山王美術館

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オディロン・ルドン Odilon Redon
1840-1916

フランス ボルドーに生まれ、パリにて没。
15歳よりボルドーにて素描を学ぶ。17歳の時に知己を得た植物学者アルマン・クラヴォーと親交をふかめ、神秘的な自然や文学、哲学など幅広い世界への関心をいだくようになる。1864年パリの国立美術学校に学ぶがアカデミックな教育に反発し、失意のもとボルドーにもどる。その後間もなくエッチングの制作をはじめ、1879年に石版画集『夢のなかで』、1883年には石版画集『起源』を刊行。1884年出版のジョリス=カルル・ユイスマンスの小説『さかしま』のなかでギュスターヴ・モローとともにルドンの作品が取りあげられたことにより一躍注目を集め、1886年以降は象徴主義を代表する画家として認識されるようになる。1890年以降は色彩豊かな表現へと転換し、油彩やパステルによる色鮮やかな作品を描いた。

オディロン・ルドン《アポロンの二輪車と大蛇》1905年、山王美術館蔵

アポロンの二輪車と大蛇

1905年
油彩、厚紙
52.2×67.4㎝

The Chariot of Apollo and the Dragon

1905
Oil on cardboard
52.2×67.4㎝

28歳のときに、ウジェーヌ・ドラクロワ作《大蛇ピュトンを退治するアポロン》(1850-1851年、ルーヴル美術館蔵)を模写したルドンは、「光の陰に対する勝利」が表現されており、「色がすべてを語り、正しく表現している」と、後に記しています。1905年頃から自らもこの主題に積極的に取り組むようになり、以降は晩年を代表する主題の一つとして数多く描きました。それらの多くは、鮮烈な太陽の輝きのなか天を駆るアポロンと、下方にうごめく大蛇が対峙する構図をとります。ルドンは、モティーフを限定しながらも色彩を対比させることで、光と闇の対峙をより明確に表現することを目指したのでしょう。