30代半ばから念願だった着付けを習い、
以来、きものとともに和の世界へと
足を踏み入れることになりました。
   牧瀬里穂さん

「きものがずっと好きで、自分で着られるようになる前は、買ったきものを簞笥から出しては眺めて楽しんでいました」と語る、俳優の牧瀬里穂さん。現在ではお茶の稽古や歌舞伎鑑賞をはじめ、プライベートでもきものを自在に楽しみ、インスタグラムにアップされる折々の美しい着姿は、多くのファンの間で話題を呼んでいます。

牧瀬さんは、30代半ばでご結婚をされたのを機に、仕事を少しセーブするようになり、念願だった着付けやお茶のお稽古にも通うように。以来、きものの魅力に本格的にはまり、いまでは自分好みの「お誂え」も楽しむようになったそうです。

牧瀬里穂さんのきもの
撮影=赤尾昌則(white STOUT)

「白ではなく、ごく淡いクリーム色に染めてもらいました」という、橘の地紋が浮き立つ色無地のきものに合わせたのは、深みのある艶やかな赤地が印象的な染めなごや帯。帯は京都の「呉服に志田」で誂えたもので、"大人の赤"にこだわってオーダーしたそうです。刺繡の加飾を施した、友禅染で表した誰が袖(たがそで)模様が、典雅な雰囲気を醸し出しています。


牧瀬里穂さんのきもの
撮影=赤尾昌則(white STOUT)

もう一枚ご披露してくださったきものは、大先輩の俳優・森光子さんから譲り受けたという華やかな訪問着です。白の綸子地に、ヱ霞や雲取り模様を大きく表し、四季草花や吉祥模様を詰めたもので、友禅染のほか、金駒刺繡や染め疋田など多様な技法を駆使した一枚です。蜀江(しょっこう)模様の袋帯と合わせ、華麗な装いに仕上げています。「大切なこのきものは、初釜や結婚式などの華やかな場で、たびたび袖を通しています」


〈Profile〉
まきせ・りほ◉1971年生まれ。福岡県出身。17歳で出演したJR東海のコマーシャルで人気を集める。90年、映画『東京上空いらっしゃいませ』初主演。以降、映画やドラマ、舞台で活躍。現在はBS朝日「百年名家〜築100年の家を訪ねる旅」でナビゲーターを務める。


撮影=赤尾昌則(white STOUT) ヘア&メイク=佐藤 寛 着付け=岩﨑かし子(昌山坊) 撮影協力=靖國神社

『美しいキモノ』2022年秋号より