前田吟が78歳再婚 「男はつらいよ」盟友・佐藤蛾次郎さんがギンちゃんと共有した同い年の逸話と恋愛観

 映画「男はつらいよ」シリーズで知られる俳優の前田吟(78)が今年6月に歌手の箱崎幸子(74)と再婚していたことが年の瀬に報じられ、70代での“電撃婚”が話題になっている。同シリーズのレギュラー陣で、今年12月9日に虚血性心不全のため亡くなった佐藤蛾次郎さん(享年78)は生前、記者の取材に対して「ギンちゃん」こと前田さんと共有した思い出を振り返り、前田さんにも共通する、妻に先立たれた高齢男性の思いも明かしていた。

 映画「男はつらいよ」シリーズで、佐藤さんは主役の渥美清さん(1996年死去、享年68)演じる車寅次郎の舎弟分で寺男の源吉(源公)役、前田は寅次郎の妹・さくら(倍賞千恵子)の夫・博(ひろし)役で共演。2人は同じ1944(昭和19)年生まれで、8月生まれの佐藤さんに対し、2月生まれの前田は1学年上になるが、「男はつらいよ」レギュラー陣の中では同い年ということもあって、出番以外でも一緒に過ごすことがあったという。

 松竹の大船撮影所前にある1936年創業の老舗レストラン「ミカサ」では、源公が仕えた住職・御前様役の笠智衆さん(93年死去、享年88)から“粋な計らい”でごちそうになったという。

 佐藤さんは「撮影所近くの旅館に泊まっていた時、『ギンちゃん、飲みに行こか』と、前田吟さんを誘ってミカサに入ると、笠さんがおられた。親戚の店やったらしい。昭和11年創業の老舗洋食屋で、松竹大船撮影所のオープンと共に営業を始め、松竹撮影所と共に歩んできた店です。そこで、ギンちゃんと一緒に飲んでたら、生ガキがグワーッと出てきた。店の人に『笠さんからです』と言われて、ギンちゃんと2人で『すみません!』と大先輩に頭下げたら、笠さんは『まぁ、いいから、いいから』と、先に帰られた。たらふく飲み食いして、ええ気分で金を払おうとしたら、店員さんが『笠さんが全部払っていかれました』。俺とギンちゃんは『すみません、笠さん!』と恐縮しました」と懐かしんだ。

 佐藤さんは、渥美さん存命中のシリーズ最後の作となった第48作「寅次郎紅の花」(95年12月公開)の柴又ロケでも前田さんと行動を共にした。

 「控室として2階を使わせていただいた柴又の老舗だんご屋さんに、(同作に出演した)“ゴクミ”こと後藤久美子さんがダンナさんでF1レーサーのジャン・アレジと一緒に来られた。店の入り口にアレジのスニーカーが置いてある。付き添いで来たみたいやね。それで、俺が『おはよう』と挨拶したら、アレジも『オハヨゴザイマス』って日本語で返した。『これがアレジか』と思いながら、ギンちゃんとコタツでテレビを見とった。ふと、部屋のふすまから隣の部屋をのぞくと、2人でチュッチュ、チュッチュと仲むつまじい光景や。俺とギンちゃんで『フランス人って、ええなぁ。幸せなんやなぁ』と思いながら、ながめてた」

 アレジ&ゴクミ夫妻に“あてられた”格好となった佐藤さんと前田だが、共に妻が先に他界した。がんが発覚した前妻を昨年8月にみとった前田は今回の再婚報道を受け、29日にデイリースポーツの取材に「自分でも熱いものが残っているっていう感じがしています。生きている希望が湧くのは人を恋することだったり愛すること。僕の場合、老いらくの恋になっちゃったけど」とコメント。佐藤さんも昨年7月、記者の取材に対して「妻を亡くした後の時間」について切実な思いを吐露していた。

 43年間連れ添った元女優の愛妻・和子さん(享年68)が多発性骨髄腫のため16年に死去。それから5年を経た当時の佐藤さんは「やっぱり、女性と一緒にいないとつまらない。男だもん。“彼女”と過ごす時間が何より楽しい」と、独り身になった高齢者として新たなパートナーを求める心情を吐露した。前田の「生きている希望が湧くのは、人を恋することだったり愛すること」という言葉にも通じる。

 佐藤さんが妻と切り盛りした東京・銀座のパブ「蛾次ママ」はコロナ禍となった20年の大みそかに閉店。常連から初来店のファンまで老若男女で満席となる中、佐藤さんは最後の挨拶を「終わり!」の一言で片付けた。どんなに過去を振り返ったところで現状が好転するわけではない。それよりも今を生きるという姿勢を貫いた佐藤さん。思い切って新たな人生に踏み出した盟友・ギンちゃんの再婚を「ようやった!」と天国から祝福しているに違いない。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

サブカル系最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス