釈迦になりかわって武四郎「涅槃図の世界」 三重・松阪

中川史
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 釈迦の代わりに幕末の探検家、松浦武四郎(1818~88)が横たわる。そんなユニークな絵が目を引く特別展「武四郎涅槃(ねはん)図の世界」が三重県松阪市小野江町の松浦武四郎記念館で開かれている。3月14日まで。

 縦152・6センチ、横84・2センチ。明治期にかけて活躍した日本画家河鍋暁斎(かわなべきょうさい、1831~89)に、親交があった武四郎が生前、釈迦の涅槃図になぞらえて5年かけて描いてもらったという。中央に松の木の下で昼寝をしているような自分、足元に泣き伏す妻、天空には浮世絵から抜け出した美女たちなどが配置されている。北海道の名付け親である武四郎だけに「北海道人樹下午睡(じゅかごすい)図」とも呼ばれてきた。

 松浦家では代々、命日の2月10日ごろに武四郎をしのんで掛けるよう伝えられてきたという。記念館の山本命・主任学芸員は「釈迦に置き換えるという発想が奇抜。罰当たりに感じる人もいたかもしれないが、おじいちゃんを末永く忘れないで、との思いだったのでしょう」。(中川史)

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