クッション性の高い素材として知られ、100円ショップでも手軽に手にはいるのがEVAシートだ。実は、釣りにとても便利なアイテムであることをご存知だろうか。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS関西編集部・松村)
EVA素材とは
EVA素材とは『Ethylene-Vinyl Acetate(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)』の略で、頭文字を取った名称だ。簡単に言うと柔らかな合成樹脂で、身近にもかなり採用されている。たとえば、夏場に履くビーチサンダルやバスマットにも使用されれている。
特徴はクッション性が高く、緩衝材としての役目やその柔らかさを生かして幼児用の玩具などにも採用されている素材だ。釣り具で言うと、竿のグリップなどにも多用されている。
100均ショップで入手
EVA素材は100円均一ショップで簡単に入手する事ができる。基本的にはシート状になっていて、今回購入した物は「EVAクラフトボード」と言う商品名で、大きさは縦420mm、幅297mm、厚さは5mmのタイプだった。他に、さらに大きく、厚さが3mmタイプもあった。
今回はクッションとして、アイテムを傷から守る役目を持たせるためのカスタマイズをメインとして考えたので、厚さ5mmのタイプを購入した。
クッション性だけじゃない
EVAを使って釣り具のアイテムを傷から守るため、小物用ケースにEVAやウレタンを敷いて売っている商品もある。ウレタンも機能としては同様で、素材や作成の方法が違うがここでは説明は省略する。
ケースの底に敷く事でアイテムを傷から守るのだが、便利なのはそれだけにはとどまらない。素材としては柔らかくハリを刺して固定すると、外す時にも簡単にハリを抜く事ができ、カエシの付いたハリでも素材は切れるために簡単に外す事ができる。
そんな機能を利用したのが、ワームに使うジグヘッドなどの固定用ケースを始め、一つテンヤ、ワインド用のシンカー&フックケースなどだ。ただ、商品化されているのは規格があり、自分の好きなようにカスタマイズしようとすれば、シートを別に後付けするのも手だ。
フリーのケースを利用
いろいろな形で自分の好きなようにカスタマイズするなら、仕切りのない小物ケースを利用するのが良いだろう。もっとも簡単なカスタマイズが、シートにカッターで溝(切り目)を入れるだけのフックキーパーだ。
EVAシートの扱いやすいところは、100円ショップでも売っている瞬間接着剤で簡単に接着する事ができる点だろう。使い方に迷っているなら、まず、ケースの底一面に合うようにシートをカットしてから底面に貼り付け、必要な時に、カッターで切れ目を入れるだけでもOKだ。
また、EVAシートの溝を利用しなくても、円錐ウキや小型ミノーなどをフリーケースに入れる際には、傷が付きにくくなるので利用をオススメする。ただし、EVAシートがあまりに厚いと、ケース内の容量が減ってしまうので、クッション性のみを考えると3mm程度の厚さが妥当だ。
タイラバ用ヘッドなど
タイラバ用のヘッドを始め、ケース内に仕切りを利用して混ざらないように収納するタイプも多いだろう。特にタイラバのヘッドは基本的に丸い形状のタイプがほとんどで、形状に大きな差がないため、仕切りも同じ大きさに仕切る事が多い。
ヘッドもヘッドどうしがぶつかり合ったりすると、コーティングが取れてしまうので、できれば個別の部屋に入れて、クッションを敷いておきたい。この場合も仕切りの大きさに合わせてEVAシートを仕切りの部屋の数だけカットし、敷いていく。これだけでケース内でガチャガチャとヘッドがぶつからないし、ヘッドを収納する時に、ポンと放り込んでも傷付きにくいので安心だ。
EVAシートを利用した仕掛け巻き
では最後に、EVAシートを利用した自作仕掛け巻きの作成法に入ろう。EVAシートを使用した仕掛け巻きの特徴は、加工がしやすく簡単に大きさを変えた仕掛け巻きができる事や、ソフトな素材なので仕掛けを巻いた時にラインに優しい点、そして、仕掛け巻き全面にEVAシートを貼る事で、ハリをどこにでも刺して固定できる点などだ。
用意する物
仕掛け巻き自作に必要なものは、EVAシート(今回は5mm厚を使用)、下敷き、瞬間接着剤、定規、カッティングボード、カッター。
EVAシートが柔らかな素材のため、芯となるやや硬めの素材を挟み込みたいので、今回は下敷きを使用したが、プラスチック板やアクリル板などでも代用はOKだ。
作り方
1.好みの大きさにカット
まずは下敷きを好みの大きさにカットする。今回は自分の持っているタックルケースにピッタリとハマるよう、縦11cm、幅6cmの仕掛け巻きを作成した。きっちりと測ってカットするのは下敷きのみでOK。
下敷きをカットする場合、最初から力を入れてカッターで切ろうとすると、カットしたい線からズレてしまう事がよくある。そこで、まずは軽く浅くカッターの刃先で筋を入れ、何度もその筋をなぞるように深くカットしていく。
2.EVAシートをカット
カットした下敷きをEVAシートの上に置き、下敷きの形にカットする。カッターでEVAシートをなぞるといとも簡単に切れてしまう。同じように作業して、EVAシートを2枚作り、同じ大きさの下敷きと合わせて3枚できればOK。
3.EVAシートと下敷きを接着
下敷きの片面に接着剤を軽く塗り、EVAシートを貼り付ける。この時、接着剤を塗りすぎると押した時に接着剤がはみ出てしまうので注意。接着剤が少なく剥がれそうになった時には、その合間に接着剤を追加して補修もできるので、最初は少なめでOK。
4.反対の面にもEVAを接着
下敷きの反対面にも接着剤を塗って、EVAシートを貼り付ける。下敷きをEVAシートでサンドイッチにした形だ。固い下敷きが芯となって仕掛けを巻いた時に曲がってしまうのを防ぐ。
5.上下のEVAに切れ目を入れる
仕掛け巻きの上下に切れ目を入れて巻いた糸がズレないようにする、基本的にEVA素材の場合は柔らかいので、少しテンションをかけて糸を巻くと、糸がEVAに食い込んでズレる事は少ないが、念のためEVAシート部分に切れ目を入れる事で仕掛けをさらに固定しやすくする。仕掛けを巻くと、ハリがどの位置にきてもEVAシートに刺せるので固定しやすい。
以上がEVAシートを利用した釣りアイテムのカスタマイズだが、まだまだ素材の特長を利用した工夫ができそうなので、今後もいろいろと試してみたい。
<松村計吾/TSURINEWS関西編集部>