春から初夏に開花するハナミズキ(花水木)。
細い枝にびっしりと、白やピンク、赤色など彩り豊かな花を咲かせてくれます。
ハナミズキが日本にやってきたのは1912年。
東京市長が友好の贈り物にワシントンへソメイヨシノを送った返礼としてやってきました。日本人が桜を愛するように、ハナミズキはアメリカで最も愛される花のひとつ。ヤマボウシによく似ていることから、日本ではアメリカヤマボウシとも呼ばれています。
ハナミズキの花びらに見える部分は実は苞(ほう)という葉の一種でガクが変化したもの。ガクの中央にまとまってついているめしべのように見えるのが本来の花びらなのです。
四季折々に美しい姿を見せてくれるのもハナミズキの魅力です。
開花後には新緑が出て、10月頃の秋には一斉に紅葉します。真っ赤に染まった大きな葉っぱと艶やかな赤い実は愛らしく、秋の風景を楽しませてくれます。
さて、ハナミズキと言えば、街路樹に咲く姿をよく見かけます。
私はハナミズキの花を見ると一青窈さんの名曲『ハナミズキ』のメロディや歌詞を思い出します。
薄紅色の可愛い君のね
果てない夢がちゃんと
終わりますように
君と好きな人が
百年続きますように
特にこのフレーズは、ハナミズキの花言葉「永続性」がそのまま歌詞になったような、何度も口ずさみたくなる部分です。
花開いて、散って、また咲いて。一年を通して繰り返しゆっくりと咲くハナミズキの姿がこの歌詞と重なり、心にじんわりと響きわたります。
最近、こんな言葉に出会いました。
『百花為誰開(ひゃっか たがために ひらく)』
たくさんの花々はいったい誰のために咲くのか。華やかさを誇ったり、見る人を喜ばせようと思って咲くのではなく、何の思惑もなく無心に咲く。
新型コロナウイルスの影響で、街を歩く人は少なくなりましたが、季節はめぐり花はただ淡々と咲いていきます。時期が来たら咲き、すべての人へ平等に、美しい姿を見せてくれます。
ただ無心に、一途に咲くその姿からは、私たちの背中をそっと押してくれるような、励ましのメッセージが込められているように感じます。
今年もたくさんの方にハナミズキが届き、穏やかな日々が長く続いていきますように。
高根恭子
うつわ屋 店主・ライター
神奈川県出身、2019年に奈良市へ移住。
好きな季節は、春。梅や桜が咲いて外を散歩するのが楽しくなることと、誕生日が3月なので、毎年春を迎えることがうれしくて待ち遠しいです。奈良県生駒市高山町で「暮らしとうつわのお店 草々」をやっています。好きなものは、うつわ集め、あんこ(特に豆大福!)です。畑で野菜を育てています。
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