では,「夢の虹の間違い」を見ていきましょう。
 

  1. 普通の虹(主虹=一次虹)は,赤色が外側で,紫色が内側です。
  2. 虹は,観測者から見ると,太陽とは反対側に出来ますので,木の「影」は虹に向かって右側には向かわず,虹の方向へ伸びます。
  3. 同じ様な話ですが,観測者から見ると太陽の丁度反対側に虹は円の軸を持つので,右側または左側が手前に見える虹はできません。
  4. 同様に,二ヶ所に異なる円の軸を持つ虹はできません。
    (ただし普通の虹とは異なる原理で虹色の輪ができることはあります)

 

虹はこうでなきゃ
そうそう,これでなきゃ
夢で見た間違った虹
夢で見た虹,何か違う!!
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虹の説明
水滴の中の反射と屈折
Fig.1 水滴の中の屈折と反射
博士,調べる 雨上がりには虹を見せるために適度な大きさの水滴がたくさんあります。 この水滴に太陽光が入射すると,その中で屈折・分光と 反射が起こっていきます。 この水滴から出てきた光を見ると虹に見えるのですね。


Fig.1「水滴の中の屈折と反射」をご覧ください。 水滴に光が入射すると,空気と水の屈折率の差で光が屈折します。 屈折するとき,波長によって角度の差が出来,短い波長(紫)は長い波長(赤)に比べて大きく曲がります。
光は,水滴内から出るものと,反射して内部を走るものができます。
水滴からの波長の異なる光の出方
Fig.2 水滴からの赤色と紫色の出方


虹の見える角度
Fig.3 虹の見える角度
水滴から出てくる光の中で,太陽光の向きと逆方向に最初に出てくる光が虹(一次:主虹)の元になります。 ひとつの水滴から出てくる光は波長毎に違う角度へ向かいますが,多くの水滴から出てくる光が目に入って虹を作ります。

さて,波長毎に角度が違うということを見直してみましょう。 Fig.2「水滴からの赤色と紫色の出方」の左側をご覧ください。 水滴から出てくる虹(一次:主虹)の光の中で,短い波長(紫)は長い波長(赤)に比べて,屈折が大きいために図の左側から見ると(太陽光を背にした方向から見ると),より低い角度で出てくることになります。 
Fig.3「虹の見える角度」において,紫色は40.7度で,赤色は42.4度で見えることになります(色の波長をどう定義するかで角度は微妙に異なります)。 ですから,虹は紫色が内側で赤色が外側に見えるのですね。

さて,水滴からはさらに弱いながらも光が出ています。 これが二次の虹(副虹,二重虹)の元になります。 Fig.2「水滴からの赤色と紫色の出方」の右側の図をご覧ください。 右側は左側と比べて,目に届く光を考えるために,上下を逆にしてあるような感じです。
今度は屈折の大きな紫色が赤色よりも相対的に高い角度に見えることになります。 Fig.3において赤色が50.4度で,紫色は53.4度です(色の波長をどう定義するかで角度は微妙に異なります)。 
たまに,この主虹(一次)の外側に現れるうっすらとした副虹(二次)を見ることができる場合がありますが,これは主虹と比べて赤色と紫色の順番が逆転しているのですね。

一次の虹の内側は水滴からの反射で明るく,外側は反射が無く暗くなります。 また,二次の虹の外側は明るく内側は暗くなります。 一次と二次の間には暗い帯ができるのですね。
主虹と副虹(二重虹,ダブルレインボウ)

主虹・副虹・過剰虹 (撮影:島津ほっと通信編集員)


他に,一次の虹内側と二次の虹外側にも薄い余り虹(過剰虹)が見えることがあります。また水面などに反射した光が作る虹は,目に見える角度が変わります。
なお,太陽の周りに出来る"かさ",サンピラー,ブロッケン(グローリー),飛行機影グローリー,などいろいろ自然界でスペクトルを見ることができますね。
自然が分光したスペクトルにはつい魅入られてしまいます。
いつまでも自然や日常の営みが平穏に続きますように。