく触れないように
薬を塗った後は炎症・痒みが引くまで絶対に触らないようにしましょう。
絶対に掻きすぎてはいけません!
痒みを我慢するのはものすごくストレスかも知れませんが、絶対にかきむしらない様に我慢しましょう。かきむしって皮膚を更に傷つけると雑菌が入り、とびひなどの殺菌感染へ発展してしまうこともあります。
また傷口からでる液や膿が周囲についてしまうと感染が広がり深刻な事態に陥ってしまいます。
さらに完治したあとも傷跡が残ってしまうケースが多く見られていますので、かきむしりは絶対にNGです。
舐めたらあかん 病院受診が早期完治の鍵
虫刺されだからと言って油断すると、釣りや日常生活に支障をきたす重症に発展することもあり、慢性的な湿疹になると完治までに数年を要するケースも存在します。今回自分で出来る対処方法をご説明しましたが、あくまでも応急処置と認識し皮膚科などの専門医に見てもらう事が最大の薬です。ブヨ対策、対処をしっかり行い長く安全に釣りを楽しみましょう。