大滝秀治さん、最後まで枕元に台本…

 舞台、映画、ドラマと幅広いジャンルで活躍した俳優・大滝秀治(おおたき・ひでじ)さんが2日午後3時17分、肺へん平上皮がんのため、都内の自宅で亡くなっていたことが5日、分かった。87歳。1948年に劇団の養成所に入ってから俳優一筋64年で、高倉健(81)と共演した「あなたへ」(公開中)が遺作となった。大滝さんは病床でも台本を抱きしめるなど、最期まで役者魂を貫いた。葬儀・告別式は同日、都内で近親者のみで営まれた。22日に東京・港区の青山葬儀所で「お別れの会」が開かれる。

 枕元には常に台本があった。舞台、映画、ドラマでさまざまな顔を見せた名優は、役者のまま天国へ旅立った。

 この日、都内で会見した娘婿で演出家の山下悟氏(57)によると、大滝さんは昨年末から体調不良を訴え、今年2月27日の検査で肺へん平上皮がんが発見された。出演予定だった所属する劇団「民藝」の6月公演「うしろ姿のしぐれてゆくか」を降板し治療に専念。6月末には間質性肺炎も併発し、入院した。

 それでも、復帰への執念に押されるように間質性肺炎は完治。9月7日に退院し在宅治療を行うと、病状は安定した。食欲おう盛で自宅ではカツ丼やたこ焼きを食べることもあり、今月1日には家族と一緒に大好きなお酒も飲んでいたという。しかし、今月2日になって容体が急変。妻の純子さん、2人の娘にみとられ、最後は大きく息を吸ってから静かに息を引き取ったという。

 この日、近親者に送られた大滝さんのひつぎには、けいこ場に通うのにいつも着ていたセーター、お気に入りの舞台「なよたけ」の台本などとともに、赤塚不二夫さんの著書「これでいいのだ」も納められた。読書ざんまいだった病床で、最後に手に取った1冊という。

 大滝さんは軍隊生活を経て50年に「民藝」の創立に参加。年齢を重ねるごとに存在感は増し、ドラマ「特捜最前線」、「北の国から」などで味のある演技を見せた。02年の「キンチョール」のCMでは「つまらん!」と一喝する姿が話題となった。映画では伊丹十三監督作品の常連だった。

 役者一筋の人生。最後まで演技への思いはすさまじかった。症状が悪化し、意識が混乱した時にも出る言葉は「けいこだ」「初日だな」など舞台にかかわることばかり。命がつきる瞬間まで俳優で居続けることを望んでいた。9月末、色紙にしたためた言葉は「もう一度舞台に立ちたい」だった。

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