車が故障してしまった時に修理費用をカバーしてくれるのが車両保険です。さらに、この車両保険にプラスして契約することで、車を修理している間の代車費用も補填してくれるのがレンタカー特約です。

レンタカー特約は便利ですが、その一方で、そもそも車両保険が適用されるのかどうか、またどのような条件下で利用可能なのか、といった疑問もあるでしょう。

この記事では、そんなレンタカー特約の特徴や利用時のポイントなどを解説します。

自動車保険のレンタカー特約は故障した車を修理している間に使える!

自動車保険の一種である車両保険は、車の修理費用をカバーできる保険です。その補償内容をさらに充実させるためのオプション契約として用意されているのが、レンタカー特約となっています。

以下では、その詳しい内容を説明していきます。

レンタカー特約について

レンタカー特約について
レンタカー特約は、「代車費用特約」などとも呼ばれており、車の修理費用をまかなう車両保険に付帯させることができます。

この特約を付帯することで、車を修理している間の代車費用をカバーすることができます。まずはその大まかな内容と特徴について見ていきましょう。

レンタカー特約とは何ですか?
レンタカー特約は「代車費用特約」「事故・故障時代車費用特約」とも呼ばれ、事故などによる故障で車を修理する間、レンタカーなどの代車の利用料を補填してくれるものです。これは車両保険に付帯することで利用できます。
車両保険に付帯させる特約

レンタカー特約は、車両保険に付帯させることができるオプション契約です。車両保険は自分の車の修理費用をカバーする保険で、特約をつけることで主契約である車両保険の補償内容がさらに充実することになります。

あくまでも車両保険に付帯するものなので、特約だけ契約することはできません。自分の車が経年劣化やメンテナンス不足以外の理由(事故・災害・いたずらなど)で故障した際に、車両保険とレンタカー特約の両方あるいは片方を使えます。

代車費用を補償してくれる

レンタカー特約は、故障した車を修理している間に、代車としてレンタカーを利用する際の費用を補償してくれます。

契約内容によりますが、補償期間や金額にも上限があります。例えば、補償されるレンタカー使用期間は30日まで、補償金額は日額5,000~10,000円までとなっていることが多いです。

保険会社によっては、実費補償となるか、定額補償となるかという違いもあります。

車両保険について

車両保険について
ここまでで、レンタカー特約は車両保険に付帯することができるオプションであることが分かりました。

それでは、そもそも車両保険とはどのようなものなのでしょうか?以下で詳しく説明していきます。

車両保険とは何ですか?
車両保険は自動車保険の一種で、事故・災害・いたずらなどの理由で車が故障した際に修理費用をカバーしてくれる保険です。とても便利ですが、使用すると等級がダウンして翌年度からの保険料が上がるなどのデメリットもあります。
車の修理費用を補償してくれる

車両保険とは、自動車保険の一種で、自分の車が故障した際の修理費用や、それに関係する諸費用をカバーできる保険のことです。

多くの自動車保険は、事故の相手方(被害者)の損害を補償するためのものなのに対し、車両保険は自分(加害者)の車の修理のためのものという特徴があります。

車両保険で修理費をカバーできるのは、交通事故による故障に限りません。一部の自然災害、飛び石やいたずらによる損傷も対象となっています。

しかし、この車両保険には注意しなければいけない点もたくさんあります。その内容について以下で説明していきます。

注意点①車両保険には2つのタイプがある

車両保険を契約する際は、2つのタイプがあるので注意しましょう。

1つめは、一般型(フルカバー型)と呼ばれるもので、補償範囲が広いのが特徴です。

2つめは、限定型(エコノミー型)と呼ばれるもので、補償の範囲が制限されていますが、そのかわり保険料は安いという内容になります。

一般型の場合、経年劣化やメンテナンス不足、地震・津波などを理由とする故障以外ならおおむね補償されます。しかし、限定型の場合は自損事故や当て逃げによる損傷・故障の修理も補償の対象外となるので注意が必要です。

注意点②経年劣化による故障は補償されない

経年劣化やメンテナンス不足が原因で車が故障した場合、つまり「ただの故障」の場合は車両保険の補償対象外なので注意しましょう。

車両保険が使えるのは、外的な要因で故障(損傷)が発生した場合に限ると言えます。例えば、長い間エンジンオイルやエレメントを交換せずに運転し続けると、エンジンは確実に損傷します。これは典型的なメンテナンス不足による故障と言えるので車両保険は使えず、エンジンの修理・交換は自腹で行われなければなりません。

注意点③翌年度から保険料がアップする

車両保険は便利ですが、一度使用すると等級がダウンし、翌年度からの保険料が値上がりするというデメリットがあるので注意が必要です。

等級は1~20等級まであり、初めて自動車保険に入ると6等級からスタートします。その等級が上がれば上がるほど保険料は安くなります。そして無事故でいれば一年ごとに1等級ずつ上がりますが、事故などの理由で車が故障し保険を使用したとなれば、等級が下がってしまいます。

そのため、車両保険を使う場合は、修理費用と保険料の値上がり分を比較して検討する必要があります。

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レンタカー特約の内容について

レンタカー特約の内容について
ここまでで、レンタカー特約の大まかな内容とその特徴、そしてレンタカー特約の主契約にあたる車両保険の内容や注意点を確認してきました。

ここからは改めて、レンタカー特約というものの詳しい特徴などを見ていきましょう。

レンタカー特約による補償

レンタカー特約は、代車費用に限らず、車両引取費用や代替交通費用なども補償してくれることがあります。

車両引取費用は、契約している車の修理が終了した後の納車費用、あるいは引き取りに必要な交通費を補償するというものです。

契約内容によりますが、補償内容には1回の事故などにつき上限額10万円などと設定されていることもあります。

修理費用の補償という面だけについ目がいきがちですが、修理に関してかかるその他の費用も幅広くカバーしてくれる内容です。

代替交通費用は、故障した車の出発地、あるいは当面の目的地まで契約者が移動する際の交通手段の案内と費用補償を行ってくれるものです。これも上限額があるので、契約する際は確認するようにしましょう。

いずれも事故や故障によって、契約している車が完全に走行不能になり、修理工場などへレッカー移動されたりした場合に使えます。

また、契約している車が盗まれてしまった場合にも適用されます。

自費を追加することもできる

前述の通り、レンタカー特約の補償金額には条件があります。補償内容によって日額の上限が決まっていたり、最初から定額となっていたりします。

この上限額に自腹で料金をプラスすることで、よりグレードの高いレンタカーを利用することも可能です。そうすれば、レンタカー特約の契約者は保険金に自費を足すことで好みの車種を借りることができます。

もちろん、好みの車種やグレードが用意できるかどうかは、レンタカー会社など貸し出す側の状況次第となります。

レンタカー特約にも2つのタイプがある

レンタカー特約には保障期間が異なる2つのタイプがあります。契約する特約がどちらに該当するのかは保険会社によって異なるので、注意しましょう。

具体的には、補償する期間の起算日をいつにするかの違いです。

1つめのタイプが、起算日が修理の原因となる事故などが発生した翌日から数えて1年以内に限られるというものです。そして、レンタカー(代車)を使い始めた日からその日を含めて30日間補償されます。

2つめのタイプが、事故などが発生した日、修理工場へ入庫した日、または車が盗まれてしまった場合は盗難届を警察に出した日から30日以内に限り補償されるというものです。こちらは事故発生当日からカウントされるので、即座に代車を手配しなければなりません。

見て分かる通り、1つめのタイプは代車を手配するまで少し余裕がありますが、2つめのタイプは時間的余裕がないので、いざという時に慌てなくて済むように契約内容を覚えておくのがベストです。

レンタカー特約の注意点について

レンタカー特約の注意点について
ここからは、レンタカー特約を契約・使用する場合に覚えておくべきいくつかの注意点を確認していきましょう。

レンタカー特約を使用する時の注意点は何ですか?
レンタカー特約は、車両保険が適用された場合しか使えません。使うとしても対象はレンタカー会社の車に限られるなど、一定の条件があります。また、使えば翌年度以降の保険料が高くなることもあるので注意が必要です。
契約すると保険料が上乗せされる

車両保険にレンタカー特約を付帯すると、通常の車両保険単位の保険料にさらに金額が上乗せされます。

補償される日額によって違いはありますが、年間で5,000~15,000円ほど保険料が上がると考えていいでしょう。そのため、必ずこの特約をつけた方がいいとは限りません。

代車として使える車が自宅にある場合や普段から滅多に車を使わないという方の場合は、自動車保険の契約時にレンタカー保険を付帯する必要性は低いと言えます。

車両保険が適用されないこともある

経年劣化やメンテナンス不足が原因による「ただの故障」の場合、修理費用を車両保険でカバーすることができないことは前述しました。その場合は自己負担での修理となりますが、同時にレンタカー特約も使用できないので注意しましょう。

例えば、旅行先などで経年劣化・メンテナンス不足による故障が発生したとします。車の移動・修理のためにレッカー車などを手配し、契約者自身はレンタカーを使って移動しました。

こうしたケースでは、後になって修理費用やレッカー移動費用、レンタカー代金について車両保険とレンタカー特約を使って請求しても、適用されない可能性が高いです。そのため、自費での支払いとなるでしょう。

このように、車両保険およびレンタカー特約に加入していても、適用されないケースはいくつかあります。以下では、他にも自然災害の内容や契約者の落ち度が理由で適用されないケースを紹介します。

車両保険が適用されないケース

車両保険が適用されないケースは例えば、無免許運転や飲酒運転で事故を起こし、それによって車が故障・損傷した場合、また法令によって禁じられている改造を行い、それが原因で故障が起きた場合などです。

さらに災害についても、地震・火山の噴火・津波が原因の場合は補償されません。こうした災害は被害が大規模になりがちなので、保険会社側としても全てを補償するのが難しいという理由があります。

車両保険を使った場合と同じデメリットがある

車の修理のために車両保険を使うと、等級がダウンし、翌年度からの保険料が高くなります。

これと同じように、車の修理のため車両保険を使わずとも、付帯するレンタカー特約だけを使ったとしても、等級がダウンすることがあるので注意が必要です。

そもそもレンタカー特約は、車両保険とあわせて使うものという前提です。そのため、故障の原因になった事故のタイプや保険会社の契約内容によって異なりますが、特約を使用すれば翌年度からは1~3等級のダウンとなるでしょう。

ただし、保険会社によってはレンタカー特約のみを使うと等級が変わらない場合もあります。こうした場合は特約だけを使うメリットがあると言えますが、契約内容は事前に確認しておきましょう。

代車の注意点①レンタカー会社の代車しか使えない

レンタカー特約を使う場合、補償対象となるレンタカーはあくまでもレンタカー会社やディーラーなどで取り扱っているものに限られます。そのため、家族の車や、友人・知人の車を借りて、その賃料の支払いにレンタカー特約を使うことはできません。

また、保険会社が指定するレンタカー会社のものしか使えないこともあります。こうした場合、どうしても別のレンタカー会社の車両を借りたいのであれば、保険会社から承認を得なければなりません。

代車の注意点②代車は選べない

先に説明した内容と関連しますが、レンタカー特約でレンタル費用を補償できるのは、レンタカー会社などが取り扱う車両に限ります。そのため、レンタカー会社側で保有していないグレードの車両や車種にしたくても、希望に沿えないことがあるでしょう。

こうなると、「せっかくレンタカー特約を使っても意味がない」と考える方もいるかもしれません。他のレンタカー会社に頼んででも希望する車種を探すのであれば、場合によっては保険会社と相談する必要があります。

代車の注意点③代車が出ないこともある

代車としてレンタカーを利用する場合の3つめの注意点として、そもそも代車を利用できない可能性もあるということを覚えておきましょう。そうなると、せっかくレンタカー特約に加入していても、実際に利用する機会はないということになります。

車両保険に加入している場合、保険会社が提携している修理工場で車を修理するのなら、無料で代車を提供してくれることもあります。しかし、こうした貸し出しは必ずできるとは限りません。

例えば、代車が全て貸し出されているという場合は難しいでしょう。不確定な点があるためか、保険会社によっては代車の貸し出しについてはあえて言及していないこともあります。

実際の対応は会社によって違うので、不安があれば確認するようにしてください。

また、ディーラーに車の修理を依頼した場合も、ディーラー側には特に車を貸し出す義務はありません。代車の提供はあくまでもサービスの一種なので、ここでも絶対に借りられるとは限らないと覚えておきましょう。

代車使用日数の上限に注意

レンタカー特約によって補償される代車の使用期間は、最大で30日と決まっているので忘れないようにしましょう。

もしも30日を超えて代車を使用したら、超過分の使用料は自己負担となります。

また、この「30日」というのがいつからカウントした日数なのか、把握しておくことが大切です。

契約内容によっては故障の原因となった事故が発生した日が起算日となることもあります。その場合は、できるだけ早く修理とあわせて代車の手配をしておく必要があります。

費用の差額は受け取れない

レンタカー特約の補償があくまでも実費補償である場合、保険金の日額の上限と実際にかかった金額との間の差額分は受け取ることができないので注意が必要です。

例えば、日額の上限が10,000円だったとします。代車費用が日額5,000円だったとしても、差額の5,000円は受け取れません。

代車費用がいくらかかったかについては、レンタカー会社から保険会社へ請求がいくのですぐに分かります。ただし、保険会社によっては定額補償となっていることもあるので、事前に確認しておきましょう。

まとめ

①自動車保険の車両保険には、レンタカー特約を付帯することができる
②レンタカー特約は、車の修理中の代車費用を補償してくれる
③経年劣化などによるただの故障には、車両保険もレンタカー特約も適用されない
④車両保険とレンタカー特約を使用すると等級が下がるため、翌年度からの保険料が上がる
⑤友人・知人から借りた車には適用されず、レンタカー会社で扱っている代車の費用に限られる
⑥代車の使用日数に上限がある、費用の差額は受け取れないなどの注意点もある

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