イカレた極道キャラも魅力的だった昭和の名バイプレイヤー田中邦衛さん死去
久々に驚いた訃報。俳優の田中邦衛さんが3月24日に老衰のため88歳で亡くなられたそうな。1950年代から数多くの映画やドラマにご出演されてらっしゃったので、人によって思い入れのある作品は異なると思うでござるが、拙者的には任侠映画における味のあるキャラクターを演じた個性的な役者さんというイメージが強い。拙者が子供のころだった80年代はテレビドラマ『北の国から』の黒板五郎役として名を馳せてらっしゃって、テレビでよく芸人にモノマネされたりして当時はあまり好きではなかったでござるが、大人になってDVDなどで60~70年代任侠映画を好んで観るようになってからは、例えば『人斬り与太 狂犬三兄弟』(1972年)のチンピラ舎弟・大野正吉役など、カタギの黒板五郎のクリーンなイメージとはガラッと異なるダークでイカレた極道キャラを演じる田中邦衛さんにシビレた。いわゆる任侠映画におけるダークサイドの田中邦衛さん(闇邦衛)が好きでござった。
田中邦衛さんの出演作をそんなに多くは観ていないので、今でもDVDで昔の映画を観ていて田中邦衛さんが出てらっしゃるとニヤッとする。役柄がイカレていればいるほどニヤニヤしてしまう俳優さんでござった。また、1974年の実写版『ルパン三世 念力珍作戦』では次元大介の役も演じられており、キャラクター的にイカレ度は低いものの、かの有名マンガ/アニメキャラを田中邦衛さんが演じた違和感という点で拙者的に印象深い。
イカレたダークサイド邦衛キャラで特に好きなのは任侠野球映画『ダイナマイトどんどん』での敵軍の助っ人ピッチャー芦刈の作蔵でござるな。野球の試合中、菅原文太さん演じる加助がバッターの際に作蔵が暴投を繰り返しナメてる挑発顔が最高。でも、作蔵は敏腕だけど酒好きの吞兵衛で、加助に騙されて試合中に給水ヤカンに入った酒をあおりベロベロになってしまう様もまた最高なのでござった。
ダークサイド邦衛ではないけど、時代劇に出てくる田中邦衛さんも好き。現在BS11で月曜~金曜日に放映中の『同心部屋御用帳 江戸の旋風』(1975年)でも由良三九郎役で出演されていて、当時観たことのない作品だったのでここ最近は連日興味深く愉しんでいるところでござるよ。田中邦衛さんは個性的なお顔なので時代劇の丁まげスタイルも愉快。やはり昔の時代劇でも田中邦衛さんが出てくるとニヤニヤしてしまうでござる。
拙者は田中邦衛さんの魅力に気付いたのが遅かったほうだと思うけど、これからも昔の映画や時代劇なんかを観ていくので、味のある名脇役としての田中邦衛さんを讃えていきたいと思うでござる。長い役者人生お疲れさまでした、ご冥福をお祈りします。おわり