かまどと羽釜


土間にある「かまどと羽釜」(左)と羽釜(右)
 

日本人の主食と言えば【ごはん】。昔はどうやってごはんを炊いていたのでしょうか?今の台所では見かけない道具を使っていました。それは、「かまど(くど・へっついとも呼ぶ)」と「羽釜」。昔は土間と言って、土足で煮炊きする場所が台所で、そこにかまどがありました。今のガスコンロのようなものです。かまどには穴があり、そこに羽釜(UFOみたいな形の釜)の下半分を入れ、底に薪の火をあてました。今の炊飯器と同様に羽釜には米と水を入れて炊きましたが、ガスや電気がなかったので、薪での火加減は大変でした。おいしいごはんを炊くための言葉があります。「はじめはチョロチョロ、中パッパ、ブツブツ言うころ火を引いて、一握りのワラ燃やし、赤子泣いてもフタとるな」といった調子です。これは、はじめは弱火、その次に強火で炊き、そのあと少し火を弱めて、最後にパッと強火、火を止めてしばらくフタを取らずに蒸らしておく、という意味です。手間と技を必要としたごはん炊きは、炊飯器が世に出て不要になりました。今から約50年前の1956年のことでした。