「日本の若者の7割が俳優の生瀬勝久さんが餓狼伝説スペシャルで、ジョー・ヒガシ、ビリー・カーン、ローレンス・ブラッド、ギース・ハワードの声を1人4役で演じていた事を知らない……」
8月下旬、こんな投稿がSNSで話題となりました。
生瀬勝久(なませ・かつひさ)さんといえば、個性派のバイプレイヤーとして知られ、『トリック』『あなたの番です』など数多くのドラマや映画に出演しています。
そんな人が、まさか1993年にゲームセンターでヒットした格闘ゲーム『餓狼伝説スペシャル』で声優を務めていたとは……。本当なんでしょうか?
SNKに確認してみたところ……
BuzzFeed Japan編集部では、『餓狼伝説スペシャル』の開発・発売をしていたSNKに取材したところ、「担当していたキャラクターに関してはその通りでございます」と広報担当者から回答がありました。本当だったんだ!
また、生瀬さんを起用した経緯についても質問したのですが、残念ながら「当時の関係者にヒアリングを行ったのですが、詳しい事情はわかりませんでした」とのこと。声優のキャスティングについては通常、サウンド担当と事務所とで検討しているそうですが、当時交渉したスタッフが今はもう在籍しておらず、詳しい経緯まではわからなかったそうです。
SNKによると生瀬さんは前作の『餓狼伝説2』(1992年)でジョー・ヒガシ、ビリー・カーン、ローレンス・ブラッドの3人を担当。『餓狼伝説スペシャル』ではその3人に加えて、新たに操作キャラクターに加わったギース・ハワードも担当することになったそうです。
「大阪の劇団員の方にお願いしていた記憶があります」
さらに調べていく中で、生瀬さんに繋がる情報が見つかりました。
ファミ通.comが2018年に掲載した対談の中で、SNKのデザイナー・安部直人さんが『餓狼伝説』のキャラクターボイスについて回想するくだりがありました。
シリーズ1作目の『餓狼伝説』(1991年)では社内のスタッフが声を担当していたのが、『餓狼伝説2』からは「大阪の劇団員の方にお願いしていた記憶があります」と振り返っています。1作目の声に「社長が激怒した」というのが、その理由だったそうです。
「『餓狼伝説』でスタッフが声を担当していたことに、社長が激怒したんですよ(中略)『なんやこの声は!』ってめちゃくちゃ怒られて、それからは本職の人にお願いすることになったと」
当時30代前半だった生瀬さんは、関西の劇団「そとばこまち」で座長を務めていました。同じく関西に本社を置いていたSNKと繋がりがあったのかもしれませんね。