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更新日:2021年7月14日

(建築家)辰野金吾(たつのきんご)

ヨーロッパ風日本建築の開祖

金吾は、安政元年(1854年)唐津城下坊主町の姫松倉右衛門(ひめまつくらえもん)、母まつの次男として生まれました。五歳のころ、子どもがいなかった叔父の辰野宗安(たつのむねやす)の養子になりましたが、成人までは姫松家で育てられました。
母は優しいけれど、しつけに厳しい人でした。7歳になった金吾に母は日課として、家から200メートルほど離れた井戸からの水くみを命じました。家で毎日使う水がめを一杯にするためには5、6回往復しなければなりません。体が小さく、ひ弱な金吾にとっては重労働でとても辛いことでした。母は「このくらいの辛いことで弱音を吐くようでは先が思いやられます。どんなにきつくても辛抱して、言われたことを成し遂げるよう努力しなさい。」と言って水くみを続けさせました。水くみの仕事が終わると机の前に座り勉強に励みました。

15才になった金吾は、唐津藩の鉄砲隊に勤めることになりました。体が小さく見るからに弱々しい金吾は、先輩達にとっては格好のいじめの対象にみえました。しかし毎日夜遅くまで勉強していろんな事をよく知っている金吾に先輩達は分からない事があると教えてもらわねばなりませんでした。聞かれた事には親切に丁寧(ていねい)に分かり易く教えましたので、先輩達もいじめたり意地悪をしたりするわけにもいかず、仲良く一緒に仕事をするようになりました。

明治維新により新しい時代が始まりました。唐津藩でも時代に遅れないようヨーロッパの文化を取り入れるため、英語学校が設立されました。先生として18才の高橋是清が招かれました。後の総理大臣になった人でした。金吾は英語を学ぶうちに、上京して西洋の学問をもっと勉強したいと思うようになりました。
当時政府は、これからの日本を支えていくような優秀な人材づくりに力を注いでいました。工部省では、工学寮(今の東京大学、工学部)を設け、明治6年(1873年)第1回目の生徒を募集しました。募集人員は40人で、全国各地から選ばれた秀才たち100人が受験しました。19才の金吾は誰にも負けない自信をもって受験しましたが難しい問題が多かったため、落ちたと思っていましたが40人中40番目、ビリで合格していました。
金吾は人並みについていくには、人の2倍も3倍も努力しなければと少しの暇も惜しんで勉強に励み、6年間の修学期間も終わり卒業試験を迎えました。卒業試験の論文は「日本の将来の建築」、製図は「和洋折衷の学校建物」でした。日ごろの努力の結果、1番の成績で卒業することができ金吾は喜びをかみしめながら7年ぶりにふるさと唐津に帰りました。
そして金吾には、工部省からイギリスへ留学するよう通知がありました。明治13年(1880年)イギリスへ渡り、建築学を学び実地研修として、フランス、イタリアの建築物を見て回りました。

帰国した金吾は工科大学(東京大学)教授になり、明治21年(1888年)日本で初めての博士になりました。
この年政府はヨーロッパの国に負けない中央銀行(日本銀行)の建設を計画し、設計を金吾に依頼しました。金吾は地震にあい家が揺れ動き恐怖を覚えた経験から地震国日本には、地震や火災に強い石やレンガの建物が必要だと考えていました。そのため日本銀行を建てるとき地下6メートルまで掘り下げ、その上に厚さ3メートルの基礎を造るなど地震対策に万全を期しました。明治29年(1896年)ヨーロッパ風ルネサンス様式の赤れんが造りの堂々たる建物が完成しました。
さらに、明治39年(1906年)東京の表玄関に日本一の駅(東京駅)を造ることになり金吾が設計し、赤レンガ造りの巨大な建物が誕生したのは大正3年(1914年)でした。明治の三大建物といわれる建物のうち日本銀行、東京駅の2つを完成させた金吾の名声は高まり関東大震災のときも2つの建物はびくともしませんでした。色鮮やかな赤レンガ造りのヨーロッパ風ルネサンス様式の建物を人々は、「辰野式建物」と呼びました。

地図・写真・統計資料など

辰野金吾

辰野金吾

(1854~1919)

旧唐津小学校の図

旧唐津小学校の図

辰野金吾が設計しました

東京駅

東京駅

旧唐津銀行本店

旧唐津銀行本店

辰野金吾の弟子が設計しました

(『郷土につくした人々』より)

引用・参考文献(出典)

  • 『郷土につくした人々』~ふるさと唐津の偉人たち~

参考文献について

参考文献については、近代図書館が所蔵している資料もあります。

資料についての問い合わせは近代図書館までお願いします。

電話番号:0955-72-3467

辰野金吾(たつのきんご)

辰野金吾(たつのきんご)PDFデータ1/2(PDF:253KB)

辰野金吾(たつのきんご)PDFデータ2/2(PDF:219KB)

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