2019年2月6日
『逆転裁判123 成歩堂セレクション』開発コラム 第1回「54倍への挑戦」

54倍への挑戦

はじめましてディレクターの児玉です。
開発コラム1回目は高解像度化についてご紹介します!

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、本作は2001年に携帯機で発売されたものを大画面用に高解像度化しています。当時の画面サイズは240ドット×160ドット。それを1920ドット×1080ドットの高画質に調整するワケです。その差なんと54倍!54倍大きくなっても耐えられる絵にするとか信じられない。しかも、よく見たら画面比率も違うし。。 しかし、我々移植チームは果敢にも高解像度化に挑むのであった――。

例えば、なるほどくんの場合。
彼は出番が多いので全体的にリファインします。原画と携帯機をお手本に輪郭とディティールを調整。これを1コマずつ描いては修正を繰り返して出来上がります。すごい。

携帯機なるほどくん
高解像度なるほどくん

※二人の成歩堂。比較しやすいように同じサイズにしています。原画の髪には線が入っていたのでディティールを追加。色数制限で口の中とネクタイが同じ色だったのでココも違和感の無いように調整。

例えば、とある「本」の証拠品の場合。
携帯機では、黄色い何かが椅子に座って何かを持っている絵に見えます。何だこの黄色いのは。そこで、同じく原画や他の証拠品、シナリオを確認。この本は「証拠法入門書」で、どうやら黄色いのはヒヨコだと分かりました。持っているのは察するにパイプなのでしょう。あとはデザイナーの感性でちょいと調整すれば、凄く可愛い証拠品が出来上がりました。やったー!

携帯機本
高画質画像本

※一度ヒヨコだと思ったら、もう何度見てもヒヨコに見えます。机の上に足を乗せるとか荒々しいですね。窓と本と椅子を少しカラフルにして「入門書感」が更にアップ!

例えば、とある「貸しボート屋」の場合。
携帯機では看板奥に書かれた4つの文字らしきものは判別できません。このままの高解像度化は厳しそうです。またしても、原画、シナリオなどを確認して手がかりを探ります。が、残念!どこにも答えはありませんでした。こうなったらオリジナルの4文字を足す以外、道はありません。

携帯機ボートハウス
高画質画像ボートハウス

※奥の4つの点はなんだったのだろう。スタッフ熟考の結果「アリマス」を入れることになったけど、これで良かったのだろうか。。良かったのだろう。。。

都合上、全てのイラストを描き直す事はできませんが、出来る限り見やすくなるよう調整をしてもらいました。こんなに大変な高解像度化ですが、僕に出来ることはみんなを応援するだけ。。言うが易し、言易行難、現場スタッフには頭が上がりません。彼らの頑張りとガッツが詰まった『逆転裁判123 成歩堂セレクション』は2019年2月21日発売です!どうぞよろしくお願い致します!つづく。