暗闇に浮かぶたいまつの列=福井県小浜市神宮寺周辺

 暗闇に浮かぶたいまつの炎の帯。ほら貝の音に先導され進む白装束の一行が、御香水(おこうずい)を鵜(う)の瀬へと運ぶ。若狭地方に春を告げる伝統行事「お水送り」は3月2日夜、福井県小浜市内で営まれた。

 若狭神宮寺境内で大護摩から火を移し、たいまつ行列は始まった。今年は一般の行列参加が3年ぶりに可能となり、後方には大勢の一般参加者がたいまつを手に連なった。ゆらゆらと続く光の帯は、春に向かう喜びを表しているようにも見える。

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 鵜の瀬に到着すると、河原の大護摩が点火。炎が高く立ち上り、辺りをオレンジ色に照らし出した。直前の雨もあってか勢いよく川は流れ、火のはぜる音が時折響く神聖な雰囲気の中、御香水は遠敷川へ。炎と水が織りなす幻想的な光景を、見物客たちはじっと見つめていた。