(男女乗り合わせた移民船を性別で分けた先祖の業から)男のみで繁栄させざるをえなかった星と、女のみの船団。争い合う二つの文明。
緻密な科学考証や「宇宙」という舞台を活かした戦い…といったハードSF要素は少ないものの、ソフトSFとしては、あらゆるものが「男らしさ」「女らしさ」に染まった互いの文化はもちろん、「大前提たる」単性生殖、同性間の(そういう意味での)パートナーシップといった、上記の事情を踏まえた社会描写がたまりません。
またプロパガンダによって、互いを殆ど知らないながらも異性を「敵性異星人」としか見なしていなかった若者達が、互いを理解し「新たな」信頼関係を築いていく描写も美しい。……認識が認識(異性=異星人)なのでラブコメっぽい描写があっても、そこには恋愛感情は無いんだろうなと思わせてくれるのも含めてね。