『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』(以下、ミンサガ リマスター)の生放送番組“ミンサガリマスター 前夜祭生放送”(2022年11月30日配信)の内容をリポートする。

 本番組は、2022年12月1日に発売されたプレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)、PC(Steam)、スマートフォン(iOS/Android)向けソフト『ミンサガ リマスター』の発売を祝う前夜祭番組。アルベルト編の冒頭のプレイや高難度の追加ボスへの挑戦企画、開発スタッフ座談会による裏話の披露など、さまざまな企画が実施された。

 番組の出演者は以下のとおり。

【出演者】(敬称略)

  • MC ペンギンズ ノブオ(芸人・タレント)
  • “サガ”シリーズ総合ディレクター:河津秋敏
  • ミンサガ』バトルデザイン担当:小泉今日治
  • 『ミンサガ リマスター』ディレクター:上野真史
  • 『ミンサガ リマスター』プロデューサー:三浦宏之
  • 『ミンサガ』アルベルト役声優:浦田優
  • ロマンシング サガ リ・ユニバース』プロデューサー: 市川雅統
  • インペリアル サガ エクリプス』プロデューサー:奥州一馬

 なお、本記事には『ミンサガ』や『ミンサガ リマスター』の一部ネタバレが含まれているので注意してほしい。

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河津氏の世界観解説ツイートはあと900年ぶん残っている

 最初の話題は、河津氏のTwitterアカウント上で11月1日から投稿されている『ミンサガ』の世界観を解説するツイートについて。

 河津氏いわく、『ミンサガ リマスター』が発売される前日の11月30日までに、ゲーム本編が始まるまでの話は終わらせるつもりだったそうだが、11月30日時点でサルーインが封印されてから100年ぐらいまでの時代の解説しか終わっておらず、あと900年ぶんくらいツイートしたい内容が残っているという。

 この先の方針としては、端折るか、12月1日からは内容をガラッと切り替えた話にするか悩んでいるそうだ。

アルベルト編冒頭の実機プレイ中に数々の裏話が飛び出す

 最初に実施された企画は、アルベルト編の冒頭部分を、アルベルトを演じた声優の浦田氏がプレイするというもの。プレイを交えながら、ゲーム冒頭の流れが紹介されると思いきや……場面場面で河津氏から開発の裏話が飛び出す貴重な場となった。

 以下で、筆者が個人的に気になったエピソードをピックアップして紹介しよう。

 ちなみに実機プレイでは、初戦闘でいきなり逃走しようとして「騎士として恥ずかしくないのか!」と言われそうな場面や、浦田氏がアルベルトの声で城の兵士たちに挨拶をするが無視され続けたり、アルベルトだけが戦闘不能になって浦田氏「姉さーん!」と叫んだりするシーンなど、笑いどころも満載だったことをお伝えしておく。

アルベルト編のストーリーの起伏が激しい理由、声優に浦田氏を起用したポイント

 ストーリー冒頭から起伏が激しく、ジェットコースターのような展開が魅力のアルベルト編。なぜ、アルベルトの人生はここまで波乱万丈なのか、その理由について河津氏は「正統派の主人公は、とりあえずどん底まで落とさないと」とコメント。

 また、アルベルトの性格について「真っ直ぐすぎる。どうしてこんなに融通が効かなくなっちゃったのか。たぶん、お姉さん(ディアナ)がものすごくしつけたんでしょうね」と裏設定も明かした。

 声優として浦田氏を起用したポイントは、とにかく真面目そうで、お坊ちゃん的な発言をしても嫌味にならない声だという。アルベルトの真っ直ぐな発言に対して、ホークなどの大人が「こいつならしょうがない」と言いそうな、生意気に聞こえない声が重要だったそうだ。

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イスマス城襲撃シーンはハードの限界までモンスターを表示

 ナイトハルト殿下の登場シーンの後に発生するイスマス城襲撃シーンは、襲撃感を演出する目的で多数のモンスターを表示させたため、最初のうちはよくゲームが落ちていたという。

 PS2の性能の限界ギリギリまでの表示数まで調整し、画面左側まで移動して表示されなくなったモンスターをもう一度右側から出すなどの工夫を凝らしたそうだ。

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ディアナのあのシーンはアルベルトが見た夢

 イスマス城襲撃イベントの最後に、ディアナが自身を犠牲にしてアルベルトを逃がすシーンがある。ムービーシーンからドラゴン戦にシームレスに切り替わるのだが、このときの戦闘結果はアルベルトが見た夢という設定。本当に死んでしまっていたらこのあとのストーリーが成立しなくなるからだ。

 ちなみに、アルベルトが崖から落ちたシーンで河津氏は「ふつう死んでますよね」と冗談交じりにコメント。崖の高さは“カーチャン”のあの場所くらいあるという。

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ディアナが感じた恐怖をみごとに演出した名場面だ。
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ナイトハルト殿下とディアナは政略結婚ではないという。ディアナは騎士であるため、殿下がいるクリスタルシティに何度か訪れており、そこで知り合っている。

座談会で河津氏と小泉氏がいまだから話せる『ミンサガ』の裏話を披露

 ここからは、小泉今日治氏も参加した座談会の模様の書き起こしをお届け。小泉氏は『サガ』公式生放送初出演となる。青の剣くらいレアな機会と言っていい。

 なお、発言内容はベタ起こしではなく編集している点は留意してほしい。

河津秋敏(かわづ あきとし)

スクウェア・エニックス 『サガ』シリーズ総合ディレクター。『サガ』の生みの親。シナリオ執筆やゲームデザインなど、その業務は多岐にわたる。(文中は河津)

小泉今日治(こいずみ きょうじ)

株式会社グレッゾ プランナー。『ミンサガ』ではバトルデザインを担当。リマスター版では追加ボス開発の監修として参加した。(文中は小泉)

――河津さんと小泉さんの関係性は?

河津面接したんだっけ?

小泉面接の最後に河津さんから「テーブルトークをやるとき、君は戦士と魔術師どっちをやる?」と聞かれ、戦士ですと即答した覚えがあります。大学生だったのですが、大学でその話をしたときに「戦士のように働く人間がほしいっていう意味じゃない?」「魔術師みたいにうしろで頭を使う人間はいらないという意味なのかな」と、周りの人間は考えていました。

――小泉さんの当時の印象は?

河津スクウェアは当時、そんなに人材を採用していなかったんです。『FF』が売れてすこしずつヒット作が出てくるようになったので、そろそろ人を増やそうかという話になり、入ってきたのがイトケン(伊藤賢治氏)だったり、北瀬くん(北瀬佳範氏)だったりで、そのつぎにきたのが小泉くんや高井浩の世代なんですね。

 大量に面接して厳選したというよりは、きたら即採用というようなノリで採っていました(笑)。

――河津さんの印象はどうでしたか?

小泉デジタルゲームでこんなにシンプルにゲームのシステムが作れるんだと『FF2』にものすごく感銘を受けて、そんな人がいる会社なんだと思って受けました。先ほどの戦士か魔術師の質問を聞いたときに、「この人が『FF2』を作ったんだな」とすぐにわかりました。

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――『ロマンシング サ・ガ』のリメイク作である『ミンサガ』を開発した経緯は?

河津その前にやったのが『アンリミテッド:サガ』だったのですが、いろいろなことをやりすぎて、ユーザーからは「わけわからん」という反応が強かったんですね。自分たちとしてはそんなゲームを作るつもりは全然なく、チャレンジのつもりだったのですが。

 でも、反省するところは反省しなきゃねと、「もう一度、素からRPGを考え直しましょう」といろいろ積み重ねて広がっていたものを一度捨てることにしました。しかし、当時はゲームのボリュームがすごく増えていて、ゲーム開発に何年もかかる情況で。

 「ゲームをイチから設計しましょう」と言っているところに、さらに世界設定やストーリーを作る作業もしていたら、ものすごく時間がかかってしまいます。ゲームを作る時間を確保するために、設定やストーリーを作る時間はなるべく圧縮したい。それで、いまのハードで、いまのゲーム性で作り直すとどうなるかなと、素材として『ロマンシング サ・ガ』を選びました。

――『ミンサガ』のバトルを担当されたのが小泉さんですが、真サルーイン(※)は“RPG史上最強”とも言われました。なぜ、あれほど難しくしたのですか?

小泉真サルーイン自体がある種公式な隠しボスみたいなもので、いきなりは戦えないですし、思いっきり強くしていいだろうというのがまずひとつ。

※“ディステニィストーン”(『ロマサガ』ではデステニィストーン表記)を10個捧げたときに戦えるサルーインで、真サルーインは通称。

 もうひとつは、僕が勝てないボスを作ろうと思ったんです。だから、開発期間中は“ディステニィストーン”9個までしか勝てていない。9個にも負け続けて、最終日にようやく勝ったくらいです。テストチームの方はクイックタイムを使ってようやく真サルーインに勝った次第でして。

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――高難度バトルだけでなくふつうのバトルも難しいですが、それは『サガ』の世界観に合わせているからですか? それとも性格的に難しいものが好きだからですか?

小泉性格的にというのもなくはないのですが、僕にとってはいちばんのサービスのつもりなんです。攻略しがいのあるように作りたいということと、僕はデータを作るときに型から決めて、その範囲内で理屈上勝てるように作ります。理屈上は勝てるはずなんだけど、実際にやってみると勝てなかったり、あるいは楽だったりするので、それを遊びながら調整していきます。どこまで手がまわるかは時間の許す限りということになりますが。

――『サガ』の高難度ボスはギリギリのラインで勝てるように調整されていますが、そのバランスの調整法は?

小泉すこしずつ難しくなるようチューニングしていきます。理屈上勝てるように作るとやっぱり勝てるんです。

 だいたいプレイ時間と敵の強さに応じて自分たちも強くなっていく仕組みなので、敵の強さに追い付くところまで育てていればパラメータ的に対等なので。あとはプレイヤーがうまくまわしていれば勝てる。ふつうにやると勝ててしまうので、そこから敵の攻撃に一癖二癖入れていくような仕組みをあとから入れていきます。

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――バトル面のこだわりを教えてください。

小泉『FF2』が僕にとってのRPGのファーストショックで。スクウェアに入って『ロマンシング サ・ガ』のテストプレイをさせていただく機会があって、それがセカンドショックでした。

 皇帝の奇病イベントが間に合わず、そのときに自分が仲間にしていない他の主人公が解決してしまったんだと気付きました。自分がイスマス城でお金稼ぎをしているときに、ゲームの中で時間が流れていたと知ったときのショックがものすごくて。ある種、失敗したからこそのショックであり、感動だったんですね。

 すべてのイベントをプレイヤーが当たり前に攻略できてしまうと、おそらく感動は得られない。無念さなどがあって初めて「こんどはうまくやってやるぞ」という想いが生まれ、それをやろうとしたら今度は別の部分がうまくいかなかったりするのがゲームのおもしろいところだと思います。

 どのボスも簡単に勝てるようだとダメだから、それなりに手ごわくして、「もうすこしパラメータを上げて勝とうかな」とやっていると他のイベントが終了するみたいな、そういった作りになっているのが理想かなと思って作りました。

――『サガ フロンティア』の連携は小泉さんが生んだシステムなのですか?

小泉閃きは僕発信で、連携はいっしょに開発していた高井浩さんと「今度はプレイヤー同士の攻撃がつながるようにやりたいけど、『クロノ・トリガー』みたいに最初から用意されたものをなぞるのはおもしろくないよね」という話をしていました。

 そのときの高井さんとの会話は「まくり飛び蹴りアッパー昇竜拳」で。そこに当時のプログラマーの長谷川さんが「連携名は自動的に合成させる仕組みがいいんですよね」と加わり、3人で軸を作りました。そこから、どこで技名を切って繋げるかのルールを整えて。ゲーム内に時間の細かいパラメータを持っているので、最初は時間が長ければ長いほど繋がりにくいという計算を行っていたのですが、目に見えないのでボツにしました。

 つぎに、上にかち上げたら叩き落とす攻撃がつながるなど、つながりやすい要素をいくつか情報として持っておいて、飛び上がっている状態などの瞬間ステータスに対して何がつながるか、技ごとに属性を持たせて連携するルールにして作りました。

 でも、連携のときは河津さんから「一発芸だからもういいよ」と言われましたよ(笑)。

――そうなんですか?

河津最初のアイデアは格闘ゲームだったので、『スト2』(『ストリートファイター2』)のコンボの気持ちよさをRPGでも実現できないかというのが原点でした。

 一回やったので、つぎは別のアイデアでいいと思ったんです。でも結局ずっと残って。名前がつながるのがウケたのは意外でした。

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――2D(『ロマサガ』)から3D(『ミンサガ』)になったときに、作り方で意識が変わったことはありますか?

河津斜めでもいいのですが、2Dは上から見た平行投影で奥行き感がありません。それに対してカメラを付けると必然的に奥があって手前があってとなるので、そうなったときにどうやって情報を伝えていくかを考えなくてはいけない。そこは2Dと3Dの全然違うところです。

 2Dは画面の中に何を入れるかすべて計算して作れますが、3Dはカメラを向けた瞬間に見えてほしくないものが見えたり、見せたいものが見えなかったりするため、映像設計をしなければいけなくなります。同じビデオゲームと呼んでいますが、3Dは映像的な手法になって、2Dはマンガ的な手法になります。マンガなら描きたくないものは描かなくても許されますが、3Dはカメラに写ってしまったら画面に全部入ってしまうので、見せないことはできません。絵作りの出発点が違うので、3Dは考えなくてはいけないことが格段に増えるため、あまりやりたくない(笑)。

――3Dになると、ただ単に表現の幅が広がるというわけでもないんですね。

河津もちろんフォトリアルで、完全にリアルな絵が映るゲームはたくさんあり、その中で皆さん作っておられるので言い訳なんですけれど、自分はどちらかというと、どんどんデフォルメしたい。

 実際に目で見るときって、意外と視界に入っていないじゃないですか。このスタジオ内にもいろいろなものがありますが、われわれはそれを見ておらず、画面やお互いの顔しか見えていないわけなので。そういう意味でいうと、見なくていいものは画面になくていいって思っちゃいますよね。

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――当時、「もっとこうしていたら」と思ったことは?

河津『ロマサガ』はやりたいことがほとんどできなかったので、ものすごく落ち込んでいました。

 『ミンサガ』でももちろん、いくつか入らなかったイベントはあるにはあるし、入れたかったけど仲間にできなかったキャラクターはいますが、『ロマサガ』で入れられなかったことを結構入れられたので、完成度含めて満足しています。

――その入れられなかった要素が、今回のリマスターで追加されていると捉えてもよろしいですか?

 マリーンとか、もともと仲間にできていいという話はあったのですが、ストーリー的に海底神殿から帰ってきたとあとじゃないと仲間になるのはおかしくて。でも、そのタイミングでHP200くらいの新キャラクターが入ってきてもなんの役にも立たないんです。

 勝手に寄ってきて仲間に入るネタもあったのですが、これで仲間になられてもみんなに憎まれるだけのキャラクターになってしまいそうでした。

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追加プレイアブルキャラクターの詳細や新要素まとめはこちら

――小泉さんのやりたかったけどやれなかったことは?

小泉サガフロ』のころから直接コードでバトルの中身を書くようになって、『ミンサガ』はバトルのループ全体を書くようになったのですが、何でも書けすぎるのが『サガフロ』と『サガフロ2』の反省点でした。

 ベタでコードを書くとあとで修正しにくいですし、ひとつひとつ個別に手作りするようなものなので量産化が難しくなります。『ミンサガ』のときにモジュール化できるように戻したのですが、あとになればなるほど、もっとモジュール化をしっかりしておけばよかったと後悔しています。

 100個以上ある特別なバトル(※)をもう少しうまく作る手法がつくれていたら、特別なバトルを量産化しつつ、通常バトルをもっとおもしろくするほうに力をさけたという反省点はあります。

※例として、ある敵に状態異常を付与すると敵の周りをぐるぐる回るようになる特殊バトルが挙げられた。

 僕は技術者としては未熟なほうですが、バトルをおもしろく作りたいというやる気はあって。「お前のエゴなんだから、そんなのプログラマーにやらせるな」とプログラムのコードごと書けというのが河津さんからの指示でした。

河津プログラマーに説明している時間があったら自分が書いたほうが早いという。

小泉河津さん自身がそういうタイプですからね。

河津わかってもらえないと、ものすごく無駄なキャッチボールが続いてしまいます。だまってやってくれる人もいますが、だいたいの人が納得しないとやってくれません。そうなると、「だったら自分でやる」となっちゃうんですよね。みんなが納得して動けるのがいちばんいいので、プロジェクトとして考えると本当はよくないことなんですが。

――ちなみに青の剣の確率を設定したのは?

小泉(申し訳なさそうに手を挙げつつ)PS2は疑似乱数だったので、想定よりも乱れなかったんです。実際には出ない数値があったため、想定の3倍くらい入手が難しくなってしまいました。

 乱数は当然乱れるものだという前提で標準偏差で作っていたのですが、全然標準偏差になっておらず、出るはずのテーブルが呼ばれないという状態に。ベントさんから指摘はあったのですが、そのときは「何を言っているんだろう?」ぐらいにしか思っておらず、あとになってから気付きました。

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――(YouTubeのコメントからの質問)『サガ』シリーズのラスボスの強さはどういう基準で設定していますか?

小泉基本はいちばん強くしますが、中ボスは予想できないことをやってきて、再戦して勝つという状態はあっていいと思っています。

 しかしラスボスがいきなり聞いたこともない攻撃を連発してきたり、それまで自分が学習できなかったことをされたりすると、鍛えてきたことや学習してきたことがすべて否定されたような気になると思うので、可能な限りそこまでに出てきた戦い方を総結集させれば攻略できるようにしています。

 『ミンサガ』は最後に柱のギミックがあって、これだけは事前学習できなかったんですね。あれは初見殺しと言われても仕方がないですが、戦闘しながら気づいてもらえたらいいかなと。

――技名やモンスター名を決めていたのも小泉さんですが、お気に入りの敵は?

小泉『ロマサガ』のころからキャラクターではテオドールが大好きで、それもあってイフリートが好きですね。

 「こいつ強いな」と思ってもらわないと困るので、一発で全滅するほどは強くなく、熱に対する防御をある程度固めて戦う前提で開幕“火の鳥”を仕込みました。レッドドラゴンなどで事前に学習できる場面を仕込んでいるので、かなり強めに作りました。

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――開幕“火の鳥”といえば、ガラハドの開幕“吹雪”もありました。

小泉ガラハドは仲間になるキャラクターなので、HPが1万を超えるのは明らかに変じゃないですか。でも手が届くくらいの耐久力にするとそんなに強くできません。

 そこで、アイスソードを持っているので一発芸として吹雪を使わせて、プレイヤーをまずビビらせようと。トパーズがなきゃ全滅するだろうな、という気持ちで作っています。

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――追加ボスの名前についている“血誓”の意味は?

小泉真サルーインと呼ばれているのは、ミルザたちが戦った全盛期の力を持ったサルーインです。ミルザたちはディステニィストーンを持っていましたが、プレイヤーは持っていないため、ミルザたちよりも不利な状況で戦っています。

 その真サルーインを倒せるような人を相手にするなら、サルーイン側にも味方するような存在がいてもいいのかなと。サルーイン以外はプレイヤーに味方しているので、あまりにひとりぼっちでかわいそうですから。

 10体の追加ボスには、その裏設定を当てはめました。世界自体がサイヴァの体から作られたというもともとの設定があり、世界にはその血を受け継いでいるモンスターがいて、それらがサルーインに味方する役どころになっています。

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――監修で意識した点は?

小泉一度完成したものに変に要素を足さないという前提だからこそ、とことん遊びやすさにふってくれたんだなと感じました。

 当時楽しんでくれた人が当時と違うと思ったらリマスターとしては欠けていると思ったので、おもしろさの方向が合っているかどうかは僕のほうでも見るようにしましたが、外れるような作りはそもそもしていなかったですね。原作をプレイしてくれたスタッフが配慮して作ってくれました。

 10体の追加ボスは新しい攻略性のあるバトルにしてくれたのですが、これは原作の作り方と違うところがいいスパイスになりました。原作は「こういう倒し方をしないと厳しいですよ」というバトルはほとんど用意しておらず、プレイヤーの最高の戦い方をいろいろな方法で邪魔をしてくる作りになっています。

 今回の攻略性のある10体のボスはそのルールから外れているのですが、いつまでもそれをやっているとネタ切れになりますし、真サルーインまで倒した人向けのコンテンツですから。僕もふつうに楽しんでプレイさせていただきました。

強化ボス“真デス”の強さが一部明らかに

 番組の後半戦では、これまで2体の追加ボスに挑戦してきたノブオ氏が強化されたデス(通称:真デス)に挑んだ。追加ボスは、真サルーインを倒したつぎの周回プレイで解放されるやりこみコンテンツだ。

 前述のとおり、追加ボス10体は攻略性のある新しいバトルとなっているが、三邪神に関しては当時の小泉氏の思想を理解して、それを単純強化したらこうなるんじゃないか、というコンセプトで調整されているという。

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強化バージョンかもともとの強さのデスと戦うかは、選択肢で選べるようになっていた。

 ノブオ氏はLP攻撃対策として前列にLPが多いキャラクターを配置し、アニメートはムーンストーンで対策する従来の攻略方法で挑もうとしていたが、上野氏は「真デスはそんな対策は知っています」と一蹴。

 小泉氏は、「当時もこうしたかった」「この手があったか」と真デスとのバトルを絶賛していた。

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 上野氏がバトル中にポーズボタンを押すことで、フォーメーションを確認できるという前振りを行ったところ、真デスが全体攻撃の“開門”を使用。攻撃をくらったあとにフォーメーションを確認してみると、なんど隊列がバラバラに変更されていた。

 これがLP攻撃対策の対策となっており、アタックモードを活かせないポジションに変わってしまう場合もある。

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 ほかにも、ライフスティールで与えたダメージの3倍以上のHPを回復する場面も。ライフスティールを3回連続で使用し、HPを5000以上回復するターンもあった。

 また、真デスの邪の術は通常よりも強化されているようで、耐性を十分に上げたキャラクターたちが“ペイン”で何度もスタンさせられていた。

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 つねにリヴァイヴァを全員にかけ、一手も間違えられない状況で死闘を繰り広げるノブオ氏。

 もっとも強い攻撃を一度も使われないというかなりデレた真デスに助けられ、放送時間ギリギリで撃破することに成功。全員のクラスLv.が6、HPが700~800、青の剣やクロスクレイモアなどを所持し、全員が炎のロッドと精霊石の杖を持っているデータでも、30分近くヒリヒリとする戦闘が繰り広げられた。

 真サルーインの上をいく極サルーインはこれよりも強いと思われる。真シェラハを含めてどのような強さとなっているのか、戦うのが楽しみだ。

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撃破時には新登場の武器である“デスサイズ”をドロップすることも確認できた。

 番組の最後に“ミンサガリマスター発売記念キャンペーン #三邪神討伐戦”が実施されることが発表された。

 Twitterを使ったキャンペーンとなるようだが、内容は不明だ。詳細は後日行われる発表で確認してほしい。

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アルドラ役の村中知さんのコメントやイトケンの演奏も

 ここまでにお伝えした内容のほか、“ミンサガリマスター 前夜祭生放送”ではアルドラを演じた声優の村中知さんのボイスメッセージや、伊藤賢治氏による『邪聖の旋律(ピアノバージョン)』の演奏も行われた。

 “ロマンシング サガ オーケストラ祭 2022”の『ミンサガ』パートの特別上映もあったので、番組を見逃した人は時間のあるときにチェックしてみてはいかがだろうか。

【12月1日(木)発売】 #ミンサガリマスター 前夜祭生放送

※画像は番組をキャプチャーしたもの。

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