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京都・城陽 金銀糸の伝統 新ブランドでつなぐ

2010年9月18日12時22分

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 華やかな織物や刺繍(ししゅう)に欠かせない金糸や銀糸。京都府城陽市は、江戸時代から金銀糸の産地として知られる。今も全国生産の約5割は城陽産。京都・西陣の需要を背景に、元々は下級武士の家の女性の手仕事や農家の副業として広がり、地場産業となった。

 近年は、和装需要の落ち込みや、中国製品などの攻勢で業績は低迷。高齢化や後継者難もあり、金箔(きんぱく)を手押しし正絹の芯糸を使った「本金糸」を作る業者は城陽でも4〜5軒に減った。

 城陽商工会議所は5年前からプロジェクトを立ち上げ、城陽産金銀糸のブランド化と新たな需要の開拓に取り組む。08年、無限の色彩を秘めたプレミアム素材の意味を込めて、「燦彩糸(さんさいし)」というブランドネームを付け、京都の伝統工芸「京組みひも」のメーカーと、燦彩糸の携帯ストラップを発売した。

 そして今年、新たな可能性が広がった。京友禅の会社と組んで、燦彩糸で刺繍した友禅生地を2枚の強化ガラスではさみ、特殊技術で加工した和風の記念盾が完成した。刺繍したアルファベットは英語の俳句。4月の日EU英語俳句コンテストで最優秀賞を受けたルーマニアのエドワルド・ツァラさんの句だ。今月19日、ツァラさんは正岡子規の故郷・松山市に招かれ、そこで贈られるという。

 プロジェクトのリーダーで、100年続く金銀糸工房の3代目、竹村信行さん(66)は「建築資材やインテリアなどにも用途を広げたい。城陽の金銀糸の伝統を若い世代につなげていければ」と話す。(菅野俊秀)

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