第5回「もう働けない」 グーグルとの仕事で感じたデータ偏在の問題点
私たち利用者が知らないところで膨大なデータを集める巨大IT企業に対し、欧米で規制を強化する動きが広がっている。グーグルなどのIT大手は、どのようにデータを集めているのか。グーグルとの仕事をした後、データプライバシー向上のための活動を続けるジョー・トスカーノ氏に聞いた。
――かつてグーグルと仕事をしていたそうですね。
デザインや広告を手がけるコンサルタントとして、グーグルで(広告サービスの)アドワーズ、グーグルマップ、検索などに関連する仕事の支援をしていました。グーグルとの仕事を始めて半年ほどたった頃、ネットテレビの新サービスの影響を新興国でテストしていた私は、ある問題を見つけ、広告会社の上司にその懸念を伝えました。だが上司からは「あなたの懸念はわかるが、我々の最大の顧客の案件だから、失うことはできない」と言われました。その時点で、もうここでは働けないと思いました。
提供し続ける位置情報、追跡される個人
――グーグルは人工知能(AI)などに巨額の投資をしています。
メディアや政府など多くの人が間違えていますが、グーグルは特定の分野に注力しているわけではありません。グーグルはデータ企業です。アップルはハードの会社であり、グーグルの最大の競合相手はフェイスブック(FB)です。なぜなら、彼らは広告で稼いでいるからです。
グーグルは多くのツールを持っていますが、中核となるのは膨大な量のデータです。グーグルはあなたが考えられないような方法でデータを収集することにたけています。
「この業界に法律を作るのは、単純に機能しない」と、トスカーノ氏は法律による規制強化には懐疑的です。ビッグデータを持つ企業に対し、人々がとるべき対応とはどのようなものなのか。記事後半でお伝えします。
――世界の検索市場の9割を占めるグーグルは、膨大なデータを持っていますね。
現在では、どんな会社もデータを通じて私たちを監視していますが、大半の企業は似通っています。最大の違いはその能力です。グーグルの製品は、技術面だけでみるとアップルよりはるかに先を行っています。なぜならデータがその背後にあるからです。
あまり知られていませんが…
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- 【視点】
グーグルの実態はデータ企業であるという指摘、とても納得しました。 そして「中の人」たちは自分たちの仕事が悪いものだとは考えてない。 だから、当局による規制が難しい。なぜなら、当事者たちは世の中を進歩させていると思っているし、実際
…続きを読む