先ず結論から。
大枚を叩いてまで購入する価値が無い作品の仕上がり(私の主観)だったので、購入を検討されている方々は焦られるな。
何が問題だったか書くと、この作品は松竹配給の映画ではあるが、実質今は無き新東宝映画のスタッフが主力となって制作をされているから、松竹の社風にかつての新東宝のタッチが上手くかみ合っていないので、最初から最後まで内容が単調かつこれはという見せ場がないのである。
例えるならば、新東宝が評判の大衆食堂ならば、松竹は老舗の高級割烹であって、松竹の暖簾は高級割烹なのに定食を客に提供した様な感じか。
主演こそ、松竹の稀代の喜劇役者で名優であった故長門勇さんとヒロインに岩下志麻さんがキャスティングされているが、監督の故山田達雄さん(新東宝時代にアラカンとタッグを組んで、数々の名作時代劇を世に送り出した若き天才)始め、特殊撮影の黒田武一郎さん(円谷門下)、美術の黒沢治安さん等を皮切りに、助演人も故丹波哲郎・御木本伸介に吉田輝男各氏の男優人の他に、新東宝の陰のある美人女優だった小畑絹子さん等のキャストが中核なので、はっきり言って、松竹特有のゆったりとした人情路線と噛み合わないのである。(新東宝は低予算の中シャープで、工夫盛りだくさんだった)
だから、海上自衛隊の全面協力含む旧新東宝の実力派陣の助勢が全く活きていないから、つまらない仕上がりになっているのである。
私は、松竹の映画人はリベラル傾向が強いので、そのせいで未だにこの映画が未DVD・BD化のままの状態じゃないのかと勘ぐっていたのだが、この映画を観て初めてお蔵入りになっている真の理由が理解出来た様な気がする。
つまり、作品として純粋に失敗作だからだと思うのである。