技能実習制度の廃止「あまりに突然」 武部元自民幹事長が訴えるわけ

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聞き手 編集委員・堀篭俊材
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 約30年にわたり外国人を労働現場に受け入れてきた「技能実習制度」が曲がり角を迎えている。人手不足の産業を支える一方、賃金未払いや違法な残業などが後を絶たず、政府の有識者会議は廃止する方針を示した。元自民党幹事長で、監理団体の全国組織、外国人材共生支援全国協会の武部勤会長(82)は廃止はあまりに突然だとしつつ、抜本的な改革を求めた。

 ――技能実習生の制度にかかわるきっかけは。

 「政治家として現役だった約20年前、北海道の水産加工場で実習生約20人が失踪して操業が止まり、経営者から相談を受けたことがある。水産資源がどんなにたくさんあっても工場が稼働しなければ地域経済は成り立たない。何とかしなければと考えた」

 ――制度が廃止される方針です。

 「制度は技術移転という名の国際貢献が目的になっているが、実際には人手不足の対策になっていることは否めない。今回の見直しは、実態に即して新しい制度をつくるということで我々は理解していた」

 「ところが、廃止という言葉が一人歩きし、『制度がなくなる』というイメージが先行してしまった。実習生を送り出すアジアの国々が驚いている。日本が今後も選ばれる国になるために一番大事なのは信頼だ。それが損なわれ、アジアの人々に不安を与えている。最も多く実習生を送り出すベトナム政府の関係者からも不安と不満の声が聞こえてくる」

 ――廃止といっても制度の大…

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