EM・ONE＋VPNで、ノートPCはいらない？：モバイル機器からのネットワーク快適利用術（4/4 ページ）

[池田冬彦，ITmedia]

Webサービスを利用してみる

　続いて、LAN内で提供しているWebサービスが利用できるかを検証した。まず、グループウェアである「サイボウズ Office6」へ「Internet Explorer」を使ってVPN経由でのアクセスを試みたところ、問題なく接続可能で操作にも大きな問題はなかった。

　ただし、ファイルサーバへのアクセスと同様、暗号化の負荷と電波強度の問題で、項目をクリックしてもうまく表示されず、VPN接続が強制切断されてしまうこともしばしばだった。さらに、VPN接続時は「Opera」の利用ができない、という問題もある。イントラ・ネットワークアドレスの例外設定はInternet Exploreだけ有効で、Operaでアクセスした場合は、うまく接続しなかった。

　ただし、Webサービス利用については、比較的軽いページを表示する限りは、ファイルサーバへのアクセスよりも、強制切断などのトラブルが少なかった。このため、Webサーバのドキュメントルートフォルダにファイルを保存して、Webブラウザからアクセスしたり、フォトアルバムのページにアクセスすることは可能だった。

　とはいえ、比較的ファイルサイズが大きい画像ファイルやパワーポイント書類を開くのはちょっと厳しく、ファイルを読み込んでいる途中で暗号化エラーが発生してVPN接続が切れることが多かった。ただし、サイズの小さなテキストファイルや、Word、Excelファイルを開くのは問題なかった。

　

　なお、今回は、オフィスに設置したWebカメラのストリーミング映像の受信なども検討したが、Windows Media Playerで再生できるストリーミングサーバ環境が用意できなかったため、残念ながら検証を断念した。

　また、シェアウェアやフリーソフトでストリーミング配信できるものがあるが、そのほとんどは、Javaアプレット、もしくはActiveXコントロールでWeb上で映像を見る、というタイプだ。Windows Mobile 5はどちらにも対応していないので、利用はできない。もっとも、ファイルサーバやWebサーバアクセスの状況を見る限りでは、ストリーミングはかなり厳しいことが予想される。

スマートフォン＆VPNは夢の先取りか

　スマートフォンユーザーにとって、VPNで実現するユビキタス環境は、まさに夢だ。しかし、PPTPでのリモートアクセス環境は極めて厳しいものだった。筆者は、普段はイー・モバイルの「D01HW」とノートPCで自分のオフィスにアクセスしているが、残念ながら同じような使い心地は望めなかった。

　電波強度の問題もさることながら、スマートフォンが搭載するCPUの能力とWindows Mobile 5のPPTPクライアントの能力や仕様の問題、さらには、EM・ONEの動作の安定性の問題など、さまざまな要因がかかわっていると考えられる。

　とはいえ、用途や利用するファイルをある程度絞れば、オフィスにVPN接続してリソースを利用することは十分可能だ。今後は、ハードウェアの性能向上やOSのブラッシュアップによって、VPNの可能性が広がっていくはずだ。それまでは、どうしてもオフィス外でしっかり作業をしたい時はノートPCにEM・ONEをモデムとして接続し、普段はEM・ONEだけを持ち歩く、といったスタイルが現実的なものとなるだろう。