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脂肪の塊/ロンドリ姉妹~モーパッサン傑作選~ (光文社古典新訳文庫) Kindle版

4.1 5つ星のうち4.1 60個の評価

プロイセン軍を避けて街を出た馬車で、“脂肪の塊”という愛称の娼婦と乗りあわせたブルジョワ、貴族修道女たち。人間のもつ醜いエゴイズム、好色さを痛烈に描いた代表作「脂肪の塊」と、イタリア旅行で出会った娘との思い出を綴った「ロンドリ姉妹」。短い作家生活のなかで、300を超える中・短篇小説を書き残したモーパッサンの初期作品から、緊密な構成をもち、完成度の高い中篇2作とヴァラエティに富む短篇8作を収録。
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登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B01MY9Q8YQ
  • 出版社 ‏ : ‎ 光文社 (2016/9/20)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2016/9/20
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 8213 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効にされていません
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 付箋メモ ‏ : ‎ Kindle Scribeで
  • 本の長さ ‏ : ‎ 269ページ
  • カスタマーレビュー:
    4.1 5つ星のうち4.1 60個の評価

カスタマーレビュー

星5つ中4.1つ
5つのうち4.1つ
60グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2018年5月21日に日本でレビュー済み
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モーパッサンの魅力的な短編の中でも「脂肪の塊」は、19世紀のフランス社会に巣食っていた「貴族階級」、「ブルジョア階級」、「成金」、「宗教者」 たちの、醜悪な本性を仮借無く 「仮面剥奪」し、暴き出したモーパッサンの出世作として著名である。
社会科学における " イデオロギー批判 " ( = みせかけの正義の<仮面>を剥ぎ取り、その背後に潜む本質をあばき出す手法 ) を鋭く展開した本短篇は、まさに「戦争嫌い」 「見せかけの民主主義嫌い」 であったモーパッサンの面目躍如たる作品と評し得よう。

ご都合主義で 勝手気ままな、社会の「表舞台」に立つお歴々たち ( 因みに、" 宗教者 " たる修道女2名は ” 独善的で無力な世捨人” として諧謔的に描かれる ) のために、プロシア将校に対する 意に沿わぬ 「 売春 」 という自己犠牲を余儀なくされた、『 脂肪の塊 』( Boule de Suif )と称される娼婦が流した " 大粒の涙 " の哀切さは、馬車のなかのラストシーンで歌われるフランス国歌 " ラ・マルセイエーズ " の歌詞との明晰なコントラストとともに、この短編の鑑賞者に 読後の永い余韻を与えている。

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8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2022年7月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
テンポ良く読める
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年8月8日に日本でレビュー済み
O.ヘンリー信奉者としては少々後味の悪さを感じます。暗く救いの無いストーリーが少しも昇華せず澱むばかりで……。ただ一つ、ココ売りの話は面白かったです。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2017年7月28日に日本でレビュー済み
 日本で一番有名なフランス人と言ってもいいかな。解説にもある様に、モーパッサンのブームはとても古く、明治30年代に第一波が訪れ、以降今日までおびただしい数の翻訳が刊行された。特に『女の一生』に関しては八十数点の翻訳が存在するというから驚きだ。
 特にこの傑作編では、『脂肪の塊』を除く9篇は入手可能な他の文庫では収録されてないとあるから、余計にビンテージ級でもある。

『脂肪の塊』に関しては、数多く翻訳が成されており、改めてレビューするまでもないだろう。この捨てられ娼婦の物語は、フランスの残酷物語でもある。
『マドモアゼル・フィフィ』
 これを二番手に持ってきたのは全くの正解で、『脂肪の塊』とは逆の展開。愛国心に駆られたユダヤ人娼婦のラシェルが、プロシア軍のフィフィ少尉の手荒い扱いと侮辱に耐えきれず、果物ナイフで突き刺し殺してしまう。
 このチビで金髪の兵卒は、尊大かつ横暴で敗者には容赦なかった。彼女は敵兵の捜査をくぐり抜け、まんまと逃げ切る。その後、金持ちと結婚し、崇高な貴婦人と成り上がる物語。タダでは終わらないユダヤ人の狡猾さと強かさを見事に描く。

『ローズ』
 常に人から愛されたいと願う自尊心の高い貴婦人が、ある一人の小間使いの娘に惹かれてしまい、心を許してしまう。しかし、彼女は指名手配を受けてた殺人犯で、かつ男だったという笑うに笑えない話。これは失恋か犯罪か、それとも貴重な体験か。『サラジーヌ』を超圧縮したような展開に思わず笑ってしまう。

『散歩』
 パリの商社で長年会計を務める身寄りのない一人の老人。その日は華やかな夜の街を歩き、久々に豪勢な食事を取り、何時になく心が昂揚する。しかし、その後娼婦にからかわれ、自らの空虚な人生と単調な孤独の暮らしに幻滅を感じてしまう。一瞬にして暗澹とした気分が老人を襲い、呆気なく自殺する。孤独と華やかさが共存するパリの街。都会に住む老人の孤独が思いやられる。

『ロンドリ姉妹』
 これも有名な短編で、中編の傑作と言える。"旅こそが全人生を一望の下にはっきりと見渡せる手段なのだ"と意気込むピエールは、友人を誘いイタリア旅行に出掛ける。列車の中で若くて美人のイタリア女と出会う。しかし、これが全くの仏頂面で、何を聞いても無反応。それでいて差し出すものはズケズケと喰いまくる。"典型の下衆な無学の田舎女"とタカを括ってると、お供したいと言う。ピエールはこの謎めいた官能の女に全く惹かれてしまうのだ。
 旅先で3週間付き合った挙句、彼女は突然姿を消す。友人は"案の定、振られたな"と上機嫌だが、彼はパリに戻っても彼女の事が気になって仕方がない。翌年、イタリアへ行き、彼女の家を訪ねるが。当時失恋してた彼女もピエールに恋してしまい、自宅に籠もり、彼を待ち続けてたのだ。
 彼女はその後パリへ行き、そこで裕福な画家と暮らしてると言う。彼女の母親はお陰で気難しい長女を片付ける事が出来たと彼を歓迎し、次女を紹介する。これがまたまた美人で性格もいい。ピエールは決心する。"来年また来よう、そして今度こそプロポーズするのだ"
 姉に恋をし、ギリギリの所ですれ違い、妹と出会い、もっと熱い恋をする。こんな美味い話が本当にあるのだろうか。一粒で二度美味しいってとこか。男なら誰もが夢見る恋物語。

『痙攣』
 ある日の事、心臓に重い疾患を抱える少女が倒れ、そのまま死亡が確認され、地下墓場に埋葬される。娘の指輪を盗もうと、召使が娘の指を切るが、お陰で彼女は生き返る。彼女は生きたまま埋葬されてたのだ。
 悲しみに暮れてた父親は生き返った娘を見て、亡霊を振り払うが如く、手が痙攣してしまう。召使は血だらけの娘を見て、驚愕し、これまた全身が痙攣し、卒倒する。娘も指を切られたショックで神経を患うのだ。
 この不幸な父娘が病を治そうと温泉街にやって来るが、宿の主人は二人の話を聞いて、またまた痙攣しそうになる。何だかリアリティ過ぎて、怖くもあるが、不思議と笑える。

 この6編以外にも、超短編が4つ収められてる。それぞれに個性と意外性があり、全く病み付きになる。旅のお供には欠かせない一冊だ。
16人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2022年1月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「脂肪の塊/ロンドリ姉妹 モーパッサン傑作選」(モーパッサン : 太田浩一 訳)を読んだ。
「脂肪の塊」の痛烈さはさすがだが、個人的には「ロンドリ姉妹」の茫漠としたうすら寒さが後を引く。
モーム、バルザック、モーパッサン、これまで然るべき時に読んでこなかったツケがいま回ってきている。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年2月25日に日本でレビュー済み
金持ちや、上流階級の実業家や、名門貴族の紳士淑女のみなさんが、実は恥知らずのげす野郎ども、げす女郎どもだったという(あたりまえの)お話です(「脂肪の塊」)。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2016年10月10日に日本でレビュー済み
全三巻を予定としているこの選集は「首飾り」とか「ジュール伯父さん」とかの他のそれに収録されている有名な作品は省き、それぞれ魅力的な中編数編とほかの文庫本には入っていない短編とで編まれるようです。
たとえば「ロンドリ姉妹」という中編ですが、最後にモーパッサンらしいオチが付いております。すべらない話といったところでしょうか、最後まで一気に読ませてしまいます。短編もスピード感があり、ここまで来ると読み物ですね。文学ではありません。
で、それでいいのです。「脂肪の塊」にしてもこの女性主人公に作者が肩入れしているのは明白です。師フローベールは決してボヴァリー夫人にそうしないし、そのほうが純粋ですが、いかんせん重い。
モーパッサンは愛すべきB級作家だと思います。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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