俳優の北原里英が出演する映画「神さま待って! お花が咲くから」が順次公開。小児がんのため12歳で亡くなった広島県福山市の森上翔華さんをモデルにした物語で、主人公を支える小児科医を演じた。「台本を読んで涙が止まらなかった。命の重みを感じながら、大事に演じました」(共同通信=高田麻美)

 映画の主人公・翔華(新倉聖菜)は、長い入院生活を経て再び小学校に通い始める。持ち前の明るさで周囲の人々を笑顔にしていくが、病は進行を続けている。

 北原演じる主治医の脇坂は、クールな言動で「氷の小児科医」と呼ばれるが「心の奥に温かいものを持っている人」と北原。医師として患者の死に直面する中で「自分の心を守って仕事を続けていくために、クールさを演じるしかなかったんだと思う」と分析する。

 撮影中は新倉の「演技を超えたたたずまい」に何度も心を揺さぶられた。「(新倉が)本物の翔華ちゃんに見える。この子がもうすぐ亡くなってしまう、私はそれを救えないんだと思うだけで、あえて泣く演技をしなくても涙が出ました」

 アイドルグループ「AKB48」や「NGT48」で活躍し、卒業後は俳優業に軸足を置く。今も共演者やスタッフから「北原さん推しだった」と「告白」を受けるという。「韓国の人から『あなたがきっかけで日本語を覚えた』と言われたこともある。奇跡みたいで、私の方が感激してしまった」と声を弾ませた。