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PSIとは?
PSI管理を行うメリットや自身で行うための手順を解説!

PSI管理をしないことによって発生する問題点や管理手順などを解説します。
製造業において、PSIの意識はかなり重要なポイントです。
在庫管理ができていなかったり、在庫状況から最適な生産計画が立てられていない方は、ぜひ参考にしてください。

製造業に携わる方なら絶対に知っておきたい「PSI」という用語があるのをご存じでしょうか。「生産」「販売計画」「在庫」という3つの項目をさす用語で、「PSI計画」などのように使われたりします。PSIを意識した生産計画を立てることで、過剰在庫の発生を防ぎ、販売機会の損失を防げるでしょう。

製造業において、PSIの意識はかなり重要なポイントとなるので、在庫管理ができていなかったり、在庫状況から最適な生産計画が立てられていなかったりする方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。本内容では、PSI管理をしないことによって発生する問題点や管理手順などを解説します。

PSIとは?

PSIとは、以下3つの項目の頭文字をとった用語です。

Production(生産)
Sales(販売計画)
Inventory(在庫)

PSI計画などのように使われることが多く、それぞれの項目を別々ではなく密接な関係として考えて、精度の高い生産計画を立てることを意味します。製造業において、在庫を意識した生産計画を立てるのは当たり前のことですが、その当たり前ができるようになるためにはPSIを意識していないとできません。

企業によっては、生産部門、販売部門、在庫管理部門が別々に設置されている場合があり、各部門が協力し合わないことで、PSIが意識されない生産計画が立てられることがあるようです。利益を最大化するためにも、PSI計画について正しく理解し、適正在庫を維持した生産を行なうことが重要になってきます。

PSI(計画)が注目されるようになった背景

昨今の製造業を取り巻く環境は大きく変化を続けており、「SDGs」「石油高騰による原料費の負担増」「顧客の需要変動の激化」など、さまざまな要因が製造業の企業に課題を突き付けています。こういった要因が背景にある中で、注目されるようになったのがPSI(計画)です。

従来までの環境だと、欠品による機会損失を防ぐために多めの在庫を持つことは比較的容易でしたが、最近の状況だとそのような余裕を持った在庫管理ができません。例えば、SDGsの取り組みによる資源消費量の抑制、原料高騰による過剰在庫が与える利益減、需要変動の激化による在庫品の急な廃棄などが原因で、余分に在庫を持つことができなくなっています。

つまり、昨今の取り巻く情勢を踏まえた結果、「適正在庫」を維持するための生産計画を立てることが重視されてPSIが注目されるようになったのです。

適切なPSI管理をしないことによって発生する問題点

PSI管理をすることで、適正在庫を維持した生産活動が行えるわけですが、もしPSI管理をしなかった場合はどうなるのでしょうか。発生する問題点を以下でご紹介するので、内容を把握してPSI管理の重要性を再認識しましょう。

  • 適切なPSI管理をしないことによって発生する問題点

    過剰在庫の増加
    在庫品となる製品とそうでない製品の差が広がる
  • 主に在庫品に関する問題点が際立つようになります。企業の負の資産と呼ばれることもある余剰在庫を増やさないためにも、それぞれの問題点をしっかりと理解してPSI管理に取り組むようにしましょう。

  • 過剰在庫の増加

    PSI管理が行われないことによって、過剰に在庫を保持してしまう可能性が高まります。PSIを意識していなければ、急な需要変動や増えすぎた在庫量に対応することが難しくなり、結果的に過剰在庫を生み出してしまうでしょう。

    PSI管理では、実際の数値に基づいて需要予測を立て、その都度適正在庫を維持できるような生産計画を立てるため、過剰在庫が増えないような仕組みづくりが可能です。

  • 在庫品となる製品とそうでない製品の差が広がる

    PSI管理では、各部門のデータを参考にしつつ、需要変動に対する予測をして生産計画を立てるため、全製品において適正在庫を維持しやすいです。しかし、PSI管理をしていなければ、需要予測を数値から算出することがほとんどないため、需要変動によって製品ごとの在庫格差が広がってしまいます。

    PSIの各部門が連携する重要性は、各部門の指標を全体で把握することにあるため、これができなければ正確な需要予測を立てることはできないでしょう。

PSI管理の手順

PSI管理には基本的な手順があります。企業によってアレンジを加えている場合もありますが、初めて取り組む方は以下の手順をベースにPSI管理の方法を最適化してください。

  • PSI管理の手順

    1. 需要予測に基づいた販売計画の作成
    2. 在庫計画・仕入計画・生産計画の作成
    3. 生産計画の作成
  • 需要予測に基づいた販売計画の作成

    まずは実際の販売数や在庫数、生産計画数などのデータを参考に需要予測を立てます。この際、情報の量が多ければ多いほど、より精度の高い予測が立てられることを知っておきましょう。

    需要予測を算出することができたら、そのデータに基づいて販売計画を作成していきます。販売計画は1年区切りで作成するのが一般的ですが、製品によっては生産予定期間が異なるため、製品に合わせた計画づくりを心がけましょう。

    また、1年の計画を立てる中で、季節や諸条件によって需要予測の数量が変化することもあるので、極端に変化する月は補足事項に理由を付け足しておくことをおすすめします。理由を記載しておくことで、翌年に再度販売計画を立てる際の参考になります。

  • 在庫計画・仕入計画・生産計画の作成

    販売計画を作成したら、それに基づいてPSI計画を作成していきます。横軸は日付で、縦軸に必要な項目を記載していきましょう。以下の画像を参考に自社の目的に合ったPSI計画表を作成してみてください。

    PSI計画表イメージ

  • 各業務内のデータ・情報を一元化

    各計画数を表に書き込んだら、最後に実際に製造した数を打ち込んでいくようにしましょう。見込み数と実数には必ず差が生じるため、数量の差を把握しながら生産計画を調整していくことが大切です。

    もし、販売計画の見込みに対して実数が大きくずれ込むことがあった場合は、その原因を必ず探るようにしてください。生産能力の見込み違いなのか、不具合が発生したことによるズレなのかによって対応内容が異なってきます。不具合などイレギュラーによるずれ込みなら、今後の計画にイレギュラーを組み込んだ一時的な数量調整をする必要がありますし、生産能力の見込み違いなら、1年分の生産計画を調整しなくてはいけなくなるでしょう。

PSI管理のメリット

PSI管理をするメリットを知っておけば、実際に取り組む価値があるのかを確認することができます。メリットに対して魅力を感じない場合はPSI管理を取り入れる価値がないかもしれないので、再度、「本当に必要か?」を検討するようにしてみてください。以下はPSI管理のメリットです。

  • PSI管理のメリット

    需要変動への柔軟な対応が可能
    販売機会の損失を防げる
    ムダなコストの発生を防げる
  • 需要変動への柔軟な対応が可能

    PSI管理をすれば、需要変動に合わせた適正在庫を維持できます。適正在庫の維持は、予測される需要に対して欠品を防ぐことを意味するため、ある程度の需要変動に対して柔軟に対応することができるでしょう。

    ただし、必ずしも欠品を防げるわけではない点には注意が必要です。あくまでも需要変動を見越した適正在庫の数字は「過去のデータ」から分析した結果なので、一定の誤差はあります。

  • 販売機会の損失を防げる

    需要変動への柔軟な対応が可能」では、適正在庫が需要変動に対する欠品を防ぐことにつながる旨を解説しました。欠品を防ぐことができれば、顧客が必要とするタイミングで必要な分だけ製品を納められるため、販売機会を失わずに済むでしょう。もちろん、過剰に在庫を持っておけば販売機会の損失を防ぐのは簡単なことですが、PSI管理ではそういったムダなことはしません。

    PSI管理では、各部門のデータを利用して需要予測を立て、適正在庫を維持し続けます。これにより、ムダな在庫所持による利益減少と販売機会の損失を防ぐことができ、企業経営における売上・利益の最大化がはかれるでしょう。

  • ムダなコストの発生を防げる

    適切なPSI管理が行えれば、生産工程で発生するムダなコストを削減することができます。例えば、ムダな在庫を生産する際に発生する人件費などの削減や、小ロット注文による割高な資材費の削減などが挙げられます。

    精度の高い販売計画によって、ある程度まとまった資材を購入する段取りが組めるため、その都度資材を発注する必要がなくなり、低コストでの調達が可能となります。

PSIはERPシステムとの連携が効果的

PSIはERPシステムとの連携が効果的です。ERPシステムは、企業における人や物、お金をまとめて管理できるシステムのことです。ERPシステムには販売管理システムや在庫管理システムなどさまざまなシステムの性能が組み込まれているため、PSI(生産・販売計画・在庫)との相性が非常に良いです。

ERPシステムさえあればPSIの管理が容易となるため、使いこなすことさえできればPSIを意識しなくても自然に在庫を最適化できるでしょう。

まとめ

PSIとは、「生産・販売計画・在庫」の3つを表す用語です。「PSI管理」などのように使われることが多く、在庫量を最適化させることを目的に活用したりします。PSI管理を実施すればデータをもとに需要予測が立てられ、それに基づいた最適な販売計画が立てられたり、適正在庫の維持ができたりします。

精度の高い需要予測に基づいて適正在庫を維持することができれば、ムダな在庫を削減できたり、欠品による販売機会を損失したりすることもなくなるでしょう。また、適正在庫は「ムダな在庫の削減」「販売機会の損失防止」によって利益の最大化をはかることもできます。

基本的にPSI管理をすることによるデメリットは「手間」以外には全くないため、製造業務に取り組むのであれば実施することがおすすめです。